あらすじ
<第4回> <第5回> <第6回>

<第4回> 「ナゾの美女の正体を暴け!!」
 「君たちに特別な任務があるんだ」。誠(堂本光一)と北見(筧利夫)は五十嵐課長(山下真司)の改めた口調に緊張した。ところがその任務の説明を聞いて拍子抜けした。天現寺署では市民に愛されるイメージ作りのために新しいマスコットを考案。
 今度の日曜日の交通安全パレードでお披露目して名前を募集する。その着ぐるみに当日、誠か北見のどちらかに入ってもらいたいというのだ。「当日まで一般にはもちろん、署内でもこのマスコットの存在は秘密だ」。
 「ただいまブツを移動中」。誠は警察無線で知らせた。「俺たちでこの子の名前、決めませんか」「プー子でどうだ」。北見の投げやりな声が無線機から返ってきた。誠がふと前方の公園に目をやると、人だかりしている。明け方に男の射殺死体が見つかった現場だ。誠が様子をうかがっていると、現場検証していた玲子(黒木瞳)に見つかった。「自分の仕事に戻りなさい」「はい」。誠が車に戻ると、後ろのドアが開けっ放しになっている。不信に思った誠は車の中を見て絶句した。バンからプー子が消えていたのだ。
 「署長にバレたら大変だ。下手するとクビだぞ」。北見は誠に口止めさせて、2人でパレード当日までにプー子を捜し出すことにした。五十嵐課長は運搬が無事終わったものと信じて、2人に公園の殺人事件の捜査本部に加わるよう命じた。殺されたのは45歳の不動産会社の社長。「目撃者はいないのか?」。捜査本部長の声も誠と北見には上の空。「こっちの捜査をしているふりをしてプー子を探すんだ」。犯人は警察無線を盗聴していたらしい。2人は無線機店をあたるが、手がかりはつかめない。「成果なしか」「あと1日ある」。2人が美佐江(石野真子)の居酒屋「天川」でグチっていると、佳織(内山理名)が浮かない表情で姿を現わした。「こんなことで落ち込んでちゃダメだ」。また上司の牧野(阿南健治)とぶつかったらしい。
 切羽詰まった誠は警察無線で犯人に呼びかけた。「プー子を返して下さい」。しかし全署員が聴いていることを誠は忘れていた。「怒られると思うと、課長にも北見さんにも言えなかったんです」。誠は自分1人のミスだと五十嵐課長に嘘をついた。「それでいい気分か」。北見は怒ったが、とにかく今はプー子を見つけることが先決だ。
 一方、玲子は犯行時間に公園から立ち去った高野真理(嘉門洋子)という女を見つけた。「何か見たんじゃないの?」「関係ないよ」。かつて弟を窃盗容疑で誤認逮捕された真理は、警察に対する不信感をむき出しにした。実は真理は犯人の矢野(木下ほうか)と木原(鈴木一功)を目撃していたが、警察に知らせたら殺すと脅迫されていたのだ。「犯人に襲われる可能性があるわ」。玲子はなかば強引に真理を留置所に拘留した。「問題になるんじゃないか」。上層部は懸念したが、玲子は自分の判断に自信をもっていた。
 プー子が交番前に置き去りにされていた。警察無線を聴いた犯人が恐くなって返したらしい。「よかったあ」。誠と北見は安堵のため息をもらした。そしてパレード当日。「お前には借りができた。俺がプー子の中に入る」「先輩にそんなことさせられませんよ」。2人が言い合っていると、外ではキャーと大歓声が湧き上がった。天現寺署の廊下は交通安全パレードで一日署長をつとめる叶美香(叶美香)を一目見ようとする婦警や男子職員でごった返していた。「俺もちょっと見てきます」と誠が出て行き、残った北見も憮然としながらトイレに出て行った。するとその瞬間、着ぐるみの入った木箱が開き、ゆっくりとプー子が立ち上がった。
 「お前入っちまったのか。しょうがないな」。北見はてっきり誠が入っていると思い込んでいた。そして先導しようと途端、プー子は消火器で北見の後頭部を殴りつけた。  「何あれ?」「さあ」。廊下でプー子に出くわした玲子と真理が首をかしげていると、プー子はポケットから銃を取りだすと真理に狙いをつけた。「うっ!」。とっさに真理をかばった玲子が撃たれた。誠と佳織が階段を上がってきた。玲子が叫んだ。「逃げて!そいつは殺し屋よ!」。誠は佳織と真理を促してボイラー室に逃げ込んだ。
