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FNSチャリティ海外取材メモリーズ(森本さやかアナウンサー【取材当時】)
FNSチャリティ海外取材メモリーズ
【取材当時】フジテレビ・アナウンサー 森本さやか
これまでに3度、FNSチャリティキャンペーンに参加させていただき、アナウンサーとして、また1人の人間として成長できただけでなく、これまでに感じたことがない“憤り”や“無力さ”と初めて向き合った貴重な経験となりました。2013年は児童労働と人身売買をテーマにネパール連邦民主共和国へ、翌年は台風によって壊滅的な被害を受け半年が経ったフィリピン共和国・レイテ島、2019年には児童婚とエイズ孤児の実態を取材するためウガンダ共和国へと渡りました。
どの国に行っても共通して一番強く感じたのは、貧困によって最終的に苦しい生活を強いられるのは子どもたちだということです。日々暮らしていくことが第一優先である家庭にとって、子どもは貴重な労働力であり、教育を受けさせる余裕などありません。勉強したくてもその機会さえ与えてもらえない子どもたちが各国に溢れていました。中でも印象的だったのは、ネパールの首都カトマンズの保護施設で出会った17歳の少女でした。話しかけると恥ずかしそうに微笑むその少女は、カトマンズから遠く離れた2000メートルを超える山の集落で生まれ育ち、貧困のため学校に通うこともできず農業の手伝いをしながら過ごしていました。15歳だったある日、優しそうな男性に「美味しい食べ物や可愛い洋服を買ってあげる」と声をかけられました。その誘いに乗ってしまったことを悔やんでも悔やみきれない一瞬だと語った少女の表情は強張り、目に恐怖が宿っていました。連れていかれたインド・デリーの売春宿で、警察の一斉摘発により助け出されるまでの2年間、少女がどのように暮らしていたのかは、想像を絶します。
ネパールだけでなく、人身売買は今なお世界的な問題となっています。その大きな要因が貧困であり、教育を受けられない、情報を得られないという環境にあります。FNSチャリティキャンペーンは、一つの国で起きている問題を伝え、その国を支援してことはもちろんですが、そこからさらに世界に視野を広げていくことにこそ、半世紀にわたり継続してきた意義があると感じています。世界中のどの子どもたちも自分の夢を抱き、自分で選択し、自分の人生を歩んでいく権利があります。人身売買で苦しんだ少女も保護されてからの生活の中で、美容師になるという夢を抱きました。心に傷を負いながらも、前に進もうとしていました。そういった子どもたちの背中を押すために、支えるために、これまで数えきれない大勢のみなさまから温かい心を寄せていただきました。その想いが各国の子どもたちに届いたことは間違いありません。支援しようと一歩踏み出していただいたことに、この場を借りて心から感謝を申し上げます。50周年を迎えたFNSチャリティキャンペーンはこれからも、苦難にある国・地域や子どもたちの現状を伝え続け、みなさまとともに歩んでいきます。
(右から一番目)ネパールの首都カトマンズの保護施設で出会った17歳(当時)の少女