<第4回> <第5回> <第6回>


<第4回>
 ある日、シスターまりあ(観月ありさ)のもとにひょっこりと岩田(城島茂)がやってきた。驚くまりあに岩田は、少し時間が取れないか、話しがしたいという。
 洗濯に勉強会…とても時間はないというまりあに、岩田は「暇な時にでもかけて」と言って自分の携帯電話の番号を渡しそそくさと去っていった。
 このことを聞いたシスター吉野(上原さくら)は、岩田はまりあのことが好きになってしまったのだというが、神に仕える使える身でそんなことは考えられない、とまりあはかたくなに言うのだった。
 その頃、日下部(長塚京三)は前島(西田健)の呼び出しを受けていた。修道院の立ち退きを依頼している前島は、土地の買い手が付いたので一日も早く立ち退かせるように日下部に迫ってきたのだ。裏の手口を使ってでもと…。
 数日後、チャペルに石が投げ込まれるという事件がおこった。
 一人祈りを捧げていたシスター馬場(深浦加奈子)の悲鳴を聞いて駆け付けてきたまりあは、塀の外に岩田の姿を見つけた。
 馬場は、石と一緒に投げ込まれた紙切れに「早くこの土地から出て行け」と書かれてあるのを見ると、日下部の仕業とまくしたてた。
 沢木院長(吉行和子)は馬場を制すると、これから直接日下部に会って事情を聞いてくるといい、まりあもこれに同行させてもらうことになった。
 二人を事務所に迎えた日下部は、投げ込まれた石を見せられ、現場から去る岩田の姿を見たとまりあから聞かされた。だが「あいつに限って」と岩田をとりあえずかばってみせる日下部は、事情を聞こうにも当の岩田に連絡が付かないのだともいった。
 その時、まりあは岩田の携帯の番号を聞いてしたのを思いだし、即座にダイヤルしてみた。
 待っていたまりあからの電話が、チャペルに石を投げたことを問いただす内容のものと知ると、岩田は何も言えず電話を切ってしまった。
 さらにもう一度、電話をかけてみようとするまりあ。しかし日下部はまりあの手から受話器を奪うと「私がやらせたことです…」と投石の件を自分の責任と認め、今後こんなことはさせないと沢木とまりあに約束するのだった。
 その夜、日下部の事務所に酔って転がり込んできた岩田は、「酔ってなきゃやってられない!」と日下部に悪態をついた。日下部は、倒れるように眠り込んでしまった岩田をソファに運ぶと、決心したように事務所を出ていった。手には前島から渡されていた金の入った封筒を握りしめて。もちろん行く先は前島のもと。修道院の件から手を引くと。
それはまりあとの約束を果たすことだった。
 しかし、前島があっさりと日下部を見逃すはずはなかった。翌朝、日下部の事務所を前島の手下たちが襲った。
 岩田の抵抗も虚しく、寝込みを襲われた日下部は、そのまま拉致されてしまい・・・。

