<第4回> <第5回> <第6回>


<第4回>
 「呪いのビデオテープは念写である」と最初の謎を解いてみせた文化人類学者・高山(長瀬智也)は、「呪い殺人」の疑いで逮捕された。浅川は急いで「念写」についての資料を集め始める。試しに、その中の一人に会いに行き、「浅」という字を念写してもらい驚く浅川だった。しかし、浅川が面会した高山は、その「念写」は静電気を使った真っ赤な偽物で、「本物」はこの資料の中にいる、と言う。しかも、高山は「教えるには、私をここから出せ。でなければ、ゲームとしてつまらない」と取り引きを申し出る。義憤に駆られながらも、つい浅川は知り合いの記者に、担当警察の裏を探らせる。
 疲れ切った浅川は、息子の陽一(深川雄太)を連れ、田舎の実家に向う。
 そのころ、浅川を慕う明子(京野ことみ)は、高山に面会に行き、浅川の行動を問い質す。高山は「そんなに気になるなら、ビデオを見てゲームに参加しろ」とそそのかす。ますます気になる明子は、田舎で陽一と遊んでいる浅川に電話をかけ、ビデオが東京の自宅に置いていることを探り出す。危険を感じた浅川は、陽一を連れ、自宅に取って返す。
 しかし、浅川が部屋に飛び込むと、すでに明子は「呪いのビデオテープ」を見終わったところだった。「なぜ見たんだ。死ぬぞ」と叫ぶ浅川を無視し、明子は再び再生する。その時振り向いた浅川の目に陽一の姿が映る。とうとう陽一も見てしまったのだ。絶望的な気分に陥りながら、浅川は、高山の担当刑事に電話をかけ、過去の不祥事にからんで、高山釈放の取り引きを開始する。
 釈放された高山は、超能力者のリストから、一人「山村志津子」を選び出した。山村は40年前に、大掛かりな念写実験を失敗した記録がある女性だった。「本当にこの女か」と問い詰める浅川に対し、高山は「負けるかも知れないと思った者は負ける」と突き放す。
 会社の資料室から山村志津子の念写実験映像を入手した浅川は、失意のまま帰ったとされる故郷の伊豆大島へ、藁にもすがる気持ちで出かけることにする。最初は同行を拒んだ明子も、結局、フェリーに乗り込んできた。何かつかんだものがありそうだったが、明子は「知らないで浅川さんが死ぬより、一緒に死ねる今の方がいい」と答えるだけだった。
 一方、釈放された高山は、自宅で義妹・舞が、テープの中の「呪いの言葉」のようなフレーズ「うぬはだーせん・・・」を語り出すのに驚愕してしまう。
 そのころ、宮下(黒木瞳)の研究室では、「呪い死」した山荘の管理人の遺体解剖が行われていた。宮下は、心臓の周りに異変を発見する。

<第5回>
 「見た者は13日後に死ぬ」という呪いのテープを見てしまった新聞記者の浅川(柳葉敏郎)と後輩の明子(京野ことみ)は、文化人類学者・高山(長瀬智也)の進言に藁をもつかむ気分で従い、テープに呪いの念写をしたと思える「超能力者・山村志津子」を求めて、志津子の故郷・伊豆大島へ向かった。
 郷土史家らの話から、血縁者のいることを調べた二人は、民宿を経営する志津子のいとこ・敬一郎に行き当たる。民宿で敬一郎を待つ間、壁に不気味な鬼の面が架けてあることに気付き、話を聞くと、それは、村の守り神で、終戦直後、村にやって来た強盗が、翌朝、鬼の祟りで体をずたずたに切り裂かれ死んでいたといった言い伝えがあるらしい。現れた敬一郎は、「志津子に会いに来た」という二人に驚いた様子で「志津子は50年前に亡くなった」と言う。
 そのころ、ビデオを見て死んだ山荘の管理人の病理解剖検査をしていた浅川の友人の病理学者・宮下(黒木瞳)は、遺体の血管に見つかった腫瘍が、異常な増殖能力を持つ新種であることに気付く。同時に、教授の長尾(山本圭)から、容疑者だった高山が釈放されたことも聞き、興味を持った宮下は、パソコンで高山の論文にアクセスしてみる。
 浅川と明子は、敬一郎に話を聞いてみたが、確かに、志津子には、普通ではない能力が備わっていたと言う。例えば、静岡に嫁いだ親戚の死を言い当てることがあった。しかし、敬一郎は、戦後、東京の学者に連れて行かれ、それっきり大島には戻らなかった。昭和25年の夏に、遺骨を東京まで引き取りに行った、などと記憶をたどるのだった。
 ちょうどその時、浅川の携帯に宮下から電話が入る。宮下は腫瘍のことを説明し、新種のウイルスの可能性を示唆する。志津子の死が判明し、管理人の死因も病気である可能性が高まったため、浅川は怒りに駆られ、高山にその内容を連絡、怒鳴りつける。そんな高山は、パソコンで自分の論文にアクセスした「宮下」を調べ始める。
 浅川と明子は、大島最後の食事をとっていた。明子は、先ほどの浅川との電話で、高山が「志津子の墓参りでもしろ」と言っていたことを聞き、高山の意図を推し量っていた。「私たちは、あの人のために動かされているだけでは・・・」と。
 食堂を出る段になって、明子は、食堂のおばあさんが歌う子守唄の歌詞に「だーせん」という言葉があることを聞き逃さなかった。テープの呪文「うぬはだーせんよごらをあげる」の「だーせん」だ。おばあさんの説明によると、その呪文の意味は「お前は来年、子供を産む」といった内容らしい。二人は、まだ大島でやり残したことがあるに違いないと確信し、再び、敬一郎の民宿に戻ることにした。
 そんなころ、宮下のもとへ高山が現れた。パソコンの記録から宮下を調べ上げたのだ。高山は「次に浅川が死ぬ。腫瘍が死因と判ったところで、その原因までは判りはしない。呪いの細胞の培養は止めろ。あなたは失敗する。あなたは気付いていないが、大変なことが起こる」と言い捨てる。
 浅川と明子は、敬一郎の民宿に戻り、志津子の墓参りでもして帰る、と帰京しなかったことを告げると、敬一郎は、顔色を変える。浅川は、昭和32年の三原山の噴火で志津子の村だけが全員生き残ったことも、きっと帰郷していた志津子の予言のおかげであると考え、敬一郎の様子からも、志津子が生きていると確信していた。
 夜になって、明子が、不安なので一緒の部屋に寝たいと言い出すが、浅川は相手にしない。しかし、明子の部屋では、不審な人の気配がする。明子は浅川を起こし、一緒に人影を追う。それは、近くの小屋で消えた。翌朝、二人がその小屋を訪れると、扉に「志津子」の文字が浮かびあがっている。そこを開け、中の座敷牢に入る。二人は、そこで老婆を発見した。志津子に間違いない。「助かる方法を教えてくれ」と懇願する浅川。志津子は「後で来てくれ。この島には再び災いが起こる」と予言する。二人の後ろには敬一郎が立ちはだかっていた。
 ちょうどその時、大島の港に、高山が降り立った。一方、宮下の研究室では、培養中の新種腫瘍細胞が消えているのが発見されたのだった。

