数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!
歌子の部屋
vol.37
世界フィギュアスケート選手権2019
歌子先生に5年ぶりに日本で開催された世界フィギュアスケート選手権2019について伺ってきました。

大会を総括して―
■アイスダンスについて―
なんといってもガブリエラ・パパダキス、ギヨーム・シゼロンのカップル!!すべてが素晴らしく、あっという間のフリーでした。特にシゼロン選手の卓越したスケーティングの上に成りたつ曲の表現!!
足のつま先から髪の毛の一本一本までが音に反応して動いているようで、いつまでも見ていたくなりました。そして2位になったヴィクトリヤ・シニツィナとニキータ・カツァラポフのロシアカップル。特にニキータ選手は2012年ごろ、大輔がニコライ・モロゾフと再び練習を始めた時から一緒によく練習しました。初めてニキータ選手が滑っているのをロシアのリンクで見た時、一人で練習していたので、シングルの選手だと思い、そのスケーティングの上手さ、膝の柔らかさに驚いて、こんなスケーティングの上手い選手がロシアにいるんだ!大輔の強敵だな!!と身構えた事を思い出します。カップル解消して、ニコライの元を離れてから、ヴィクトリア選手と組み、余り良い成績が取れていなかったので、今回素晴らしい滑りで銀メダルを獲得し、その姿を見ることが出来て大変うれしく思いました。
■男子シングルについて―
圧巻だったネイサン・チェン選手!!直前の羽生選手へのプレゼントの投げ込みを収集するのに時間がかかり、集中が切れないかな?と心配だったのですが、それを意に介しない見事なフリー。本当に強かった!!ジャンプばかりでなく、スピン、ステップ、スケーティング、全てが昨年より進化していて、尚且つイェール大学で勉強中!という、神様は与えすぎではないか!?と思わず嫉妬してしまいたくなる程!(笑)また、試合後のインタビューを見聞きしても、人としても素晴らしく、尊敬してしまいます。
2位だった羽生選手も、空中で少し軸が外れてもしっかり着氷する強さが素晴らしかったですね!後半スケートが伸びず、リンクカバーがいま一つだったのが残念でしたが、ケガで試合に出られていない中でも、表彰台に上ることができる強さは流石だと思いました。
3位のヴィンセント・ゾウ選手も、今季アンダーを取られる試合が多かったのですが、今回は最小限に納め、最後まで滑りも良く、来期は更にジャッジの評価が上がり、PCSにも反映されるでしょうから、怖い存在になりますね。
後はボーヤン・ジン選手、ミハイル・コリヤダ選手、フリーは残念でしたが、素晴らしいSPを見せてくれたジェイソン・ブラウン選手、台は逃しましたが、今季決して良い状態ではなかったにもかかわらず、全ての試合で気迫のこもった演技を見せてくれ、日本選手を牽引した宇野昌磨選手。それぞれ素晴らしくて、彼らが振るわせている空間で光や音を感じられる喜びを感じました。選手の皆さん、本当に有難うございました。
- 長光歌子(ながみつ うたこ)