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<第10回>
 花園で働きはじめた明菜(財前直見)は、ママの麻子(沖直未)の優しい笑顔に歓迎され、やる気満々だった。
 早速、証券会社の社長・工藤のテーブルについた明菜。パラダイスのナンバーワンだとママに紹介されたうえ、工藤には「若くて新鮮」と言われた明菜は大喜び。銀座では自分はまだまだ若手なのだと知り、さらにやる気を増すのだった。ところが、花園流に煙草の火をマッチでつけようとした明菜は、慣れない動作に思わず失敗。だが明菜は、それをバカにされるどころか、工藤にもママにも優しくフォローされてしまう。
 そのうえ、客の支払いはひと月ごとの請求書だという会計システムを知らされた明菜は、パラダイスとの違いを思い、自分の知らないお水の世界があるのだと感じ入るのだった。
 そうして花園の初日を終えた明菜が店を出ると、そこには川上(野中功)のリムジンが。ホテルのスイートに連れていかれた明菜は、川上からここでしばらく暮らして欲しいと言われる。藤波(浜田晃)からの命令だった。
 化粧品から高級ブランドの洋服、毎日の出勤前の美容院のカード…何から何まで揃えられているうえ、ギャランティーのシステムやその金額も驚きの連続。とんでもない所に来てしまったのだと改めてため息をつく明菜。用意された服を体にあてながら自分の姿を鏡に映す明菜だったが、同時に、自分を引き止めてくれなかった石崎(上川隆也)のことを一瞬思い出すのだった。
 だが、花園のホステスを勤めるのは容易なことではなかった。翌日からの明菜は、接客のためには政治や経済の知識が必要なこと、外人客のために英語力も必要なこと…何から何まで勉強しなければならないこと尽くしであることを知る。それからというもの、閉店後の明菜は毎晩ホテルで経済新聞や英語の教材と格闘するのだった。
 そんなある時、明菜目当てでパラダイス時代の常連客・山田が花園を尋ねて来た。ところが麻子は、紹介のない一見の客だとして、山田を追い返してしまったと言う。花園のやり方に少し躊躇する明菜。
 そうこうしながら、ようやく花園に慣れ始めてきた頃、明菜は藤波の親友だという客・白石のテーブルにつく。そこで明菜は、石崎は20年前に家を飛び出したきりの藤波の息子であること、石崎という姓は先妻の名字であることを初めて知る。その事実にショックを隠せない明菜…。
 意を決し、閉店後のパラダイスを訪れた明菜。そこで明菜は石崎に、藤波との関係をなぜ打ち明けてくれなかったのかと詰め寄る。そして自分が花園に引き抜かれるのを止めなかったのは、父親へのプライドのためだったのではないかとも。何も答えられぬ石崎。そんな石崎の姿を見て、悔し涙と共に店を飛び出す明菜。
 その後、ふと寂しさがよぎることもあったが、自分の選んだ花園で精一杯頑張ろうと決意した明菜。指名も入るようになり、客との会話にもなんとかついていけるようになった。そんなある日の朝礼で、明菜は麻子から特別賞を受けた。その明菜に控え目な拍手を送る小百合(星遥子)。
 だが開店後、控え席にいた小百合に明菜が礼を言うと、小百合は今日で店を辞めるのだと言う。新しいホステスが入れば、成績の悪い者は出ていくのが当たり前であること、そして花園を辞めるということは、ホステスの仕事を辞めることだと言い切る小百合。その言葉にショックを受けた明菜は、そんな小百合に労いの言葉ひとつかけぬ藤波や花園のやり方に疑問を覚え、閉店後の藤波に詰め寄った!・・・。

