数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.21

対談企画 ゲスト:平井絵己先生

マリオン・デ ラ アソンション選手と共に5月に引退、これからは若手の育成を目指す平井絵己さんにお話を伺いました。

2017.7.30

平井絵己先生
平井 絵己(ひらい えみ)
平井 絵己(ひらい えみ)
パートナーのマリオン・デ ラ アンションと共に今年5月に現役引退を表明した元アイスダンス選手。引退後は指導者としての道を歩むべく、自身の練習拠点のフランスなどで選手指導を行っている。

初めに

歌子(以下:歌) 先日のDreams on ICE拝見させていただきました。とても良いショーでしたね。

平井絵己(以下:平)はい。ありがとうございます。マリオン(・デ ラ アソンション)とともに、引退のご挨拶の場までいただいて嬉しかったです。花束も村元哉中さんに頂いて感動しました。皆様には本当にお世話になりました。

本当によく頑張りましたね。選手は何年やっていたんですか?

スケートを初めて21年です。長かった…本当に色々ありました。

お二人の出会いと思い出

長光歌子先生

絵己ちゃんは全然覚えていないと思いますが、昔、野辺山の合宿で私が生徒たちについて行った時、陸上トレーニングを見学していたのですが、私の隣に非常にハンサムなお父様がいらっしゃって、そのお父様に駆け寄ってきた娘さんが絵己ちゃんだったんですよね。すごく可愛らしい選手だなって印象でした。

全然覚えていませんでした。当時多分中学1年生くらいだったと思います。

小柄だったので小学生だと思っていました(笑)。あのあと私が(髙橋)大輔を教えるようになって、倉敷のリンクへ行った時に、絵己ちゃんを見て、あっあの時の生徒さんだって思いました。大輔も絵己ちゃんも倉敷スケーティングクラブだったんですよね。

大ちゃんが1期生で私が2期生でした。その頃私は大ちゃんの後をずーっと追っていました(笑)。

フィギュアスケートを始めたきっかけは?

私が初めてスケートを滑ったのは、リンクが「子供の日の無料感謝デー」で一般開放されている時です。父と一緒にスケートを滑りに行ったのですが、その時お客さんと接触して大怪我をしてしまったんです。私はすっかりスケートが怖くなってやりたくなかったのですが、父の教えというか考え方が、何事にも恐怖心を持って欲しくないという事だったんです。それで、怪我が治った後にまたリンクに連れていかれたんですよ(笑)

お父様は素晴らしい方ですよね。一人娘ですから、普通なら二度とやらせたりしないでしょう。

(笑)。それで、もう一回滑ってみたらすごく楽しかったんです。その時父が、スケート教室の生徒募集のチラシを見つけたらしく、私にやってみるか聞いてくれて、私は「やりたい!」って言ったんです。その後佐々木美行(みゆき)先生に誘われてクラブに所属することになったのですが、その時にはすでに大ちゃんがいて「こうなりたいなー!」と思いました。

そうだったんですね。でも大輔もまだ当時はそんなレベルじゃなかったんじゃないですか?

私の母は、当時私がクラブに入る前から大ちゃんに目をつけていたらしいですよ(笑)。
そのあと歌子先生が大ちゃんのコーチをされて、それを見ていて「私も歌子先生に教わりたい!」って思いました。それで(関西)大学入学を機に歌子先生にお願いしたんです。

「野辺山のあの時の子が…」って不思議な縁を感じましたね(笑)。当時私はあまりリンクに居なかったので、そんなに教えることはできなかったんですが…。

歌子先生からは表現の事をすごく学びました。目力や目線の使い方ですね。私はそういう表現力を教わりたかったので、本当に良い先生に巡り合えたなと思っています。

そんなに褒めても何も出ませんよ(笑)。でも絵己ちゃんにそう言っていただけるのは、本当にうれしいです。表現力は成長する生徒もいますが、中々伸びない生徒もいますから。

本当に楽しくやらせていただいたと思います。

絵己ちゃんは学業もしっかりとやられていて、一人暮らしもされていたので、大変だったと思います。大学院に進み、卒業するまで凄く頑張っていたのを覚えています。

先生方や友人たちの支えで何とかやっていけたんだと思います。

大学の先生方の中に絵己ちゃんのファンの方々がいらして、大学の会議に出ると毎回絵己ちゃんの近況を聞かれましたね(笑)。大学に通ってリンクに通って、大変じゃなかったですか?

それは大変でしたね(笑)。高槻のリンクと千里の校舎(関西大学の校舎)が遠くて…。一度吹田の駅から関大まで自転車で走っていたら、歌子先生に自動車で追われたことがありましたね。

そうそう!!上り坂をガンガン自転車で漕いでる学生がいるなと思ったら、絵己ちゃんでしたね(笑)。
本当にたくましいなって思いました。

アイスダンスを始めるきっかけと魅力

アイスダンスを始めたのは大学卒業からでしたね。

はい。大学を卒業する時になって、たまたまアイスダンスをやってみてはどうですかという話を頂きました。私は将来、フィギュアスケートのコーチになりたいと考えていたので、シングルもアイスダンスも両方教えられる先生になれたらいいなと思ったのがきっかけです。でも軽い気持ちでアイスダンスを始めてみたもののとても奥が深くて苦労しました。

アイスダンスはシングルとは全く別競技ですよね。滑るという事は同じでも、シングルとは違う2人のユニゾンや呼吸を合わせたりする部分は本当に大変な競技だと思います。

そうですね。1人で滑るのと2人で滑るのは全然違いますね。お互いにタイミングを合わせるという事ももちろんですが、気持ちが一つにならないと良い演技はできないんだなという事を、自分でやってみてはっきりと感じました。ペアと違いジャンプもないので、ダンスはスケーティングと表現力が命なんです。「氷上の社交ダンス」と言われるくらい踊りが大事で、またユニゾンがどれだけ上手にいくか、それが一番難しいですね。

本当にそれは大変だと思います。教える先生たちもカップル競技は大変そうですね。

本当にそうだと思います。また技術的にも、女性コーチと男性コーチが両方いらっしゃると、どちらとも組んで滑ってもらえるので、アイスダンスは4~5人のコーチでグループ体制を組み教えていらっしゃるところが多いです。

私から見たアイスダンスの魅力としてはやはりスケーティングの上手さです。技術は全然レベルが違いますよね。国際大会などでアイスダンスの練習をリンクサイドで見たりすることがあるのですが、見入ってしまうくらいスケーティングがきれいですよね。また4分のプログラムをジャンプなしで、飽きさせないという芸術性が本当にすごいと思います。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)