<第7回> <第8回> <第9回>


<第7回>
 「呪いのビデオテープ」に隠された謎の「貞」という文字を追って伊豆大島から帰京した浅川(柳葉敏郎)と明子(京野ことみ)は、超能力者・山村志津子の研究者・故伊熊平八郎教授の自宅で、「貞子」という名の娘の写真を発見した。二人は「今すぐ会いたい」と申し出たが、伊熊の未亡人(佐々木すみ江)は「貞子は高校を出るとすぐに女優になるため、『飛翔』という劇団に入り、その後連絡はない」と取りつく島もない。浅川と明子は、未亡人の様子や志津子にそっくりの顔つきから、「貞子」は伊熊と志津子の間に出来た子供であろうと推測する。伊熊の遺品の中から、志津子が貞子に送ったと見られる髪留めを見つける。さらに伊熊の論文「記憶は遺伝する」の裏表紙に書かれた「悪魔は世に放たれた。怨念がやがて世界を破滅させる」という文句に慄然とするのだった。
 明子は一緒に「飛翔」を調べようと提案するが、貞子の力を恐れる浅川は、「俺一人でやる。俺がいなくなったら、だれが陽一の面倒を助けるんだ」と、明子を説得する。自宅に戻った浅川は、陽一の世話をしに来ていた母親に、自分の寿命である可能性の、後一週間ほどいてくれるように頼むのだった。それからもう一度、ビデオをコンピューター解析した映像を検証してみる。貞子の念写と考えれば、納得のいく部分は多い。大島の映像や、鏡に映った志津子・・・。しかし、この赤ん坊は、貞子本人なのか、肩に傷のある男はだれなのか・・・。疑問は止まる所がない。
 翌日、浅川は、一人で劇団「飛翔」に出かけた。「飛翔」は昭和38年に創立され現在も活動を続けていた。
 そのころ、2日振りに出社した明子は仕事に追われていたが、手につかない。机の上にある文化人類学者・高山(長瀬智也)の資料を何気なく手に取ると、高山の論文「記憶の遺伝に関する分子生物学的検証」というタイトルが、伊熊教授の論文「記憶は遺伝する」に符丁があうことに気付く。明子は伊熊の家へ電話し、会社を飛び出してしまう。
 一方、病理学者・宮下(黒木瞳)は、研究者の阿部(池内万作)が、研究資料を盗んでいるようだ、もしかすると培養細胞を盗んだのも阿部かもしれない、と長尾教授(山本圭)に相談する。研究室のドアを開けた宮下は、首吊り自殺している阿部を発見してしまう。
 そのころ、浅川は、「飛翔」の団長・有馬に話を聞いていた。有馬は「貞子」と聞いた途端、顔色が変わる。有馬は「昭和41年に入団し、1年しかいなかった。それきりだ」と吐き捨てる。「なぜ、神経質に反応するのか」と食い下がる浅川に対して、有馬は「貞子には飛びぬけた才能があった。『サロメ』は伝説的な舞台だったが、森山という団員と駆け落ちし、それきりになってしまった」と重い口を開き立ち去ってしまう。が、八木(鈴木砂羽)という女性団員が浅川を追ってきた。「最近、貞子に会った」と言うのだ。さらに「貞子が今晩、稽古場にやってくる」と言う。
 会社を飛び出した明子は、高山の自宅を探し当て、入ってみる。高山の不思議な妹・舞に遭遇するが、高山は「忘れろ」と言い、引き離す。明子は高山に「志津子を殺したのはあなたで、貞子を追うように仕組んでいるのだろう」と詰問する。が、高山は「志津子は本物の超能力者で私はかなわない。しかも、このゲームは想像するほど単純じゃない。あなたも私も、全員が生きるか死ぬかのゲームに、否応無しに参加させられたのだ」と語る。
 その夜、宮下と意見交換した浅川は、高山の「貞子の呪いの実行を邪魔すれば、あなたは殺される」という忠告を聞き流し、「飛翔」の稽古場に向かう。八木と一緒に待つが、貞子は現れない。諦めて帰ろうとした時、コンセントの抜けたテレビが「砂嵐」の画面を映し出す。電気は明滅し、物が倒れる。そして、なんと、八木が襲い掛かってきた。テレビ画面は「呪いはかけられた。憎しみは憎しみを生む」という字を映している。八木は老婆の声で「この世の4人に一人が死に至る。この世は滅ぶ」と言いながら、ナイフを浅川の胸に突き立てた。八木は気を失う。浅川は刺さっていないナイフを引き抜く。なんと胸ポケットに入れていた志津子の髪留めが、刃先を止めていたのだった。
