<第7回> <第8回> <第9回>


<第7回>
 日下部(長塚京三)は怪我が治るまで修道院にいることを許された。しかし、院長の沢木(吉行和子)の配慮で、司祭(フランク・オコーナー)には、弁護士の資格をもってる日下部神父ということになっている。
 日下部は、世話になっている修道院への恩返しのつもりで、修道院の土地問題について調べ始め、立ち退かずに済む手段を探しはじめる。
 日下部に亡き父の面影を見、かいがいしく世話を焼くシスターまりあ(観月ありさ)は、嬉しくて仕方ない。
 しかし、土地の賃借関係はすでに消滅しており、残された手段は土地を買い取ること。しかも5億は下らないという。
 とりあえず司祭に相談してみると沢木は、シスター馬場(深浦加奈子)に留守を頼み出掛けて行った。
 その日の朝食。馬場は、今日が灰の水曜日にあたることを皆の前で伝え、イエス・キリストが断食を行ったこの日にちなみ、自分たちも同じ苦痛を味わってみることを提案した。
 唖然とするまりあたち。しかし、馬場はうむを言わさず、明日の朝食まで一切食べ物を口にしてはならないと断食を断行するのだった。もちろん日下部も。
 だが、日下部はとてもそんなことはできないと、岩田(城島茂)に電話。「何か食べるものを買って来てくれ」と頼むのだった。
 一方まりあは、そろそろ我慢の限界を越えかけていた。モップを持つ手にも力が入らない。誰より先に音をあげると思っていたシスター大山(森公美子)が、何食わぬ顔で掃除してるのを不思議に思い「いつも沢山食べるのに、本当に大丈夫なの?」と尋ねてみた。「もう何年もシスターをしているから、精神の鍛え方が違うのよ」。大山はそう言ったが、実は大山は食料庫の鍵を持っており、こっそり忍び込んで食べ物を盗んでいたのだ。
 そんなこととは知らないまりあは、シスター吉野(上原さくら)が「こんな時のために」と隠し持っていたチョコレートを見ただけで大喜び。さっそく食べよう!とチョコを半分に割ろうとしたその時だった、「何ですかそれは!皆我慢してるんですよ。没収です」。馬場が踏み込んで来たのだ。
 まりあの懇願も聞き入れず、馬場は取り上げたチョコを倉庫にしまうためキッチンへ。だがそこには岩田の姿が。日下部のためにカップラーメン用のお湯を調達しに忍びこんでいたのだ。
 馬場は、倉庫の食べ物が無くなってるのに気付くと、犯人は岩田だと睨んだ。 食堂に集まったシスターたちを前に、日下部は岩田が疑われていることに怒りを爆発させ、「これから一人ひとり尋問し、犯人を割り出す。私はシスターの中に犯人がいると思う」と全員を見渡した。そして・・・

