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2012年度 社会貢献トピックス

ベネズエラ発祥の社会教育システム「エル・システマ」で学んだ
福島県相馬市の子どもたちがミニ・コンサート

[2013年3月15日更新分]

「ワールド・ミーティング」が被災地支援とつながった!

国際局の「ワールド・ミーティング」は月に一回、都内にあるいろいろな国の大使館からゲストをお招きして、その国の文化や習慣、ときには政治・経済のホットな話題を紹介してもらうものです。
間もなく40回を迎えますが、たくさんの大使館とネットワークができつつあります。

一方、福島県相馬市で、日本で初めての「エル・システマ」の実践が始まりました。
「エル・システマ」とは、簡単に言えば、いままで楽器に触れたこともない子どもたちにバイオリンなどの弾き方を学んでもらい、みんなで練習するなかで、責任感や協調性を培ってもらおうというプログラムです。
国際局は、この「相馬エル・システマ」を発足当時からずっと応援しています。
2月下旬には、ずっとバイオリンの練習をしてきた子どもたちによるミニ・コンサートが開かれ、国際局のスタッフも会場にお邪魔して、関係者に声援を送りました。
コンサートは大成功!音楽を通して被災地の子どもたちを応援する取り組みでした。

「エル・システマ」とは?

実は、この「エル・システマ」は南米ベネズエラが発祥の地なのです。
首都カラカスには多くのスラムがあり、そこでは強盗や殺人など凶悪な犯罪がきわめて多いのです。
スラムに住む子どもたちも、事件に巻き込まれたり、非行グループに入ったりするケースが少なくなく、なんとかしなければとならないという機運が高まっていました。

そこで、1970年代に始まったのが「エル・システマ」です。
子どもたちに楽器を無償で与えて子どもオーケストラの一員にします。できない子はできる子を目標に、できる子はできない子を指導して、みんながひとつになって曲を弾けるようになった時、ひとりひとりが大きく成長するのです。
子どもが変われば親の意識も変わる。親の意識が変わればコミュニティーも改善される。そうやって地域社会全体のレベルアップを図っていく社会教育システムが「エル・システマ」なのです。

カラカスでは犯罪率がぐっと減り、子どもたちも前向きに希望を持って生きるようになりました。
子どもオーケストラ出身で、世界で活躍する優れたベネズエラ人の音楽家が何人もいます。
この取り組みは今も世界中に広まっています。

きっかけは「ワールド・ミーティング」

ゲストでお招きしたベネズエラ大使から「相馬市でエル・システマが始まる」と聞いたのは去年9月でした。
私たちは「エル・システマ」のことなど、まったく知りませんでした。
「エル・システマ」は貧困層の子どもたちを犯罪から救い、希望を与えるのがそもそもの目的です。しかし、ベネズエラ大使館は、被災して意気消沈している東北の子どもたちを元気づけることに応用できないかと考えていました。
お話を聞いて、とてもいい取り組みだと思いました。

国際局から報道局に呼びかけ、これに応えてくれたのが報道局「新報道2001」のディレクターたちです。
去年10月17日に相馬市内の小学校で第一回のバイオリンのレッスンが行われましたが、ディレクターたちはこの記念すべき日本初の「エル・システマ」を取材してくれました。その後も週一回のレッスンを欠かさず取材し続けて、3月10日(日)に「震災2周年特集」の一環として放送し、大きな反響を呼びました。

  ベネズエラ大使夫人(上段中央)・
エリカさんは元オペラ歌手。
飛び入り参加しました!
 

感動的なコンサート

2月24日、相馬市内で行われたコンサートは超満員でした。
子どもたちは堂々とこの5ヶ月の練習成果を披露し、会場は割れんばかりの拍手でした。
ベネズエラのイシカワ大使からは「フジテレビさんの応援もあって、ここまで来ることができました」とお礼の言葉を頂きました。

いま、相馬市ではちょっとした「エル・システマ現象」が起きています。
うちの子が通っている小学校ではやっていない。どうしたら参加できるのか?という父母からの問い合わせが教育委員会に多く寄せられているそうです。参加している子どもたちの生き生きとした様子から、その効果が認知されたのだと思います。

ここでメディアの役割を考えます。
「相馬エル・システマ」を支援しているのはベネズエラ大使館だけではありません。著名な音楽家や声楽家のほか、各企業も支援に乗り出しています。その輪はどんどん広がっていますが、発足当初からこれに関わっているテレビメディアが私たちです。


私たちはモノを提供しているわけではありません。相馬の活動をできるだけ多くの人たちに知って欲しい、そして応援して欲しいと呼びかけています。
特に、外国からの被災地支援(今回はベネズエラ大使館)は私たちにあまりなじみがなく、普段はよく見えません。そういった情報を入手して、発信するのが私たちの役割だと思っています。

エル・システマジャパンの代理理事、菊川さんは「活動が認知されれば支援してくれる人は必ずいる」という信念を持っています。
「ワールド・ミーティング」がきっかけで始まった私たちの「相馬エル・システマ」支援。これからは国内だけでなく、外国の人たちにも紹介して、広くこの活動を認知してもらいたいと思います。

文:寺田 朋代(フジテレビ 国際局)

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