数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.16

対談企画 ゲスト:林祐輔先生

現在コーチとして田中刑事選手などの指導を行い、歌子先生とは関大で一緒に指導に当たっている林祐輔先生にお話を伺いました。

田中刑事選手について

林祐輔先生

田中刑事選手はみんなに慕われている、お兄さん的な存在ですね。

そうなんですよね。特に宇野昌磨選手は、小さい頃からずっと刑事の後ろをついて歩いていましたね。刑事と一緒にいると、楽らしいです(笑)

彼は優しいですからね。

すごくまじめな性格なので、挨拶の順番が違うことで、後輩に注意したりすることもあるんですよ。 それと、お金の無駄遣いが嫌いなんですよ。(山隈)太一朗と一緒に買い物に行って太一朗が何か買おうとした時に「それいらないと思うんだけど…。」って刑事が言ったんです。そういうことがよくあるらしくて、だんだん太一朗の考え方が変わってきて、お母さんに「最近田中刑事くんのおかげで無駄遣いが減ったんです」と報告されました(笑)

影響力がすごいですよね。

彼は本当に礼儀とかを重んじる人で、年下の子たちに「挨拶をしっかり」や「アップが足りてないからもう1回やった方が良い」とか、よく言っていますね。

そんな田中刑事くんの強みってなんだと思いますか?

そうですね…。秘めた闘志ですかね。普段は外に感情をあまり出さないんですよね。

ほとんど顔色を変えないですよね。

そうですね。あと彼の強みは、独特な色気だと思いますね。(髙橋)大輔の色気とは違った刑事オリジナルの色気があるんですよね。彼にしかない色気は練習中ももちろん演技の中でもすごく感じます。

羽生結弦選手とも宇野昌磨選手とも違う雰囲気がありますね。その雰囲気、色気というのを、彼自身、自覚せず自然に出せるのはとても魅力ですよね。

全日本選手権での戦いを終えて

林祐輔先生

今シーズンの全日本選手権、田中刑事選手は見事2位に入りましたが、いかがでしたか?

まず、その前のNHK杯で3位になったことで、彼自身の目標が明確化してきていたんです。今までは「ベストを尽くしたい」という言い方をしていたんですが、「表彰台にのぼりたい」と言うようになりました。だから今回の全日本選手権は、3位以内を彼としては狙っていたんです。そしていざ全日本選手権が始まると、羽生結弦選手が欠場という ことになって、全部が想定外の全日本選手権でした。

この結果から、これからは追う立場ではなくて追われる立場になりますね。

ただ、今回の全日本選手権に関しては、本人にとっては満足のいく演技をしての2位ではなかったんです。だから、まだまだ挑戦者という気持ちだと思います。

そういった気持ちは大事ですよね。それでも田中選手は昨シーズンからとても成長しましたよね。

はい!この1年半で一気に成長したと感じています。だから守りに入らずこれからも挑戦者としてもっと成長していってもらいたいです。

前を向いて世界選手権に挑めることは良いことですよね。

本当にありがたいことです。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)