<第6回>
 死んだはずの超能力者・山村志津子を故郷の伊豆大島で見つけた新聞記者・浅川(柳葉敏郎)と後輩の明子(京野ことみ)は、「ビデオテープの死の呪い」を解くカギを聞き出そうとしていた。が、背後に志津子のいとこ・敬一郎が迫っていた。二人は敬一郎に捕らえられ、縛られたうえ、廃屋に放り込まれてしまう。
 そのころ、同様に大島に来ていた文化人類学者・高山(長瀬智也)は、道すがら呪いの言葉「うぬはだーせん・・・」を聞いてしまう。緊張する高山。さらに志津子が幽閉されている小屋の前に来た瞬間、高山はうずくまってしまう。その小屋の中では、志津子が光の中から姿を現わす何者かに怯えていた。
 一方、変死した山荘の管理人から採取し、培養していた新種の腫瘍細胞を盗まれてしまった病理学者・宮下(黒木瞳)の大学病院で信じられない出来事が起こる。研究者の一人が、絶滅したはずの病気・天然痘に罹ったのだ。宮下は、教授・長尾(山本圭)に、「天然痘ウイルスは、絶滅した振りをして人間を欺いていたのではないか。もしかしたら、盗まれた細胞が変異したものかもしれない」と推論を述べる。長尾は「もしそんなウイルスがあるならば、手におえない。人間は死滅する」と言い捨てる。
 閉じ込められた浅川と明子は、ロープをほどこうともがくが、難しい。そのうち、きな臭い匂いが漂い始める。火をつけられたのだ。浅川は明子の持ち物の中からコンパクトを見つけ、鏡を割ってナイフにし、ロープを切り始める。火の勢いが強まる中、やっとの思いで明子のロープが切れる。一人で逃げるように怒鳴る浅川。しかし、明子は、火の手を避けながら斧を持ち出し浅川が縛り付けられた柱を叩き壊し、浅川を救うのだった。明子はその直後、高山を見かけるが、浅川と共に志津子の小屋に行くことにする。
 そこで見たものは、恐怖に顔を歪めて息絶えた志津子の死体だった。その壁には、「貞」と読める文字が染みとなって残っていた。これも志津子の念写のようである。ともかく、この事態を処理するため、殺したのは高山だと信じ込む明子は船着き場へ向かい、浅川は残って警察へ連絡することにした。山道を下りてパトカーを待ち、小屋に警官を案内した時、すでに志津子の死体は消え去っていた。50年前に死んだ人物が死ぬわけがない、と取り合わぬ警官を残し、浅川は、敬一郎の民宿に向かう。そこには浅川宛ての敬一郎による遺書が残されていた。
 遺書は「志津子は三原山の噴火を予知し、村民を救ったにもかかわらず、怪物扱いされた。災いはすべて志津子のせいにされ、村人は志津子を殺すように迫った。殺すことが出来ない私は、偽って座敷牢に閉じ込めておいた」と過去の経緯を語り、「あなたがたを追って志津子の死体を見つけた。すべてが終わった。私は志津子とともに三原山に身を投げる」と書いてあった。呆然と外へ出た浅川は、刑事だった柏田と出会う。柏田は「個人的に高山を追ってここに来た」と言う。
 一方の明子は、高山を見つけ、「殺したのはあなただろう」と問い詰める。高山は「この島は危険だ。自分は間違っていた。ビデオの念写は志津子ではない。そいつが志津子を殺した」と答える。明子はそれを浅川に知らせる。
 浅川は、これまでの出来事から「貞」の文字は、ビデオ念写し志津子を殺した犯人の名前ではないか、と想像する。そのため、志津子の能力を研究していた伊熊教授を探すことにする。
 明子を慕う記者・河村(加藤隆之)を使い、伊熊教授の消息を調べたが、教授は10年前に亡くなっていた。とりあえず、未亡人の家へ出かけた二人は、書斎で、志津子そっくりの少女が写った写真を見つける。未亡人によるとその少女は、伊熊教授の娘で、なんと名前を「貞子」というのだった。


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