あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「爆弾魔が警察署ジャック!?」
 「なんでこんな仕事しなきゃいけないんですかね」「それは俺のセリフだ」。誠(堂本光一)と北見(筧利夫)はブツブツ言いながら保管庫の資料整理をしていた。かたや玲子(黒木瞳)と前川(高木将大)は一般市民を前にして防犯セミナーの講義の真っ最中。その模様を取材する佳織(内山理名)。また生活安全課の部屋では五十嵐課長(山下真司)と芹沢(石原良純)が間もなく着任する新署長の接待の打ち合わせに余念がない。事件のない天現寺署では、刑事たちがそれぞれの仕事をこなしていた。
 そんな中、事件は資料を抱えた誠が生活安全課に入ろうとした瞬間に起こった。「騒ぐな!」「な、なんですか」。いきなりはがい締めにされて、ナイフを突きつけられた誠はうろたえた。「警官どもを吹っ飛ばしてやる!」。この部屋の中にいるのは誠と男だけ。しかし実は隣りの会議室に芹沢が身を潜めており「生活安全課が男に占拠されました」と犯人に気づかれないように、携帯電話で署内の五十嵐課長に知らせた。
 男の名前は青木茂雄(岡本信人)。6年前ホステス殺しの犯人として逮捕。いったん自白したが、裁判では一転無実を訴えたものの、実刑判決で5年間服役した。仕事も妻子も失ってしまった青木は、警視総監の謝罪、前科の抹消、そして生活補償を要求した。もし要求が受け入れられなければ人質を道連れに爆死するという。青木は上着の内側に爆弾を張りつけていた。青木はかつて科学製品の研究員。おろらく爆弾は本物と見て間違いない。
 署内では五十嵐課長以下、北見、玲子、そして刑事課の署員が対応に追われていた。青木は交渉役に北見を指名してきた。「何かつかむまで交渉を引きのばして」。玲子は青木の事件を担当した元刑事のもとへ向かった。「本当に無実だったんですか?」。誠は遠慮がちに青木にたずねた。「ああ、俺は何もやってない」。事件発生時、青木は現場から離れた火事現場で野次馬にまじって見ていたという。「辛い目にあったのは分かるけど、せっかく出所できたんだから、やり直せばいいじゃないですか」「今さら遅い!」。青木は誠にナイフを突きつけると、激しく咳こんだ。かなり健康状態が悪く自暴自棄になっているらしい。「この人、無実かもしれません。もう一度調べてあげて下さい」。青木の死を賭けた訴えに、誠は人質であることも忘れて、北見に再調査を頼んだ。その頃、玲子は青木を取り調べた元刑事、広田(井上博一)の家を訪ねていた。「自白したんなら間違いないでしょう」。広田は退職した後、当時の捜査メモはすべて処分したという。
 「やっぱり何かあったんだ」。佳織は署内の異変に気づいた。ダクトの中に忍びこんで生活安全課へ行こうとすると、向こうから芹沢が葡匐前進でやって来た。「何やってんだ」「どいて下さい」。2人がもみあっていると、下から青木の怒声が響いた。「誰だ!下りて来ないと爆弾をたたみ込むぞ」。
 人質が3人に増えてしまった。「落ちついて食事にしませんか」。殺気だつ青木をなだめようと芹沢は差し入れの寿司をほおばると、やがて芹沢は気持ちよさそうに寝てしまった。「睡眠薬を入れやがったな」。逆に青木の怒りに油を注ぐことになった。
 「君たち、何やってるの」。刑事課の部屋でぼう然としていた一同に声をかけたのは本日付けで天現寺署に着任した新署長、榊原(井上 順)だった。五十嵐課長が出迎えるはずが、この事件ですっかり忘れていたのだ。状況説明を受けた榊原の判断は早かった。「すぐ突入の準備をして下さい」。人質の安全より署のメンツを重んじた。
 玲子は広田に縛られて物置に閉じ込められていた。広田が庭で古びた封筒を燃やしているのを目撃したからだ。「夜になったらあんたを処分する」。青木の取り調べにはからくりがあったらしい。誠も青木の無実を信用する気になっていた。本当に火事現場にいたなら保管庫に写真が残っているかもしれない。「必ず戻ってきます」。青木を説得した誠はダクトを通って保管庫にたどりついた。しかしやっと見つけたファイルからは何者かが写真をはがしていた。万事休す。そして署長室ではついに榊原が断を下した。「もう限界だ。突入したまえ」。

