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<第4回>
 ある晩、クラブパラダイスの前でためらうようにうろうろしていた中年の男(小松政夫)とぶつかった明菜(財前直見)。男は店を見上げ、一度こういう店に来てみたかったが、いざとなると足を踏み入れる勇気がないのだと言う。
 そんな姿に好印象を持った明菜は、満面の笑みを浮かべ、男を店に誘った。明菜の笑顔に釘付けになる男…。
 新規の客を連れて出勤した明菜に驚く他のホステス達。だが明菜は、男の貧相な身なりから、明らかにお金を持っていない一見の客だろうと値踏みする彼女らの視線を受けながらも、その男に無理をさせないよう安い酒をそっとふるまい、精一杯の接客にまわる。
 男の名は斉藤。斉藤は、ニューボトルを入れたり、フルーツの盛り合わせを注文したりする周囲の客の振る舞いを伺いながら、明菜に気を使って緊張するばかり。そんな斉藤の様子を冷やかし気味に見る清野(佐藤B作)達ら従業員の横を通り過ぎ、石崎(上川隆也)は斉藤に丁寧に挨拶をした。それを受け、思わず頭を下げる斉藤。唖然とするホステス達…。
 慌てて斉藤を席に座らせ、その後はなんとか斉藤をリラックスさせ、存分に楽しませた明菜。帰り際、斉藤は「今夜は本当に楽しかった」と言い残して店を後にするのだった。
 閉店後、仁(阿部寛)の店で、斉藤のことをネタに笑うよおこ(戸田恵子)と飲みながら、たとえ一夜限りの客だとしても、斉藤が喜んで帰って行ってくれたことにどこか嬉しさを感じる明菜。
 そして翌日。なんと斉藤が二日連続で来店した。しかも服装は、昨日とは見違えるほどびしっとキメキメ。もちろん、ご指名は明菜。斉藤はもしかしてどこかの大金持ちだったのかもしれないと、羨ましげに眺めるホステス達。
 高価なボトルを入れ、そのうえ明菜に大きなダイヤのネックレスまで贈る斉藤。躊躇する明菜に斉藤は、自分は鎌倉の土地持ちだから安心して受け取って欲しいと言う。それを聞き、素直に喜ぶ明菜。さらに同伴出勤の約束までも…。
 すっかり有頂天の明菜。翌日、待ち合わせたレストランで大きな花束を手渡された明菜は、一昨年亡くなった妻の入院中にすっかり花に詳しくなったという斉藤の寂しげな身の上話を聞く。だが出勤の時刻が迫り、そろそろ店に行かなければと席を立とうとすると、斉藤は驚く。斉藤はどうやら同伴のシステムがわかっていなかったらしく、食事を一緒にするということは、店を休んでいるということだと勘違いしていたらしい。そんな斉藤を、微笑ましく見る明菜。
 その後もしばらく、斉藤と明菜は、同伴やアフターを共にする日々を過ごし、高価なブランデーも次々に入れられていった。斉藤の上客ぶりに羨望の声を漏らすホステス達。  だがある日、斉藤との待ち合わせ場所に走った明菜は、喫茶店のガラス越しに、他の若い女性に何かを言われてしょぼんとする斉藤の姿を目撃する。
 女性だけが席を立ち去り、明菜の横を通り過ぎた。その瞬間、明菜は女性にためらいがちに声をかけた。
 その女性は、斉藤の娘だった。そして彼女は言った。
「もしかして、あなたが明菜さん?」
 斉藤は、地主などではなかった。小さな会社の万年係長を先日定年退職したばかりで、その退職金を使い果たしてしまったというのだ。
「明菜さん、お願いします! どうかもうこれ以上父をたぶらかさないでください!」  思わず言葉を失う明菜は…。