 浅川はその足で高山の研究室に行き、経過を教える。高山はそれは貞子が操ったもので、ゲームの本当の楽しみはこれからだ、と笑い出す。
 明子は翌日、高山の研究室で前夜の事件を高山から聞く。高山は、「『4人に一人が死ぬ』というくだりに、助かる答がある。が、知れば、苦しみは増す」と謎解きを示唆する。
 再び「飛翔」の稽古場を訪れた浅川は、何か知っていそうな有馬を問い詰める。その時、八木が再び憑かれたようにわめいた。「とぼけるな。お前は32年前、私を利用して人を殺した」。愕然と「貞子」と口にする有馬。これは、貞子しか知り得ない事実であろうか?八木には貞子が乗り移っているのだろうか・・・。浅川が帰宅すると、表に明子がいる。明子は「答が分かりました」と泣き崩れる。

<第8回>
 「呪いのテープ」の謎を解こうと必死の新聞記者・浅川(柳葉敏郎)のもとへ、後輩の明子(京野ことみ)が「謎が解けた」と飛び込んできた。貞子が乗り移ったと見られる劇団女優・八木(鈴木砂羽)が「人類の4分の1が死ぬ」と予言した数字から計算し、生き残るためには「まだテープを 見ていない人間二人に見せること」と推測したのだ。
 浅川は、まだ八 木が貞子と決まっていなし、最初に死んだ学生たちが複数の人間で見0ていたのに死んだのはおかしいと、明子を落ち着かせる。が、浅川も気に懸かり、病理学者・宮下(黒木瞳)の助言に沿って、八木に本当に貞子が乗り移っていたのか確かめようと八木の自室を訪問する。
 八木は、病気の様子で、浅川は車で宮下の病院に運ぼうとする。八木の道案内で進むうち、ひと気のない場所へ着いてしまう。その時、八木は老婆のような声で笑い、浅川に襲いかかる。危うい所を逃れ、もみ合ううち、八木は気を失う。浅川は再び病院へ向かった。
 そのころ、文化人類学者・高山(長瀬智也)のもとへ、刑事の柏田(渡辺哲)が訪れ、「呪い殺人事件で死んだ金田教授の首に高山の妹・舞(矢田亜希子)の指紋があった」と告げる。
 その夜、八木が休んでいる病室に不審な男が忍び込み、八木を殺そうとしているのを宮下が見つけた。浅川が取り押さえると、なんと、劇団団長の有馬だった。その時、八木が立ち上がり、「この体は用済みだ」とつぶやき、崩れ落ちる。
 有馬は、「32年前の報いを受けることになった」と語る。貞子の超能力に気がついた若き日の有馬は、貞子の能力を利用し、強盗殺人を働いていたのだ。今そのことを知る者はなく、有馬は「あれは、間違いなく貞子だ」と断言した。浅川の疑問の一つが解けた。
 しかし、「見せるだけで」は助かるとは思えぬ浅川は、高山を訪ねる。高山は、呪いの言葉「うぬはだーせん」をあげ、「子供を産む。つまりテープのコピーをするんです」と回答を出す。つじつまは合ったが、それでは、憎しみだけが増殖すると、絶望する浅川だった。
 浅川と明子が、情報を交換すると、明子は「13日でコピーを見せていくと、丁度1年で突然人類の4分の1が死ぬ計算で、誰に見せるべきか考えていた」と言う。浅川は、「見損なった」と、席を立ってしまう。ば倒されたショックで、明子は、高山の研究室を訪れる。
 高山は、困ると泣き付くのは身勝手だ。金田教授殺しの疑いがかかった舞を警察からかくまうなら協力する、と明子に取り引きを申し出る。引き受けた明子に高山は「念写は写すものと距離が近いほど強力だ」と貞子の居場所のヒントを出す。
 そのころ宮下の病院に行った浅川は、宮下から「この話は生命が生存していくシステムと似ている。憎しみがDNAでビデオテープが生物。特に、ウイルスの戦略にそっくりだ」と興味深い説明を受ける。
 浅川は「言い過ぎた」と謝罪を含めて明子と連絡を取る。「念写の距離と効力」の話を聞き、二人は諦めずに貞子を探すことを確認する。