 プー子の中から現れたのは矢野だった。「もう逃げられないよ」。不敵な笑みを浮かべた矢野が近づいてきた──。

<第5回> 「刑事が110番するとき」
 誠(堂本光一)は北見(筧利夫)とひったくり犯・野田(田中要次)を追跡していたが、北見とはぐれた隙に拳銃を携帯している素振りを見せた犯人に一杯食わされてしまった。「しばらくそこで反省してろ!」。北見にも見捨てられて途方に暮れていると、若くて美人な由紀(雛形あきこ)という女性から声をかけられた。「私、良くないオーラを持っている人が見えるんです」。誠の身の上に近いうちに大きなトラブルが起きるという。由紀は別れ際にお守りをくれた。「はあ、ありがとう」。半信半疑で首をかしげていた誠だが、その後偶然にも犯人が現場に戻ってきて格闘の末に取り押さえることができた。「なんか、効いたかも」。誠はお守りの御利益を少し信じる気になっていた。
 一方、最近天現寺署管内では中国製のトカレフ拳銃による犯罪が頻発していた。早速、誠と北見も拳銃密売人の捜査に加わることになった。「こっちも拳銃を携帯するように」。五十嵐課長(山下真司)の指示に誠は弱った表情をのぞかせた。射撃の腕前はからきし自信がないのだ。そのころ佳織(内山理名)も新聞社でしょげ返っていた。「こんな写真使えるか。プロ失格だ」。上司の牧野(阿南健治)は佳織の撮った被害者の写真を床にバラまいた。佳織は被害者にレンズを向けた時、どうしても同情心が抑えきれなかったのだ。誠は北見と捜査中に情報屋のマツ(諏訪太郎)のもらした一言が気になっていた。「あんちゃんも命は大切にしろよ」。佳織がその理由を古い新聞記事から見つけてくれた。かつて北見は拳銃強盗を追いつめたが、無謀な追跡をしたため、コンビを組んでいた刑事が撃たれたらしい。「その人の二の舞にならないで」。心配してくれる佳織の声に、あの由紀の言葉がよみがえった。「大丈夫かな、北見さんとコンビ組んで」。心細くなった誠はお守りに書いてあった携帯電話にかけてみた。「エネルギーあげましょうか」。誠は今夜ホテルのラウンジで由紀と再び会うことになった。
 前川(高木将大)と組んで捜査にあたっていた玲子(黒木瞳)は尾行者に気づいていた。「今日ずっとね」「何者でしょう」。捕まえてみると探偵事務所の人間だった。玲子にはピンときた。1人息子の健太(春山幹介)の親権をめぐって争っている元夫が依頼したのだ。玲子の仕事がいかに危険で、子供の養育など無理だということを証明するために。「あのヤロー」。玲子は小さくつぶやいた。
 「上の部屋に行かない?」。由紀から誘われた誠ははやる気持ちを押さえてトイレへ。すると、後ろの個室で固いモノが床に落ちる音がした。あわてて男の手が拾いあげたが、誠は見逃さなかった。拳銃だ。迷った誠は匿名で警察に通報した。「いいよな。後は任せれば」。自分を納得させて、誠は由紀の待つ部屋へ向かった。
 北見と玲子がホテルに駆けつけたが、男はすでに姿を消していた。そして110番通報は録音されていたため、誠の声だとすぐにバレてしまった。「女といたことはいい。それよりお前はビビって銃を持っている奴から逃げた。問題はそっちの方だ」。北見の言葉が誠の胸に深く突きささった。その後、ホテルの防犯ビデオから男の素性が暴力団員の小沼(盛島仁)だと分かった。五十嵐課長以下、急にわざとにしい腹痛を訴えた芹沢(石原良純)をのぞく全員が小沼の逮捕に向かった。
