数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.15

全日本ジュニア選手権・全日本選手権について

歌子先生に全日本ジュニア選手権と全日本選手権について伺ってきました。

2016.12.20

長光歌子先生

全日本ジュニア選手権について

■今シーズンの全日本ジュニア選手権はいかがでしたか―

 女子シングルはとてもレベルの高い試合だったと思います。ショートプログラムでは、第1グループに紀平梨花選手や、白岩優奈選手たちが入っていて、その点数を見て「50点超えないとフリーに行けないかもしれない…。」と思いました。
 最近は本当に女子のレベルが上がっていて、ジュニアの選手でも5種類の3回転ジャンプばかりではなく、3回転+3回転のコンビネーションが飛べないと、上には行けないので本当に大変だと思います。今のジュニアの選手たちがシニアに上がってどんな活躍をしていくか見守っていきたいです。

■女子シングルは年々レベルが上がってきていますね―

 確かにその通りだと思います。 優勝した坂本花織選手は、身体的にも能力がすごいと思いました。スピードを生かしたジャンプは高さも幅もあります。コンビネーションジャンプではセカンドジャンプの方が高いくらいですよね。昨シーズンはケガをしていましたけど、今シーズンはスピンもしっかりレベルを取り、テクニカルな部分が非常に安定していますよね。全日本選手権でも活躍が楽しみです。
 2位の白岩優奈選手は、フリーがとても素晴らしかったと思います。昨シーズンの後半にケガをして夏ごろから調整しながら少しずつ調子を戻し、上げていく姿を見ていましたので、間に合ってよかったと思います。今後が楽しみになる演技でした。
 3位の本田真凜選手は今回最終滑走で緊張したんじゃないでしょうか。それでも本田選手は華やかですよね。伸びやかでいつも綺麗だなと思っています。ついつい目がいってしまうというか、ゆったり感があって緩みのないスケーティングにいつも見入ってしまいます。

■女子シングルで気になった選手はいますか―

 総合6位の滝野莉子選手は、同じリンクで練習しているんですけれど、凄く能力の高い選手だなと思っていました。内に秘めたものも感じますし、表現も自分なりに一生懸命頑張っているのを感じるので気になる選手ですね。今回の全日本ジュニア選手権では全日本選手権の切符も手に入れましたし、楽しみですね。

■全日本ジュニア選手権には歌子先生の教え子たちも出場されましたね―

 2名は林祐輔先生の生徒さんですが、林先生が中塩美悠選手の付き添いでポーランドの試合(ワルシャワ杯)に行っていたので、私と本田(武史)先生が代わりに立ち会いました。昨シーズンの全日本ジュニア選手権は逆に、私たちの生徒たちを林先生にお願いしましたし、合宿も一緒にしていましていつも協力関係にいます。

■歌子先生の生徒さんで、ノービスから推薦枠で出場した岩野桃亜選手はいかがでしたか―

 彼女の感性は大好きですね。表現力というものは教えられるものじゃないんですけど、彼女は踊ることに対する意識が中学一年生とは思えないものを持っています。
 全日本ノービス選手権の時、私は西日本学生選手権(インカレ)に行っていて現地にはいられなかったのですが、岩野選手の得点を聞いて(107.00点)この点数だったら優勝できるだろうと思っていたんですけど、最終グループの住吉りをん選手に抜かれてビックリしました。

■ノービスの選手はショートプログラムをいつ練習しているんですか―

 岩野選手の場合は、全日本ジュニア選手権には出られるだろうという前提で、夏ごろから少しずつやっていました。フリーの場合は途中で息を整えたりすることが出来ますが、ショートプログラムの場合は、最初から最後まで一気に行く感じですので意外と体力が必要なんです。だから夏からショートプログラムを鈴木明子さんに振付けていただいて練習してきました。ショートプログラムの練習は意外と皆様が思っている以上に大変なんです。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)