第6回 2005年11月17日(木)放送 あらすじ

殺意

 大奥という闇の中に、安子(内山理名)が見出した、たった一つの希望の光。それは我が子・長丸であった。しかし、看病の甲斐も虚しく、長丸を亡くした安子と綱吉(谷原章介)は悲しみのどん底に。桂昌院(江波杏子)は、幼児から目を離した安子の非を責める。綱吉は安子をかばうが、桂昌院は自分に楯突く綱吉をも罵倒する。思い余った安子は、お伝の方(小池栄子)が落としていった袱紗を示しながら、長丸に毒のあるものを口に含ませたのはお伝の方に違いないと訴えた。これまでに二度お伝の方に殺されかかった安子は、後生だから詮議に諮って欲しいと懇願する。綱吉と桂昌院は、お伝の方に申し開きをさせるものの、お伝の方が認めるはずもなかった。音羽(余貴美子)も、お伝の行動に不審な点があると、報告するが、桂昌院は「世継ぎの母親を罪人にすることは出来ぬ」と安子の言い分を黙殺することにした。
 安子は長丸が遊んでいたでんでん太鼓を手に、涙にくれていた。もはやお伝の方に対する恨みと怒りは押さえ切れなくなってきた安子…そんな安子の様子を楽しんでいる別の人物がいるとも知らずに。長丸の葬儀が執り行われる中、微笑をたたえながら「あのお薬をいただいてからは、ぐっすり眠れるようになりました」と柳沢(北村一輝)に薬の礼を言う信子(藤原紀香)はただならぬ凄みを見せるのであった。
 桂昌院は、隆光(火野正平)に卦を立てさせた。隆光は、長丸が「産まれべからざる罪の御子」であり「この世にあったお印をすべて取り除く」べきであると進言する。桂昌院はその託宣に従い、長丸に関するものをすべて火にくべてしまう。抗議する安子に「二度と長丸君の名、人前で口にいたすな。上様のお側にも近づかぬよう。呪われた子は一人でたくさん」と、桂昌院は言い放ち、逆に、お伝に対しては、徳松に世継ぎのお墨付きをもらうことを勧めるのであった。
 しばらくして、大奥に新たな火種が降って来た。徳松だけでは心もとないと考えた桂昌院が、京から公家の娘・大典侍(中山忍)を側室に招いたのだ。気位の高さは信子以上、才気も右衛門佐(高岡早紀)をしのぐばかり。早速、条件として、新御殿の造営を要求してきた。
 信子は仲間が現れたとばかりに、大典侍を部屋に招いて、右衛門佐を交え、大奥の処し方などを忠告する。だが、部屋を出るなり、大典侍は右衛門佐に「大奥にては、子を持つことこそが第一に人の上に立つ道。私が上さんの子を身籠ればすぐさまお立場は逆になりまする。辛抱も今のうちだけ」と言ってのける。信子は障子越しに、その言葉を聞き逃さなかった。
 大典侍は、積極的であった。綱吉に恋焦がれる歌など詠んで気を引こうとする。綱吉はまだ長丸の死が心に影を落としており、大典侍と閨をともにする気にならない。桂昌院は大層立腹するが、さすがに綱吉も母の強引な振る舞いに「次から次に子を作れといわれても無理です! 明日は安子をお呼びください」と申し渡すのであった。
 翌日の奥泊まりで安子は「お伝の方様をお調べになられましたか」と綱吉に尋ねる。しかし、綱吉は「わしはもう疲れた。今宵は二人で起きていよう。長丸の弔いじゃ」と悲しみに沈む父親の表情を見せるのだった。綱吉が安子のもとを訪れたことは早速大典侍の耳にも入った。安子をライバル視する新たな敵が生まれた。
 普請中の別殿のそばで、大典侍とお伝の方が対峙した。大典侍は「身籠ればすぐに御同格になりまする」とお伝の方を挑発し、さらに自分が側室に呼ばれた理由は「お伝のお方の御血筋がご不満だからとしかお察しのしようがないのでございますが」と面罵する。怒り心頭に発するお伝の方。そのすきに徳松が、庭に降りて行った。
 庭で一人安子が佇んでいると、ふと普請場にころがっている鞠を見つける。長丸との幸せな日々を思い出し涙ぐむが、怒りと憎しみがふつふつと込み上げてくる。鞠を捜しに普請場に迷い込んだ徳松。安子は殺意を抱き徳松に近づく…。その瞬間、徳松は資材に足を引っ掛けてしまう。崩れ落ちる材木…。安子は反射的に徳松の身をかばった。轟音に驚き、音羽やお伝の方が駆けつけた。徳松は足に怪我をしていた。
 徳松はその晩から高熱で苦しみ始めた。そして三日目には危篤となり、お伝の方の懸命の看病も虚しく息を引き取った。
 徳松の容態を気にした安子が廊下に出ると、泣き腫らした顔のお伝の方と出会う。お伝の方は「そなたが徳松をあのようにしたのじゃな。もとに戻してくりゃれ」と、安子につかみ掛かる。安子も負けずに「同じ言葉、あなた様にお返しします」と動じない。お伝の方は「青い梅などで人は死なぬ」と勢いで白状してしまった。二人は取っ組み合いの大乱闘に。半狂乱となったお伝の方は「そなたは鬼じゃ!」とわめき散らしながら、連れて行かれた。安子は、その時、廊下の人だかりの中で、一人薄笑いを浮かべる信子の姿を見逃さなかった。
 一方、柳沢の屋敷では、染子(貫地谷しほり)が男児を出産した。「殿に似て…」と喜ぶ染子を制し、「いや、わしには似ておらぬ。この子はいずれ天下を取る」と微笑む柳沢がいた。

キャスト

内山理名
谷原章介
小池栄子
高岡早紀
北村一輝
中山 忍
貫地谷しほり
  ・
火野正平
  ・
田辺誠一
平泉 成
  ・
余 貴美子
  ・
江波杏子
  ・
藤原紀香

スタッフ

■脚本
 浅野妙子

■演出
 川村泰祐

■音楽
 石田勝範

■企画
 保原賢一郎

■プロデュース
 林 徹
 手塚 治
 樋口 徹
 金丸哲也

■製作
 フジテレビ
 東映

バックナンバー