数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.38

アメリカの歴代フィギュアスケート選手の中で、歌子先生の一番を教えてください

歌子先生に歴代アメリカ選手の思い出と、一番の選手について伺ってきました。

2019.6.13

歌子先生

ペアのカップルについて―

 まず、私にとって最初に思いつくのは札幌オリンピックでの思い出になりますね。札幌オリンピックは、私がちょうど二十歳になる前で、成人式の着物を祖母が買ってくれると言ってくれたのですが、「着物は要らないから、札幌オリンピックの練習から行かせて欲しい」とねだって、お祝いは現金で頂きました(笑)競技の始まる10日くらい前、公式練習が始まるころから札幌に入って毎日毎日練習を見に行っていました。
 私が、アメリカの選手として初めてはっきりと認識したのは、男子シングル、ペアの両方に出場していたケニス・シェリー選手でしたね。アリシア・ジョジョ・スターバックという、とても美人で素敵な選手とペアを組んでいて、凄く爽やかな好青年だったのを覚えています。
 当時私はまだ選手だったので、本当は女子の練習を見るつもりで行ったのですが、ジョン・カリー選手達がものすごく素敵で、男子の練習ばっかり見に行くようになってしまいました。その中でもアメリカンで男らしい溌剌としたスケートを滑るケニス選手の印象が強く残っています。
 また、ペアといえば伊奈恭子選手とジェイソン・ダンジェン選手がペアを組み始めたころに、教え子を連れてよく練習リンクを訪問していました。二人共元はシングルの選手だったので、ペアを組む事の難しさというのを教えてもらいましたね。今でも良き友人ですし、伊奈選手、ダンジェン選手も思い出の多い方達です。
 ですが、やはりペアでの1番は、ジョジョ・スターバック選手とケニス・シェリー選手の組ですね。最近封切られた、ジョン・カリーさんの映画の中で、プロスケーターとなったジョジョさんが、カリーさんとタンゴを滑っている演目を見て、彼女のスケートの上手さを再確認し、表情の豊かさ、特にその妖艶さにゾクゾクしました。

ジョジョ&ケニス

ジョジョ・スターバック選手とケニス・シェリー選手

アイスダンスのカップルについて―

 アイスダンスでは(髙橋)大輔がハーマル(ノルウェー)の世界ジュニア選手権で優勝した時に、優勝したタニス・ベルビン選手とベンジャミン・アゴスト選手のカップルをよく覚えています。それからずっと一緒の大会に出ていましたし、今でもショーでよく一緒になりますが、本当に良い人たちで好きですね。
 でも、やはりアメリカでアイスダンスといえばメリル・デービス選手とチャーリー・ホワイト選手です。彼らがスケートカナダでシニアデビューした時に、大輔がメリルの容姿を凄く気に入っちゃって(笑)あんまり「良い良い」と言うから見たのですが、凄くスケーティングも美しくて驚きました。「この子たちはこれから来る!」とそのときに思いましたが、本当に凄い選手になりましたよね。今でも会うと、才能もあるのにこんなに性格もいいなんてどういう事だって思います。またメリルさんとチャーリーさんは両者ともにとても上手いので、二人ともに目が行くのも凄いですよね。

ジョジョ&ケニス

メリル・デービス選手とチャーリー・ホワイト選手

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)