大奥~華の乱~
修羅場
時は元禄元年。徳川家繁栄の陰で、五代将軍綱吉(谷原章介)は、歌舞音曲に浮かれる享楽の日々を過ごしていた。心配といえば世継ぎの問題だけである。正室・信子(藤原紀香)に子はなく、側室・お伝の方(小池栄子)との間に一男一女をもうけたものの、お伝が卑しい血筋の出身であることが、綱吉の母・桂昌院(江波杏子)の気に入らぬ点であり、また、お世継ぎ候補が一人では不安もあった。桂昌院は、大奥の女性に飽きつつあった綱吉について、切れ者の側用人・柳沢吉保(北村一輝)に相談した。吉保は不敵な顔で一計を案じた。それは側用人の先輩であり、中でも忠臣の鑑・牧野成貞(平泉成)の屋敷への綱吉の御成りを実現させることであった。
牧野家では、成貞のほかその妻・阿久里(萬田久子)とその一人娘・安子(内山理名)、その夫・成住(田辺誠一)が仲良く幸せに暮らしていた。そこへ綱吉一行が現れ、舞など舞って遊興する。綱吉は、成貞の禄を激増させると言い渡し、成貞に向かって阿久里に夜伽の世話をさせるように申し付ける。愕然とする牧野家一同。実は阿久里は大奥の元女中で、幼い綱吉のあこがれの女性であったのだ。
思いをとげた綱吉はご機嫌で、それ以降も幾度となく牧野家を訪れることになり、牧野家はそのたびに震撼する。だが、宮仕えの成貞は唇をかんでそれを忍ぶしかなかった。
ある日、綱吉は、阿久里あてに金員を取らせ、立ち去る。明けぬ闇夜が去ったように安堵する牧野家の人々。しかし、悪夢はこれで終わらなかった。
成貞が綱吉に謁見すると、綱吉はなんと安子を側室に差し出すよう命ずる。絶句する成貞。「安子には夫が……」。「離縁させればよい。まさか家臣の分際で主君に口答えいたすつもりではあるまいの」。家臣の成貞に拒否できるはずもなかった。
しかし、納得がいかないのは安子の夫・成住である。安子は渡さないと屋敷で成貞と言い争っている矢先に、なんと阿久里が自害してしまう。泣き崩れる成貞。成住は上様のご翻意を促すため切腹しようとするが、安子は飛びついてそれを止めた。「あなたが死んでなんになります。これ幸いと上様は私をお召し上げになるに決まっています」。母の亡骸を3人で囲みながら、安子は大奥行きを決意する。それは「復讐」のためであった。
二カ月後、安子は母の形見のかんざしを手に城に向かう駕籠に乗った。
大奥では、信子やお伝の方が、値踏みするが如く冷たい目で安子を見据える。桂昌院も安子の意図を探ろうとする。母が自害して間もないというのに、奥に来たばかりの安子の落ち着きぶりを桂昌院は警戒するのだった。
そしてついに、安子が綱吉を迎える夜がやってきた。綱吉の背中を見据えつつ、刀掛けに目を配る安子であった…。
牧野家では、成貞のほかその妻・阿久里(萬田久子)とその一人娘・安子(内山理名)、その夫・成住(田辺誠一)が仲良く幸せに暮らしていた。そこへ綱吉一行が現れ、舞など舞って遊興する。綱吉は、成貞の禄を激増させると言い渡し、成貞に向かって阿久里に夜伽の世話をさせるように申し付ける。愕然とする牧野家一同。実は阿久里は大奥の元女中で、幼い綱吉のあこがれの女性であったのだ。
思いをとげた綱吉はご機嫌で、それ以降も幾度となく牧野家を訪れることになり、牧野家はそのたびに震撼する。だが、宮仕えの成貞は唇をかんでそれを忍ぶしかなかった。
ある日、綱吉は、阿久里あてに金員を取らせ、立ち去る。明けぬ闇夜が去ったように安堵する牧野家の人々。しかし、悪夢はこれで終わらなかった。
成貞が綱吉に謁見すると、綱吉はなんと安子を側室に差し出すよう命ずる。絶句する成貞。「安子には夫が……」。「離縁させればよい。まさか家臣の分際で主君に口答えいたすつもりではあるまいの」。家臣の成貞に拒否できるはずもなかった。
しかし、納得がいかないのは安子の夫・成住である。安子は渡さないと屋敷で成貞と言い争っている矢先に、なんと阿久里が自害してしまう。泣き崩れる成貞。成住は上様のご翻意を促すため切腹しようとするが、安子は飛びついてそれを止めた。「あなたが死んでなんになります。これ幸いと上様は私をお召し上げになるに決まっています」。母の亡骸を3人で囲みながら、安子は大奥行きを決意する。それは「復讐」のためであった。
二カ月後、安子は母の形見のかんざしを手に城に向かう駕籠に乗った。
大奥では、信子やお伝の方が、値踏みするが如く冷たい目で安子を見据える。桂昌院も安子の意図を探ろうとする。母が自害して間もないというのに、奥に来たばかりの安子の落ち着きぶりを桂昌院は警戒するのだった。
そしてついに、安子が綱吉を迎える夜がやってきた。綱吉の背中を見据えつつ、刀掛けに目を配る安子であった…。