 一方、学内で事件が多発するため、宮下と長尾教授(山本圭)は、おとりのウイルスを使うことを決める。
 浅川と別れ部屋に戻った明子は、かくまった舞を見て驚いた。立ち上がった舞が「うぬはだーせん」と呪いの言葉をつぶやいているのだ。「あなたは、だれ!?」。ショックを隠せない明子だった。

<第9回>
 明子(京野ことみ)にかくまわれた文化人類学者・高山(長瀬智也)の妹・舞(矢田亜希子)は、「うぬはだーせん」と呪いの呪文を唱え倒れてしまった。困った明子は、舞を浅川(柳葉敏郎)の友人の病理学者・宮下(黒木瞳)のもとへ運ぶ。
 その間、浅川は、「ビデオの呪い」の噂の発信点に近い所に貞子がいるに違いないと、場所の特定を急いでいた。投書を頼りに聞き込みを続けていると、ある女子高生に行き着いた。しかし、その女子高生は、1週間前に心臓麻痺で死んでいたのだった。しかも、その高校は昔、事件があって閉鎖された結核療養所をそのまま用い、そもそも呪いの噂があると聞きだした。
 治療に入った宮下は、明子に「この子は思い出したくないことを心に抱え込んでいる」と言う。明子は、高山との約束から、舞の素性を話すことをためらったが、結局、宮下に説明し、自分も「呪いのビデオ」を見たことを明かす。それを聞いた宮下は、舞の催眠療法を始める。が、舞は幼児期のことを絶対に思い出そうとはしなかった。その時期に何か大きな事件があると感じた明子は、新聞を調べ、15年前に舞の両親が惨殺されていたことを知る。それを元に宮下が、舞の治療を続けると、舞は苦悶しながら「さだ」という言葉を発する。
 明子は、呪いの謎を解くには、この事件を探るべきだと考え、事件の調査に乗り出す。所轄の警察署で偶然、高山を追っている元刑事の柏田(渡辺哲)に出会い、協力することになる。二人は、事件のあった廃屋を訪れる。
 一方、療養所の事件を探り始めた浅川は、たった一晩で13人が心臓麻痺で死亡したことを聞き込む。その事件では森山という男がたった一人生き残ったという。その森山はある病院で死の床に就いていた。浅川は、森山に「貞子」の名を当てるが、しゃべれる状態ではない。ただ、枕元の大皿に見覚えがあることが気に懸かった。
 明子と柏田は、その廃屋へ入っていった。柏田と別の部屋に入ったところ、そこには血痕が生々しく残っており、ぞっとする明子。不意に肩をつかまれる。そこには高山がいた。
 高山は、明子が約束を破って舞を宮下の病院へ連れていったことをなじり、嘘つきが飲むと死ぬ、という毒を飲めと言う。明子はその場を逃げ出し柏田に助けを求めるが、なんと、柏田は背中を刺されて息絶えていた。携帯で浅川に連絡を取ろうとするも、うまくいかない。とうとう明子は鉄パイプを持った高山に見つかり、絶体絶命の状況となる。
 ところが、そこへ浅川が飛び込んでくる。携帯のコールで明子からと勘を働かせた浅川は、宮下に聞いて、場所を特定したのだ。高山は、浅川にも襲いかかったが、ふいに正気に返った風にその場を立ち去って行った。
 浅川は明子を叱りあげながら、一緒に帰ろうとする。その時、車内に落ちていた写真が目に留まる。それは貞子が若かりしころの舞台写真であった。そこには森山の枕元の大皿が写っている。その皿は「サロメ」の小道具であった。浅川は、そこで初めて貞子と駆け落ちした劇団員とは森山のことであったと気が付く。「・・・だから生き残ったのか」絶句する浅川。二人は、その足で森山の病院へ向かったが、なんと、森山は急死していた。しかも、他殺の疑いがあるという。そこへ高山からの電話が鳴る。浅川は、さっきは何だとなじるが高山はけげんな様子を見せる。それどころか「貞子を捜しているのは他にもいる。彼らが柏田を殺したし、その人間は浅川の近くにいる」と不気味な予言を行うのだった。


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