<第8回>
 積極的にボランティアをやっていきましょうという沢木院長(吉行和子)の許可が出て、シスターまりあ(観月ありさ)たちは早速公園に出向いた。
 ホームレスの人へ暖かい食事を提供するために。
 シスター吉野(上原さくら)、シスター馬場(深浦加奈子)、シスター大山(森公美子)、シスター戸川(北浦共笑)も初めてのことに戸惑いながらも張り切って、鍋にいっぱいのシチューを作り上げた。
 だが、ホームレスの人達は、まりあたちの様子を好奇の目で見るばかりで、なかなかやって来てはくれない。「暖かいシチューを皆さんのために作りました」という馬場のことばにも反応は無い。結局集まってきたのは、冷やかしとも嫌がらせともいえるチーマー達で、まりあたちに「良く見ると可愛いじゃん」と絡んできたのだ。精一杯の抵抗を見せるまりあたち。だが、鍋は倒され、料理はめちゃめちやにされ、収拾のつかない状況になってしまう。そこへやって来てくれたのが、日下部(長塚京三)から連絡をもらった岩田(城島茂)だった。
 修道院に戻ってきた吉野はひどくショックを受けた様子だった。
「私たち何も役にたたないのかな…」。まりあも同様に落ち込んでしまった。
 翌朝。修道服に着替えていたまりあは、ロザリオについてるはずの十字架がなくなっていることに気付いた。掃除をしながら、気付かれないように十字架を探すまりあ。だが、そこに馬場を訪ねて見知らぬ女性がやってきた。
 山田光江(石井トミコ)と名乗ったこの女性、実は以前馬場が修道院を飛び出し、空腹で倒れそうになっていた時に団子を恵んでくれたホームレスのおばさんだったのだ。光江は、これを拾ったと十字架を届けにきてくれたのだ。
 そして、昨日公園での一部始終を見ていた光枝は、信頼関係もないところにいきなりやってきてのああいった行為は、なかなか受入れられるものではないと話すのだった。ついでに言わせてもらうと、「味にもひと工夫してほしい」と。
 これを聞いたまりあは、「一度だけであきらめてはいけない」と思い立ち、沢木にもう一度行かせて欲しいと頼むのだった。
 日下部も、岩田をボディガード代わりに行かせるのでとまりあの意見を支持してくれた。
 こうして実現した二度目のボランティアは、光枝の協力もあり成功に終わった。 喜びに沸くシスターたち。だが、そんな中ギブスが取れ、怪我も治ったと日下部が修道院を出て行くことになったことが告げられる。

<第9回>
 「これ以上迷惑はかけられない」。怪我が完治しないままに日下部(長塚京三)は修道院から出ていくことになった。だがその日、日下部を迎えたのは、修道院の土地を狙う前島(西田健)だった。前島の車に乗せられ去って行くのを不安そうに見送るシスターまりあ(観月ありさ)と岩田(城島茂)。
 だが二人のそんな不安はあたってしまう。前島は、「もう一度手を組まないか」と迫ってきたのだ。
 しかし、日下部は「もう二度とお前の仕事をする気はない」と言い放つ。
 これを聞いた前島は、シスターまりあのことを思い出し、彼女の存在が日下部を変えてしまったのだと思い、「亡くなった奥さんに似てる」と不気味な笑いを浮かべるのだった。
 その頃、修道院では、日下部が置いていった金がちょっとした問題になっていた。四百万という大金。返すべきだというシスターまりあに対して、「ボランティアの材料費など最近は不景気だから…」頂きましょうというシスター馬場(深浦加奈子)。結局院長の沢木(吉行和子)が一晩預かった末に、まりあが日下部の事務所に金を返しに行くことになった。だが日下部のまりあ対する態度は冷たかった。金を受けとると、さっさとまりあを追い返したのだ。
 だが、それは、これ以上自分と関わっていることが分かると危険だと考えた日下部の判断だった。
 岩田に送られ戻ってきたまりあは、修道院の前で高瀬直美という新聞記者に呼び止められた。
 高瀬は、公園のボランティアのことを聞き、次回には取材をさせて欲しいと申し出できたのだ。
 まりあやシスター吉野(上原さくら)らは、ぜひまたやりたいと沢木に言うが、どうしても資金がないとシスター馬場は深刻そうに答えた。
 「どうしたらいいのか……」と全員が悩んでいたその時だった、大量の食材が修道院に届いたのだ。小麦粉に野菜…。それらは日下部から送られたものだった。
 これでまたボランティアをすることができる。しかも今度はチャペルを解放して行われることになったのだ。
 まりあたちは二度目のボランティアができることを喜んだ。
 一方日下部は、修道院の地主で、亡くなってしまった前島氏の愛人だった女性、飯田やすよの存在をつき止めていた。修道院のことで何か知ってることがあるかもしれない。日下部は、岩田にまりあたちのことを託し、その女性に会いに行った。そして、はるばる訪ねて行って出会うことができたやすよから、思わぬ朗報を手にすることができたのだった。


戻る


[第1-3回] [第4-6回] [第7-9回] [第10-12回]