 署で待機を命じられた誠が防犯ビデオを見直していると、佳織がやって来て、誠の足元のツボに気づいた。「ひょっとして買ったの?バカじゃない」。昨夜あれから、誠は由紀から小さなツボを30万円で買わされた。インチキ霊感商法の手口だ。「北見さんの相棒、撃たれたって言うし。不安でさ」「どうせ女に色仕掛けで迫られたんでしょ、サイテー!それにあの事件は北見さんが無理したせいじゃなかったんだよ。怖くて撃てなかった北見さんは、それから必死に怖いのを克服したんだよ。壷に頼るあんたよりよっぽどカッコいいよ」。佳織は憤然と出ていった。
 ガックリきた誠が防犯ビデオをぼんやり見ていると、不審な清掃員に気づいた。もし小沼が拳銃の買い手なら、売り手がいるはずだ。
誠はロッカーから拳銃を取り出すと、一人でホテルへ向かった。

<第6回> 「少年ギャングを守りたい!?」
 非番の誠(堂本光一)が佳織(内山理名)とデートしていると、学生風の男が少年グループに恐喝されているのを目撃した。佳織の手前、知らんぷりはできない。「この人、刑事なのよ」。しかしケイ(塚本高史)ら少年達は笑い飛ばすと、2人に近寄ってきた。「暴力は良くないと思うんだ」。誠のイヤな予感は的中してしまった。
 生活安全課では休日返上で誠をのぞく全員が顔をそろえていた。天現寺署管内では最近、少年グループによる犯罪が急増していた。「課をあげて警戒態勢をとることにした」。五十嵐課長(山下真司)が訓示していると、また被害者が署に到着した。顔にアザを作った誠と、カメラを奪われた佳織だった。「犯人はどんな連中でしたか」。北見(筧利夫)があてつけのように誠の被害届を作成してくれた。
 落ち込む誠と対照的になんとかしてカメラを取り返したい佳織は、質屋にカメラを売りにきたコギャルたちの情報をつかんだ。その内の1人、マキ(神谷涼)は佳織の中学の後輩で、事情を打ち明けると快くカメラを返してくれた。しかし誠が少年グループのことを聞き出そうと警察手帳を示すと「(刑事に)見えなーい」と軽くあしらわれてしまった。「あいつらにこれ以上、罪を犯してほしくないんだ」。誠のその一言がマキの頑なだった心を開かせた。マキの弟サトシ(牧野紘二)はグループで使い走りをさせられていた。グループは暴力団への上納金を稼ぐために、大がかりな窃盗を企んでいた。倉庫から商品を根こそぎ奪うつもりなのだ。弟を犯罪者にしたくないマキは佳織を通じて、生活安全課に助けを求めた。
 決行は明日の午後2時。「事件を起こす前に止めさせて下さい」「私たちがなんとかするわ」。玲子(黒木瞳)は請け合ったが、彼女にとっても明日は特別な日だった。別れた夫の康夫(浅野和之)と争っている息子・健太(春山幹介)の親権の審判があるのだ。どんなことがあっても家庭裁判所へ行かねばならない。
 捜査を主導する刑事課は現場に待ち伏せしてメンバー全員を強盗未遂容疑で逮捕する方針を打ち出した。「彼女は事件を起こす前に止めてほしいんです」。誠が異を唱えると、玲子も同調してくれた。「犯行を未然に防ぐ方法も検討したほうが」。しかし捜査方針をくつがえすことはできなかった。「捜査に加わって大丈夫か?」。五十嵐課長は審判のことを気づかったが、玲子は「抜けるわけにいきません」と動揺の素振りも見せなかった。そんな最中、健太が学校をサボって補導された。仕事で迎えに行けない玲子の代わりに佳織が交番まで行ってくれた。「私ができることは頑張っている自分の後ろ姿を見せることだけ」。父親か母親か、どちらを選ぶかは健太の意思を尊重するつもりだった。
 少年グループの決行当日がきた。誠は出かけようとするサトシの足にしがみついて力づくで制止した。「もう行かねえよ」。ホッとしたのも束の間、サトシは思いがけないことを告白した。襲撃するのは別の倉庫へ計画変更になっているいうのだ。誠は携帯電話で張り込んでいる北見らに連絡すると、1人きりで襲撃目標の倉庫に直行した。「うわっ、先にあいつらが来ちゃった」。誠が管理人と息を潜めていると、バイクに乗ったケイたちがやって来た。


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