あらすじ
<第10回> <第11回> <第12回>

<第10回> 「連続放火魔のハートを掴め」
 天現寺署管内で火曜日の夜毎、放火事件が発生した。そんな矢先、誠(堂本光一)と北見(筧利夫)は飼い犬を取られたという主婦の訴えを受けて、アパートで1人暮らしている美希(辺見えみり)を訪ねる。美希は主婦とその息子が飼い犬をイジメていると主張したが、2人に説得されて犬を返した。
 放火現場で誠は暗号めいた4ケタの数字を発見した。犯人からのメッセージの可能性がある。しかし捜査本部は前科のある山川(吉田 朝)を逮捕するが、山川の自白は空き巣の犯行を隠す為の嘘であることが判明した。一方、美希のことが気がかりな誠は彼女の身辺を探りだした。そしてまた火曜日の夜がきた。署員たちはそれぞれの担当地区を巡回し始めるが──。

<第11回>「超最悪!!凶弾に倒れる刑事」
 寸借詐欺犯の小田(長岡尚彦)の目撃されたマンションへ誠(堂本光一)と北見(筧利夫)は駆けつけたが、室内はすでにもぬけのカラ。そこへ若い男女が現れた。北野奈美(相田翔子)と弟の健児(井澤健)。小田はかつての恋人だった奈美の部屋からバッグや預金通帳を持ち出したらしい。「ボヤボヤしないで捕まえてくれよ!」。健児は2人にくってかかった。
 「後は警察に任せて下さい」。誠と北見は小田が立ち寄りそうな宿泊施設をしらみつぶしに当たっていると、簡易旅館から健児が取り乱して逃げ出してきた。その直後、女性従業員の悲鳴を聞き二人が中に飛び込むと、室内には血まみれのナイフ、そして息絶えた小田の体があった。「あの野郎、バカなことを」「俺たちが先に行ってたら、アイツは殺しなんかしなくて済んだはずなのに」。誠は自分を責めた。そんな矢先、健児から誠に電話がかかった。「俺はやってない!姉に伝えてくれ」。健児が訪れた時、すでに小田は殺されていたという。
 しかし凶器のナイフから健児の指紋が検出されたとあっては、捜査本部の健児=犯人説をくつがえさせることはできなかった。姉弟の父親はすでになく、母親は入院中。健児が頼れるのは奈美だけだ。玲子(黒木瞳)と前川(高木将大)は奈美の働くケーキ屋を張り込んだ。一方、誠と北見は小田が出入りしていたクレジット会社で事情を聴いた。「半年前に30万円お貸しして、1カ月後に返済してもらってます」。専務の田辺(峰岸徹)はよどみなく答えたが、明らかに何か隠していた。「あの専務、大嘘だな」。
 2人が居酒屋“天川”で飲んでいると、佳織(内山理名)が浮かない表情で入ってきた。「もう仕事辞めちゃおうかな」。誠が驚くと同時に、佳織の携帯電話が鳴った。「容疑者のお姉さんが見つかったの。今から突撃取材だって。またね」。佳織は店を飛び出した。
 奈美をマスコミの目にさらしたくなかった誠は、佳織たちが来る前に張り込み中の玲子や別の刑事達の目を盗んで奈美を連れ出し、健児からの伝言を打ち明けた。「ありがとう、教えてくれて」。しかし誠の行動は刑事として許されるものではなかった。
「君には捜査から外れてもらうよ」。榊原署長(井上順)は誠だけでなく北見まで捜査から外し、クレジット会社の調査には芹沢(石原良純)を指名した。「愛田とのコンビを解消させて下さい。こんな気分次第で動くヤツと組んでいたら、命がいくつあっても足りません」。誠は自分の耳を疑った。まさか北見からこんな言葉を浴びせられるとは・・・。しかし北見は誠を無視して生活安全課の部屋を出て行った。
 「弟からメールが来たんです」。奈美から誠に連絡が入った。刑事たちに監視されている彼女は動けない。「代わりに会って出頭するよう説得して下さい」。誠は川沿いの公園で健児と会った。「俺は殺してない。警察なんか行かないぞ」。健児は誠を殴り倒し逃げようとするが、その前に玲子と前川が立ちふさがり健児は逮捕された。
 「彼はもう一度あなたに認めてもらいたいと焦ってるのよ」。玲子は北見にコンビ解消の真意をたずねた。「俺はある男の裏を調べている。これからヤバイことになるかもしれない。相田を巻き込むわけには行かないんだ」。北見は巨悪に単身で挑むつもりだった。「分かった。気をつけて」。玲子も多くは問い返さなかった。
 「父親の身体の調子が悪くて。母親が実家の食堂を手伝ってほしいって」。佳織から告白されて、誠が必死に言葉を探していると携帯電話が鳴った。「奈美です。いま変な男につけられているみたいなの」。誠が掛けつけると競技場のスタンドの下を奈美が逃げていた。追いかけているのはヤクザっぽい男だ。「お前誰だ。その人を放せ!」。誠が男に迫ると、男は懐に手を入れた。「危ない!」。物陰に隠れていた北見が誠の前に飛び出した瞬間、北見がピストルで撃たれた──。