<第11回>
 花園からパラダイスに戻ってきた明菜(財前直見)は、どういうわけか仕事も私生活もだらけまくり。その最大の原因が歯痛にあることがわかると、明菜は歯医者に勇気を出して出向いた。だが診療台の上の明菜は恐怖のあまり大騒ぎ。ところが治療を終えて痛みもとれると、ついお水の性分で、歯科医の松尾(升毅)に反射的に場違いな営業をしてしまうのだった。
 しかし歯痛は治ったというのに、なぜかやる気の回復しない明菜…。
 その頃、石崎(上川隆也)は友人の医師・津川のもとを訪れていた。石崎は重病に侵されており、たとえ手術をしても成功の確率はわずか30%だという宣告を受けていたのだ。だが津川の懸命な説得も聞かず、手術を拒否する石崎。
 一方、パラダイスではなみえ(藤崎奈々子)のテーブルになみえの高校の同級生・佐藤が偶然来店。盛り上がる佐藤だったが、そんな佐藤になみえは高校時代に好きだった雅也には、ホステスをやっていることを言わないでくれと頼み込む。
 かたや明菜に新規の指名がかかった。その客は明菜がうっかり営業した松尾だった。すっかり明菜を気に入り、同伴を申し出る松尾。だが、こんな上客をゲットできたというのに、依然として明菜のやる気は回復しない…。
 翌日、高級料亭で松尾と食事をした明菜。食事が終わると松尾は、おもむろに明菜に結婚を前提につきあいたいと言い出した。驚く明菜。その時、「好きな方がいらっしゃるんですか」との松尾の言葉に、石崎のことが脳裏をかすめる明菜だった。
 そんな明菜の思いはよそに、道ばたで突如発作を起こした石崎は、偶然通りかかった仁(阿部寛)に助けられる。だが石崎は、このことは誰にも言わないで欲しい、万一の時は明菜をよろしく頼むとの言葉を言い残すのだった。
 そしてパラダイス店内。ホステスの件をばらさないかわりに、口止めを要求されているらしきなみえと佐藤の光景を目撃した石崎は、明菜になみえのヘルプに着くよう指示を出す。いい雰囲気に見える二人の間に入ることにためらう明菜は、案の定佐藤には無視されてしまう。
 翌日、ロッカールームで古ぼけた写真を眺めていたなみえ。写真にはセーラー服のなみえと学ランの少年の姿が。なみえの忘れられない人・雅也だった。そこに佐藤からの指名がまた入った。出勤してきた明菜にアドバイスを求めようとするなみえだったが、相変わらずボーッとした明菜は頼りにならず、なみえはホールに出ていくのだった。
 すると、再び明菜は石崎からなみえのヘルプに着くよう指示を受けた。石崎の意図がわからない明菜。そんな明菜に石崎は厳しく言う。「あなたは昨日、あの席で一体何を見ていたのですか」「あなたに戻ってきてもらったのは、ここであなたにしか出来ない仕事をしていただくためです」。石崎の言葉に打たれ、咄嗟になみえを見る明菜。だが石崎の言葉で頭がいっぱいの明菜は、なみえの笑顔が曇っていることに気が付かない…。
 佐藤を店から送りだしたなみえと明菜。なみえの手には待ち合わせのホテルのバーの名が書かれた紙が。そのバーが、単なる同伴を意味すると思い込む明菜。そんな明菜になみえは相談したいことがあると訴えるが、明菜はそれすらも断ってしまう。
 翌日、佐藤の待つホテルに意を決したように入っていくなみえ…。
 そして開店前のパラダイスのロッカールームでは、なみえと雅也の写真が見つかり大騒ぎ。最近のなみえの様子が変だったことも話題になり、ようやくなみえの置かれていた状況がわかった明菜は、パラダイスを飛び出した…!

<第12回>
 石崎(上川隆也)の担当医から、石崎の病状はたいしたことはないと言われ、安心する明菜(財前直見)。
 翌日の閉店後、石崎はパラダイス2号店をオープンするつもりだとい言い出した。ざわめく一同。だが瞬く間に明菜、よおこ(戸田恵子)、五月(一色紗絵)らが面接官となりホステスの面接試験が始められ、そうして選ばれた女の子達に明菜達が研修を行うことになった。それら一連のことは、当の明菜達も驚くほど早いスピードで進められていった。石崎らしからぬ急な思いつきと展開に少し戸惑う明菜。
 ある時明菜は思いきって石崎に、なぜ慌てて2号店を出すのかと切り出した。が、石崎の答えは、今がちょうどいい時と判断したといった内容で…。その頃、自分の実家を訪れた五月は、会社を経営する父親から、ホステスの仕事を辞め、自分の会社を手伝って欲しいと言われ、迷っていた。かたや仁(阿部寛)は石崎に深夜呼び出され、パラダイスを訪れていた。自分がこの世を去った時にはパラダイスを任せたいと言う石崎。死ぬことを考えるなと言う仁。そして、店はともかく、明菜のことは自分ではどうにもならないのだとも…。
 数日後、石崎が2号店のために出資した5千万が持ち逃げされたことが発覚し、皆は大騒ぎ。詫びる石崎だったが、自分の野心のために自分達のパラダイスを利用したと言って五月は激怒。続き、まゆみ(井上晴美)やなみえ(藤崎奈々子)らも怒り、ホステス達は帰ってしまった。店の存亡が危ぶまれる中、呆然とするしかない明菜。
 明くる日、明菜は訪れた松島(藤村俊二)の墓の前で石崎と遭遇。何もかも一人で解決しようとする石崎に、事情があるなら話して欲しいと訴える明菜だったが、石崎は何も答えず去って行くのだった。
 その晩のパラダイスにはホステスがわずか6人。そのうえ石崎は行方知れずだとボーイ達は騒ぐ。苦悩する明菜は、閉店後、仁にそのことを話すと、仁の顔色が変わった。行方不明…ただ一人石崎の病気のことを知る仁は勘付いたのだ。明菜に事情を打ち明ける仁。
 病院に駆け付けた明菜は、石崎の病状を知り愕然とする。そして翌日意を決し、再び病院を訪れ、「誰だって一人じゃ生きていけない」と石崎に言う。


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