数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!
歌子の部屋
vol.22
今シーズンの展望
歌子先生に2017-18シーズンの展望について伺ってきました。
2017.9.1

今シーズンの影響
■まもなくシーズン開幕となりますが、オリンピックシーズンは他のシーズンとは異なるものですか―
先生方からしてみると皆さん胃が痛いと思います。シーズン前からいろいろな想いや考えがそれぞれにあると思いますが、筋書き通りにシーズンが進むことは中々ないですし、何が起こるかはわかりません。だからこそ面白いと思いますが、先生方は精一杯選手たちに向き合って、ベストな演技ができるように持っていきたいと思っていると思います。それは、毎シーズン変わらないことですが。 もちろんオリンピックの舞台を目指す選手たち全員が出場できるわけではありません。その中で、オリンピックだけでなく、全日本選手権や世界大会の場でもベストな演技ができるように先生たちが、全霊を込めて選手を引っ張って行くことが大事だと思います。
■今シーズン日本男子は過去に使用した曲をプログラムに選んでいる選手が多いと思いますが―
※羽生結弦選手FS「SEIMEI」、無良崇人選手FS「オペラ座の怪人」、宇野昌磨選手FS「トゥーランドット」
田中刑事選手FS「フェデリコ・フェリーニメドレー」、村上大介選手FS「道化師」
過去に使用した曲を使うことは戦略の一つだと思います。ファンの方々からすると、新しいプログラムを見たいと思う部分があると思いますが、一つのプログラムを作り上げるということは本当に時間と労力を費やします。ですので、慣れたプログラムの精度を更に上げていくために時間を十分に使って行くのは大変有効なやり方だと思います。また、出来上がった新しいプログラムがどうしても自分に合わないこともあります。そういったリスクを避けることもできますね。ですが、過去と同じ曲を使うという事は安定感が出る反面、どうしても以前の演技と比較されてしまいます。また、同じ演技を何度も見たことのあるジャッジの方に当たった場合、その方の心情によっては賭けになるかと思いますね。ジャッジの方々も、新しいプログラムを見たいのではないかと思います。
女子選手たちは今シーズン、男子とは逆に皆さん新しいプログラムで挑みますよね。女子は男子に比べて若い選手が多いので、コーチの先生たちはより多くの引き出しを開いてみたいと考えているのではないでしょうか。とても大事なことだと私は思います。オリンピックシーズンだろうと得意なことをやるのではなく、チャレンジする事というのも彼女たちの将来に大きな意味を持つと思います。
■日本の女子選手はオリンピックの代表争いが過酷になりそうですね―
平昌オリンピックの代表枠が女子は2枠ですので、本当に大変な争いになりそうですね。選手たち自身はもちろんのこと、先生方の胃の痛さや背筋のソワソワ感は計り知れないと思います。何よりも選手たちのピークの持って行き方が凄く難しいと思います。全日本選手権の前にはGPシリーズ、そしてGPファイナルもありますので、そちらでも頑張らないといけないのは大変ですよね。GPファイナルに関しましては、今年は日本での開催なので、時差がないですし、コンディション作りは少し楽かなと思います。それでもGPファイナルに出場するためには、GPシリーズで結果を残さないといけないですし、シーズン開幕から気の抜けない試合が多くなると思います。
- 長光歌子(ながみつ うたこ)