数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.38

アメリカの歴代フィギュアスケート選手の中で、歌子先生の一番を教えてください

歌子先生に歴代アメリカ選手の思い出と、一番の選手について伺ってきました。

歌子先生

女子シングルについて―

 私が子供の頃、最初に憧れたのはペギー・フレミング選手でした。もの凄い美人さんで、品があり華があり、まさに「She is figure skating。」、映画にもなったくらいですし、本当に美人さんで憧れでした。
 そしてアメリカ女子で1番といえばジャネット・リン選手ですね。札幌オリンピックでは目の前で滑っているのを見ていました。彼女のスケートは日本中に「フィギュアスケートってなんて素敵なんだ」って思わせてくれたのではないかと思います。スケートが上手いのはもちろん、当時としてはジャンプが上手いのもありましたが、最も印象的なシーンは、フリー中盤のフライング・シット・スピンで転んでしまい、でもすぐニッコリして立ち上がるんです。その笑顔が本当に素敵で今でもそれを覚えている人は沢山いらっしゃるのではないかと思います。大会では銅メダルでしたが日本人には一番印象に残っている選手ではないでしょうか。

ジャネット・リン

ジャネット・リン選手

 その次はドロシー・ハミル選手も素敵でしたね。当時「ハミルカット」という髪型がブームになるくらい。ニューヨーク在住の日本人の美容師さんがカットしたことでも話題になりましたが、もちろん髪型だけでなく、演技も素敵な選手でした。
 アルベールビルオリンピックで4位になったトーニャ・ハーディング選手は違う意味で有名ですね。そしてトーニャと競い銀メダルを手にしたナンシー・ケリガン選手、そして金メダルのクリスティー・ヤマグチ選手がいて、当時はアメリカの代表になったら世界の頂点みたいな勢いがありました。本当に苛烈でしたね。
 次に来るのはミシェル・クワン選手とタラ・リピンスキー選手でしょう。私も見に行っていた世界選手権(1997年:ローザンヌ)で、次のオリンピック優勝も目されていたミシェル選手でしたが、当時凄く勢いに乗り若くてジャンプの安定していたタラ選手が優勝、ミシェル選手が僅差で2位となりました。ミシェル選手は本当にスケートや表現の上手な選手でしたが、その後の長野オリンピックでも同じ結果となってしまい残念でした。ミシェルさんが現役を引退してから、アメリカで彼女のショーを見に行ったことがあるのですが、本当にアメリカ人に人気のある方ですね。歓声が凄かったです。タラさんは現在、ジョニー・ウィアーさんと試合の解説をしていて、的確な物言いで二人とも人気がありますね。
 そして荒川静香さんと競ったサーシャ・コーエン選手も忘れません。凄く細やかな所作に気を遣う選手でした。

アメリカとフィギュアスケートについて―

 フィギュア史を紐解くと、コンパルソリーで図形を描き始めたのがヨーロッパ、曲に合わせて踊りだしたのがアメリカという話もあって、そういうところで特徴が出るのかもしれません。男子も女子もアメリカは個性的で、素敵な選手が多かったように思います。昔の選手のプログラムは、今から見るととても単純で簡素に見えるのかもしれませんが、アメリカの選手のプログラムは、当時から曲の使い方だったり、つなぎ方だったり、振付の仕方だったりが個性的で、とても面白くいつもワクワクして見ていました。これからも個性的な選手が次々と出てくるのではないでしょうか。

ありがとうございました。

歌子先生
長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)