<第8回> 「ウキウキコンビで大失敗!!」
 「やっと見つけたのに逃げられるとはな」「申し訳ありません」。五十嵐課長(山下真司)の前で玲子(黒木瞳)が頭を下げた。しかしもっと気落ちした表情で小さくなっていたのは誠(堂本光一)と北見(筧利夫)だ。昨夜、前川(高木将大)を含む4人は取り込み詐欺事件で指名手配中の容疑者、岡田(羽場裕一)が女のマンションに立ち寄るところを張り込んでいたが、誠と北見のミスで岡田には逃げられ前川は追跡中に足をくじいてしまった。
 北見は謹慎の意味もこめて内勤を命じられた。そして誠は前川に代わって玲子とコンビを組んで、引き続き捜査にあたることになった。「なんか新鮮だな」。誠は張り切るが、北見は面白くない。芹沢(石原良純)がからかうように言った。「あの2人、相性良さそうじゃない」「あいつのドジにどこまで望月が我慢できるかね」。北見は不満げにつぶやいた。
 牧野(阿南健治)と佳織(内山理名)は岡田にだまされた会社社長の浜口(渡辺憲吉)を取材した。「あいつら、絶対に許せない!」。泣き崩れる浜口を事務員の野村留美(田中美奈子)が悲しげに見つめていた。他の社員はすでに見切りをつけて辞めてしまったらしい。
 岡田の共犯者が割れた。刑務所で知り会った江崎芳雄(不破万作)。「この男を洗いましょう」。誠と玲子が恋人を装って尾行していると、江崎はラブホテル街に消え、2人は張り込みを始めた。誠は玲子とのコンビで張り切っていたが、その意気込みが裏目に出た。張り込みが江崎に見つかってしまったのだ。江崎はホテルの非常ベルを鳴らして、その混乱に乗じて姿をくらました。
 留美のことがひっかかった佳織は再び事情を聞いてみた。「どうしてあなただけ会社に残ったの?」「行くとこないし。社長が心配だったから」。留美が席をはずした。彼女のバッグから写真がのぞいている。何気なく手にした佳織は息をのんだ。留美が恋人らしき男と笑っている。その男は岡田だった。
 その夜、佳織は美佐江(石野真子)の居酒屋に顔を出した。佳織は留美と岡田の関係を誠に伝えるつもりでいたが、誠からは「もう仕事中に電話しないでくれ」と言われてしまった。誠は江崎を逃がしてしまったミスを玲子にどう謝るか、そのことで頭がいっぱいだったのだ。また佳織にしてみれば誠と玲子の親密なムードが気に食わない。「わかったよ!」。佳織は打ち明けるタイミングを逸してしまった。
 「どうも何か隠してるみたい」。玲子は佳織の様子がおかしいことに気づいた。「俺が聞いてみます」。誠は喫茶店に佳織を呼びだした。「マスコミにだって守秘義務はあるんだから」。一度はつっぱねた佳織だったが、気落ちした誠の横顔を見ると黙っていられなくなり、留美が岡田の恋人であることを伝えた。「なんで教えてくれたの?」「あの子、すごく苦しんでいるみたい。助けてあげて」。佳織はスクープよりも留美のことが心配だった。
 誠は玲子と共に留美に会った。「悪い人だなんて知らなかったんです」。最初は岡田との関係を否定していた留美だったが、誠が佳織の言葉を伝えると、声を殺して泣きだした。今夜、教会で落ち合うという。すでに別件で逮捕したパスポートの偽造ブローカーから岡田がオーストラリアへ高飛びしようとしている情報をつかんでいた。
3人はタクシーで教会へ向かった。留美は岡田を説得するつもりでいた。玲子は車中から携帯電話をかけるが、五十嵐課長にも北見にも、そして芹沢にも通じない。実はその頃、3人は榊原署長(井上順)と麻雀の真っ最中だった。そして五十嵐が気を効かせたつもりで、部下にも電源を切らせていた。「北見さんにメールしときます」。誠がメッセージを残し終えると、タクシーは教会に着いた――。

<第9回> 「死体がない!!密室殺人の謎」
「親の金で遊びほうけやがって」「あの野郎、絶対にパクってやろう」。