<第5回>
 修道院の立ち退きの件から手を引きたいと言ったことが原因で前島(西田健)から暴行を受けた日下部(長塚京三)は、岩田(城島茂)の機転で間一髪のところを助け出され、病院に担ぎこまれる。全治一カ月の重傷!
 シスターまりあ(観月ありさ)が、日下部の身の上に起こったこの出来事を知ったのは、修道院に安田(左右田一平)という刑事がやって来た時だった。
 安田は日下部が何者かに襲われ重傷を追ったことを沢木院長(吉行和子)に話し、前島という男の名が容疑者として上がってるといい、この二人の関係を問いただした。
 シスターまりあは、修道院の件から手を引いて欲しいと頼んだ自分の言動が思わぬ結果を招いてしまったと責任を感じ、沢木に日下部の見舞いに行かせてほしいと申し出る。
 その頃日下部は、入院生活を拒否し、さっさと事務所に戻ってしまっていた。
 あきれて困り果てながらも、身の周りの世話を焼く岩田。
 しかも岩田は日下部が働けない間バイトして当面の生活費を工面するという。
 修道院で育てたという花を持ってやって来たまりあは、この状況を目の当たりにして、ますます責任を感じ、修道院に戻ると沢木に、全治するまで日下部の世話に行くことを許可して欲しいと頼むのだった。
 時間の許す限り、修道院の仕事に支障をきたさない範囲で、それでもかいがいしいまりあの看護の日々が始まった。
 しかし、このことを快く思わないものもいた。シスター馬場(深浦加奈子)とシスター戸川(北浦共笑)は、男性の元にひとりで訪ねるなどと…というのだ。しかし、シスター吉野(上原さくら)とシスター大山(森公美子)は、困った人を助けるのは聖書の教えにかなっているとまりあをかばうのだった。
 そんなある日のこと、日下部のもとに再び前島が姿を現した。
 用件は、前回の額に色をつける。だからもう一度修道院の仕事を引き受けてもらいたいというものだった。そして、引き受けてもらえない時は自分が動くことになると…。
 これを聞いた日下部は突然過去の資料と向かい、ある書類をまとめると自ら沢木のもとそれを届けた。
 それは、前島が関わってきた不動産詐欺に関する証拠書類だった。
「これがあれば、前島に勝てる」。まりあの懸命な姿に心動かされた日下部の気持ち。しかし、沢木はこの誠意をありがたく思いながらも、できる限り話しあってみたいという。そんなことが通じる相手ではないという日下部との押し問答が続く。と、その時だった、日下部がドサリとその場に倒れこんでしまったのだ。

<第6回>
 その日、日下部(長塚京三)は、サンタ・ビアンカ・クローチェ修道院の司祭室で目を覚ました。シスターまりあ(観月ありさ)と岩田(城島茂)の願いを受け入れ、沢木院長(吉行和子)が日下部を修道院にかくまってくれたのだ。
 そんな事情を食事を運んできてくれたまりあから聞いた日下部は、「余計なことをして」と岩田のことを責めながらも、しぶしぶまりあが差し出す食事を口にするのだった。
 数日後、修道院に岩田がやってきた。事務所の前には前島(西田健)の手下が見張っていて戻れるような状況ではないと言う。
 岩田はまりあにも会い日下部の様子を話すと、「大変そうだから」と洗濯を手伝ってあげるといってくれた。しかし、そこにシスター馬場(深浦加奈子)が現れ、「人に手伝ってもらっては意味が無い!」と一喝。そして「以前ならこんなことはなかったのに……あんな男を連れ込むから」とこの時とばかり日下部のことを持ち出し、まりあを責めるのだった。
 さらに、我慢の限界を越えた馬場は院長室に出向くと、日下部を今すぐ追い出して欲しいと沢木に直訴。それができないと言われるのならば、自分がここを出て行くだけと言い、荷物をまとめ修道院を出て行ってしまった。
 これを聞いた日下部は責任を感じ、自分が出て行くべきと沢木に話すが、沢木は「以前からあった意見の食い違い。気にすることはないのです」というのだった。 日下部のことはひとまず安心。でも、家族とも絶縁状態であるという馬場のことがどうしても気にかかるまりあは、外出許可をもらうと、シスター吉野(上原さくら)と一緒に馬場を探しに行くことにした。
 商店街、公園…手分けして探すが馬場の行方は分からない。
 実は途中、馬場は必死で自分を探し歩く、まりあの姿を見かけたのだが、思わず身を隠してしまっていた。
 そのうち、雨も降りだし、あたりも暗くなってきた。まりあたちはひとまず修道院に戻ることにした。
 その夜、まりあは心配でどうしても眠れず、一人チャペルに向かった。
 祭壇のマリア像を見上げるまりあ。
 とその時、ガタッと物音が誰も居ないはずのチャペルの二階から聞こえた。 おそるおそるローソク片手にまりあが二階へ上がり、音のする方向にあかりを向けて見ると、そこには全身びしょ濡れで震える馬場の姿が……。そして、馬場は明りのする方を見つめると、浮かび上がるまりあに向かって言った、
「マリア様……?私をお許し下さい…」。


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