数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!
歌子の部屋
vol.32
対談企画 ゲスト:髙橋成美さん
世界選手権銅メダルなど輝かしい記録を持ち、2018年3月に現役を引退された髙橋成美さんに、ペア競技と新しいチャレンジについてお話を聞いてきました。
柴田嶺さんについて

歌柴田さんとは何年間ペアを組んでいたのですか?
髙2年に満たないくらいですね。
歌柴田さんは大輔の1歳下でシングルをやっていて、様々な大会でずっと一緒だったのでペアを組まれると聞いた時に縁を感じました。
髙柴田嶺くんは私と性格も含め何もかも正反対なんです。物静かで、心優しい嶺くんと、やけに活発でパワフルな私。食べ物の好みも正反対。卵も私は黄身が好きなんですが、嶺くんは白身好き。柿ピーも私はピーナッツ、嶺くんは柿の種好き(笑)。よくシェアしていました。
歌柴田選手の食事の好みはシングルの選手向きですね。体を大きくする必要のあるペアなので、大変な努力をしたのではないですか?
髙そうですね、本当に食べるのが大変だと言っていました。面と向かっては言えない人なので、一度LINEで「申し訳ないけれど少し軽くならないですか…」と言われたこともありました(笑)頑張って痩せましたね(笑)
歌外から見ていても髙橋さんの方が活発で男らしいと思うところがありますね。
髙そうですね、私が車を運転して、嶺くんが料理を作ってくれたりします(笑)。パートナーとして、お互いの違うところを認め合いつつ、吸収することが良いのかなと思います。例えば、私は試合前のヘアスタイルや衣装やお化粧に気を使えないタイプだったのですが、嶺くんがアドバイスしてくれたり、嶺くんもトレーニングだったり、サプリだったりに全然興味がなかったんですが、私にいろいろと聞いてきてくれて、お互いに足りない部分を補って、それが大事だったと感じました。
歌最後のパートナーとそういう雰囲気だったのは良かったですね。柴田さんは今どうされていますか。
髙先日までパートナー探しのトライアウトをしていましたが、引退を決めました。インストラクターになりたいと、今は東京で頑張っています。
ペア競技のこれからについて
髙ペアはアイスダンスに比べても競技人口が少なく、海外に行かないとしっかりとした練習ができないんです。さらに一人の競技ではないので、海外に渡るにしても、パートナーと共に行く事ができないといけないんですよね。それが凄く高いハードルになっていると感じます。私が今引退して、技術はもちろん教えていけると思うんですが、まずは練習できる環境を用意できるような活動ができればと思います。
歌どうしてもリフトしたりパートナーを投げたりする競技ですからね。限られたリンク条件でしかできない競技なので、本当に難しい問題ですね。今ではシングル選手でもリンクを貸切ることが難しくなっている中で、海外、特にアメリカやカナダでは少なくとも2面リンクがあって、それをうまく使って練習をしているのを見ると、日本の環境ではカップル競技をやる事は、本当に難しいと感じます。
髙国内にカップル競技も練習ができるリンクがあればみんな急激に成長できると思いますね。
歌世界選手権で表彰台へ乗った髙橋さんのような方が、働きかけてくれれば変わるかもしれません。
髙できることは凄く限られていると思いますが、しっかりやりたいなと思っています。
歌期待しています!
髙橋成美さんのこれから
髙東京の連盟に登録させていただいて、ジャッジのことや、将来的にはテクニカルコントローラーになりたいと思っているので、勉強をしています。今は大学にも復学していて、勉学もやりながら、受け入れてくださるところがあれば、コーチとしてもやってみたいと思っています。
歌少し小耳にはさみましたが、もう一つやられていることがあるんですよね?
髙そうなんです。今、本気でアイスホッケーにはまっていて、実は北京オリンピックを目指しているんです。今はアイスホッケーのことしか頭にないくらいです。
歌オリンピック!本当ですか!?北京オリンピックの楽しみが1つ増えましたね(笑)
髙ぜひ先生も一緒に北京へ行きましょう!女子のアイスホッケーはボディチェック(体当たり)がないので、私のスケートの技術が生かせるんです。今は頑張って嶺君並みにプロテインを飲んで身体作りをしていますし、大学の部の練習にも参加させていただいています。
歌普通引退直後は何もする気が起きない時期があったりすると思うのですが、あれもこれも本当に凄いと思います。
髙引退した時はもう一生スポーツはしない、これまで体を動かしてきた分頭脳派でいこう!と固い決意を固めていたんですが、今はもう体を鍛えてばかりです(笑)
歌小さなころから見ていて感じていましたが、本当に凄いバイタリティだと思います。これからも頑張ってほしいと思っています!

- 長光歌子(ながみつ うたこ)