 アパートの一室で双眼鏡片手に張り込んでいるのは誠(堂本光一)と北見(筧利夫)。向かいの高級マンションの大学生・吉沢(阿部薫)は部屋で定期的に麻薬パーティーを開いているらしい。現場を押さえて常習者を一網打尽にするのが狙いだ。
 「おっ!」双眼鏡で覗いている北見が思わず声を上げた。「どうかしました?」「いや何でもない」実は吉沢の階下の男女のカップルがいい雰囲気になっていたのだ。夜になって北見が食料の買い出しで部屋を出た。「他の部屋はのぞくなよ」「わかってますよ」。しかしそう答えた誠も階下のカップルの様子が気になっていた。続きを見ようと再び双眼鏡を向けると部屋の様子がおかしい。男は女を激しくののしると、棒のようなもので女を何度も殴った。「こ、殺しです!」。誠は戻ってきた北見に目撃した一部始終を話した。しかし北見が双眼鏡をのぞくと見えるのは男の姿だけ。そこで異臭騒ぎの点検を装って、玲子(黒木 瞳)と前川(高木将大)に室内の様子を探ってもらった
。  その部屋の住人はカメラマンの山根剛志(黒田アーサー)。「今夜は1人でお仕事を?」「いえ、秘書の女の子がいましたが、さっき帰りました」。バスルームとトイレに異状はない。クローゼットの中もカメラ機材だけ。「死体を隠せるような場所はなかったわ」。玲子の報告に誠の自信はゆらいだ。「だから女が出ていくのを見落としたんだよ」。北見が決めつけるように締めくくった。
 こうなったら自分で殺しの証拠を見つけるしかない。誠は山根のスタッフに当たってみた。秘書の名前は松村恵美(田中沙斗子)。「刑事はコンビで動くもんだぞ」。2人は恵美の友人である愛子(津田三七子)をたずねた。「あの子なら今いませんよ」。昨夜旅行に出かけると写真付きの携帯メールが届いたという。発信されたのは夜11時頃。恵美の背景には夜の街が写っていた。しかし誠が殺人を目撃した時刻は午後9時頃。「やっぱ間違いだったんだよ。帰って寝よ」。北見は大きなあくびをした。
 「まだ殺しのこと考えてんのか」。その夜も誠と北見は張り込みを続けた。「ああっ!」。山根の部屋をのぞいていた誠は驚きの声を上げた。山根と談笑しているのは佳織ではないか。誠はとっさに携帯電話をかけた。「秘書の人が急に休んだから、夜だけ仕事のお手伝いすることにしたの」。山根とは昼間の出版記念パーティーで出会ったばかりという。やがて山根は佳織をモデルにして撮影を始めた。北見はポツリとつぶやいた。「人を殺したわりには落ち着きすぎてる。やっぱシロだよ」。
 しかし事態は急変した。恵美の遺体が公園の植え込みで発見された。鈍器で殴られた傷があった。誠が殺しを目撃した夜から3日たっていた。「山根を調べて下さい」。誠は刑事課の加藤(大河内浩)と佐山(高杉航大)に訴えるが、写真付きメールで山根のアリバイは動かない。捜査本部は物取りの犯行と見ていた。
 張り込みを始めて3日目の夜。ついに誠と北見は吉沢の麻薬パーティーの現場を押さえた。室内の捜索を終えた生活安全課のメンバーはマンションの駐車場で山根と出くわした。誠は黙っていられなかった。「恵美さんを殺した犯人、必ず捕まえてやります」「期待してますよ」。山根は挑戦的な視線を誠に投げ返してきた。
 「私たちのこと、覗いてたんでしょ!」。佳織に問いつめられて誠は一部始終を打ち明けた。「写真付きメールなんか簡単にインチキできるわよ。携帯のカメラの前に写真を置いて写せば、一丁上がりじゃない」。佳織はあっさりと山根のアリバイを崩してしまった。そして佳織が写った山根の室内写真を見ている内に、今度は誠がひらめいた。吉沢の部屋を捜索した時に撮った写真と見比べた。「これだ!」。同じマンションの同じ間取りの室内。ところが吉沢の部屋にはない柱が山根の部屋には写っていた。「死体はこの中にあったはずです」「理屈としては正しいわ」。玲子も誠に賛同してくれたが、榊原署長(井上順)から突然捜査の打ち切りが命じられた。国会議員である山根の父親が圧力をかけてきたのだ。そして誠は1週間の謹慎を命じられた。
 しかし誠は佳織に協力してもらって山根の部屋に忍びこんだ ――。


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