数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.23

対談企画 ゲスト:佐藤操先生

田中刑事選手の「千と千尋の神隠し」など個性的な振付けに定評がある振付師、佐藤操先生にお話を伺いました。

田中刑事選手の振付け

佐藤操先生

操先生は、田中刑事選手のエキシビションの振付けをしていただいていますよね。

はい。エキシビションの振付けを作るというありがたいお話を頂いたんですけど、田中選手の振付けはとても大変でした。林先生は「何でもいいよ。」って言ってくれましたけど、「千と千尋の神隠し」ですよ。「なぜあのハンサムな田中選手が、可愛らしい千と千尋なの!?」って感じですよ(笑)。

彼は本当にジブリ映画が大好きですからね(笑)。

そうなんですね。しかもかっこいい龍であればイメージができますが、打ち合わせをした時に「僕は河の神をやりたい!」と力説されてスゴく悩みました(笑)。「河の神がお祭りでみんなに笑顔にしていくようなエキシビションにしたい!」って、真剣な目で言っていて、田中選手は面白い選手だなって思いました。

とても真面目な選手ですからね。何事にも真面目(笑)。

トトロなら傘を持たせて田中刑事傘を持つとかだったら私の呼ばれた意味があったんですけど、千と千尋はもっと向いてる人がいるんじゃないかと思いました(笑)本当にいろいろなことをぶつけてくれて、こんな生徒を持ったら面白いなと思ったんですよね。

三宅星南選手について

我々が今見ている三宅星南選手のショートプログラム(キャラバン)の振付け、ありがとうございます。Jr.GPのオーストリア大会では、練習の時から注目を浴びていて、ロシアのジャッジの方に「ニュースターが出てきたね。」と言ってもらったり、別のジャッジの方にも褒めていただいたりとても好評でした。

やりました(笑)彼は能力もあるしとても魅力的なスケーターですよね。

そうですね。意外とデリケートな選手ではありますが、夏の北海道合宿の後からかすごく大人になった感じがします。一つ成長したなって思っていますね。

彼は本当にポテンシャルが高いですよね。

あのポテンシャルは教えて出来るものではないと思います。Jr.GPのオーストリア大会では、出場選手の中でステップレベル3だったのは星南だけでしたよ。

ドキッとするものがありますね。ノービスから上がってきたばかりの頃から見ていますけど、本当に成長を感じますね。

先ほどもお話に上がりましたが、三宅星南選手のアフロサーカスですが…

あれは、元々彼が私のところにアフロのかつらを持ってきて「アフロをかぶって演技したい」って言ってきたのが最初だったんですよ。(佐藤)信夫先生から「君それはどうしたんだい?」って言われていたのを覚えています(笑)。

佐藤洸彬選手のボレロについて

佐藤洸彬の肉襦袢のTシャツを着て踊るボレロですが、本当に大好きで「さすが操先生!」ってずっと思っていました。

私自身ボレロは本当に思い入れがあったんです。特にジェーン・トービルとクリストファー・ディーンのボレロがスゴく好きで、何度も何度も見ました。今だに落ち込んだ時には見ます。

そんなに思い入れがあるボレロで肉襦袢ですか!?

そうなんですよ!あれはですね、佐藤選手がその当時すごく体を鍛えていたらしく、「この筋肉を見てください!」って上半身を異様に見せつけてきたんですけれど、「演技に使えないから意味ないね」って私が言ったら佐藤選手は「この身体を使えるプログラムを作って下さい!」って冗談で言ったんですよ(笑)。それで翌年に彼がアイスショーに出ることになってビビッときたんです。でも、急きょ呼ばれたので時間もコスチュームもなく肌色の肌着だけだったので、中京大学のリンクで手書きの筋肉を描きました(笑)。あの時は田中刑事選手も見ていましたね(笑)

そうだったんですね!?

そうなんですよ。元々あの肉襦袢で出る予定はなかったのですが、みんなが真面目にやっているから一人くらい面白くてもいいんじゃないかって感じでした!

あの演技で、佐藤選手の人気も上がりましたよね。

濱田(美栄)先生には「これはショートプログラムでもいけるんじゃない?」って言われました(笑)

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)