<第5回>
 よおこ(戸田恵子)と麻弥(原沙知絵)と出勤した明菜(財前直見は、ドア前に置かれたワラ人形を発見し、絶叫。開店前のクラブパラダイスは、誰かが呪われているのではないかと大騒ぎになった。
 閉店後、帰宅した麻弥は水商売を理由に、アパートを出て行くよう言われてしまう。  翌日。店の前で開店準備をしていた加藤(伊藤俊人)は、明菜らが出勤してくる傍らに不審な人影を察知し、首を傾げていた。明菜が店に入るやいなや、電話が鳴った。無言電話だった。不審がる加藤…。そのうえ、まゆみ(井上晴美)となみえ(藤崎奈々子)は入り口付近で黒い人
影が横切るのを目撃。度重なる不審な出来事の連続に、皆はすっかりおじけづいてしまう。
 閉店後、帰路に着いた明菜とよおこと麻弥の背後に、またも不審人物が影を落としていた。そうとは知らず仁(阿部寛)の店に立ち寄った3人。そこで麻弥は、アパートを追い出されるハメになったと泣き崩れ、明菜のアパートに置いて欲しいと言い出した。そんな願いをあっさり断る明菜。 だが麻弥を部屋に上げた途端、無言電話はかかるわ、チャイムが鳴った外に黒い人影が横切るわ…。自分が狙われていると知った明菜は恐怖のあまり、麻弥をしばらく住まわせることにするのだった。
 次の日、陽動作戦に出て、“犯人”をおびきだそうと企んだ明菜は、麻弥を引き連れ、夜道を歩き回る。そんな明菜達を後ろから尾行する仁と智也(川端竜太)。そこに、待ってましたと言わんばかりに男の影が近付いてきた。電信柱の影から飛び出し、男を殴る仁。が、その男はなんと…。

<第6回>
 ある日の晩、よおこ(戸田恵子)や麻弥(原沙知絵)らと道を歩いていた明菜(財前直見)は、石崎(上川隆也)が女性を連れ立ってバーから親しげに出てくるところに出くわした。
 そして翌日のクラブパラダイス。清野(佐藤B作)は、改装工事をすることになったクラブ夜汽車から、工事の間だけ預かることになったとして、夜汽車のホステス数名を紹介した。余裕の笑みを見せる夜汽車軍団。そんな中、初日早々遅刻してきた夜汽車ナンバーワンのホステス・聖子を見た明菜の目は釘付けになった。昨夜石崎と歩いていた女性だった。
 どんないきさつで預かることになったか清野に詰め寄る明菜だったが、石崎に頼まれたというだけで、事の真相は定かではないらしい。
 ふとロッカールームを覗くと、そこでは早速、夜汽車軍団がパラダイスのことをけなしまくっていた。その自信満々な一挙手一投足に腹を立てる明菜達。
 いよいよ開店となった。すると、いきなり聖子に指名が入った。なんと大蔵大臣だった。だがそのテーブルに明菜がちょっとした下ネタで無理やり入ったため、場は和んだのだが、閉店後、聖子は尋常じゃないほど怒ってしまう。一流店の夜汽車は下世話なパラダイスの客とは違うというのだ。
 結局、他の女の子達も言い争いに荷担し、店は早くも夜汽車VSパラダイスで仲間割れしてしまう。その日、夜汽車のホステスを預かったのはどういうわけかと石崎を問いただす明菜。
石崎は、明菜が聖子達を理解してあげればすべてはうまくいくと言う。釈然としない明菜。そこに偶然、書類と印鑑を持った聖子が入ってきた。訝しく思う明菜だったが、石崎に部屋を追い出されてしまい、話はうやむやなまま終わるのだった。
 その後のパラダイスはひどかった。夜汽車軍団とパラダイス軍団で客そっちのけの熾烈な戦いが続き、その空気は店内にも自然と流れたため、店の売上はだんだんダウン。客足も遠のいて行ってしまったのだ。
 危機を感じた清野はミーティングでホステス一同に喝を入れた。だがホステス達は互いに罪をなすりつけあい、聞く耳を持たない。
 そこに現れた石崎が、このままなら店を閉めるとまで言い出した。聖子の印鑑と書類のことを思い出した明菜は、そのことを問い詰めるが、石崎には「あなたが知る必要のない事」だと言われてしまう。
 このままでは店を乗っ取られてしまうと察知した明菜は、借金をしてでも自分達だけのクラブパラダイスを作ろうと企て、よおこと銀行を訪れる。そこで二人は、銀行から疲れた足取りで出て来る聖子の姿を目撃してしまう。


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