<第12回>「さよなら新米刑事」
 北見(筧利夫)は誠(堂本光一)をかばおうとして、須藤(川上泳)の銃弾に倒れた。「助けて!」。須藤は奈美(相田翔子)を拉致して逃げていく。「行け!刑事だろ」。誠の心は揺れたが、すぐに須藤を追い始めた。「言え!鍵はどこなんだ」「本当に知らない」。奈美がコインロッカーの鍵を持っていないと気づいた須藤は、追いついた誠を殴り倒すと逃げ去った。
 北見は手術室に運びこまれた。すでに意識はない。「どういうこと!誰に撃たれたの」。玲子(黒木瞳)に問われても、誠はうわ言のように「俺を守るために」と繰り返すばかり。医師は今夜がヤマだと宣告した。誠と玲子はベッドに横たわる北見をじっと見つめた。「北見君は本心でコンビ解消を言ったんじゃないわよ」。北見はある人物を追っていたが下手をすれば警察を辞めなければならない。誠を巻き込みたくない一心で、あえて冷たい態度をとったのだ。「誰なんですか?」。それは玲子にも見当がつかなかった。
 誠の中で消えかかっていた刑事魂に火がついた。「俺を捜査に戻してくれるよう、署長に頼んで下さい」。誠の熱意にうたれ、五十嵐課長(山下真司)が榊原署長(井上順)に掛け合ったおかげで誠の捜査本部への復帰が認められた。
また奈美の協力で須藤の素性が割れた。殺された小田(長岡尚彦)は脱税を記録した裏帳簿をネタに、田辺から1億円を脅し取ろうとしていた。須藤は田辺への借金棒引きを条件に、小田との交渉役を引き受けたが口論から小田を刺殺してしまい、帳簿を隠したコインロッカーの鍵も手に入れられなかったのだ。
 北見の容体が安定し、つきっきりだった佳織(内山理名)と美佐江(石野真子)の顔にも安堵の色が戻った。「実家に帰るとか言ってたよな」。誠は佳織が母親から実家の食堂を手伝ってほしいと催促されていたことを思い出した。「冗談だよ。気にしないで」。誠に心配をかけたくない佳織は思わず笑顔で嘘をついてしまった。
 奈美のバッグから小田の名前が書いてある駅の手荷物預かり証が出てきた。誠は捜査本部に知らせた後、玲子と駅のカウンターへ向かったが、一足先に別の刑事が受け取って帰ったと言う。おそらく偽者の刑事だがこの情報は捜査本部の人間しか知らない。警察内部から情報がもれたのではないか?!その時、北見の意識が戻ったという連絡が入った。 「すみません。俺を助けるために」「気にするな」。誠から捜査状況を聞き終わった北見は衝撃的な告白をした。「田辺は榊原署長とつながってる可能性がある」。榊原はかつて北見の上司だったが、暴力団との黒い交際がウワサされていた。そして今回も田辺から何度も接待を受けていた。「今下手に動いても、榊原に押さえ込まれるだけだ」「向こうが動く前に、きっと何かつかんでやります」。病室を飛び出していった誠の後ろ姿を、北見はベッドから心配そうに見つめた。
 「あなたは須藤の借金を肩代わりして、汚い仕事をさせたんじゃないですか!?」。誠は怒りに任せて田辺を詰問するが、なんの証拠もないため逆に田辺から脅迫未遂で訴えられた。「署長は田辺と通じている疑いがあるんです」。誠の衝撃的な報告に五十嵐と玲子も驚いたが、証拠がなくては動けない。
誠は榊原から停職を命じられた。誠は怒りをこらえて警察手帳を机の上に置いた。同じ頃、佳織も新聞社の上司、牧野(阿南健治)に退職願を提出していた。「お別れなんだ。実家に帰るよ」「俺も刑事、辞めるかも」。美佐江の店で誠と佳織は沈んだ顔をつき合わせてると、入院中の北見から電話が入った。
 「もう恐いものなしだろ。俺に考えがある。すぐ病院に来い!」。誠は立ち上がった。「行かなきゃ」「やっぱ続けたいんだね、刑事」。誠はうなずくと店を飛び出し、ルーキー刑事の最後の戦いが始まった──。


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