<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回>
 ワイズ東京の支配人室に立花雅之が飛び込んでくる。「宇佐美さん、『2枚目のモナリザ』ってどこで、いつ見つかったのですか?」
 ワイズ東京では、混乱を避けるため、東京でオークションにかける事になった『二枚目のモナリザ』の話題で持ちきりだった。ニューヨークから来るその『二枚目のモナリザ』は、アメリカンポップアートの巨匠・ウォーホルの未発表作品で巧みに隠され、X線で調べると確かにモナリザらしい格好がぼんやり見える。このモナリザを捜し、手に入れるためワイズ東京に来た立花雅之(江口洋介)は支配人の宇佐美(伊武雅刀)に「客として、オークションに参加させてほしい」と申し出る。しかし、立花に金はない。立花はなんとしても金を作ろうと奔走し始めた。
 そんな時、綱島貴一郎邸を男が訪ねていた。折原正次郎(草刈正雄)だった。千鶴(葉月里緒菜)とその母を捨て、行方をくらませた千鶴の父親だった。正次郎は立花が、『二枚目のモナリザ』の行く先を知る人物と探していた人だった。綱島(松本幸四郎)に対面した正次郎は「自分の描いた『二枚目のモナリザの贋作』を贋作だと見抜いた奴に借りをかえすため、そして娘の顔が見たいから」と、姿を現した理由を話すのだった。綱島は「20年前の約束は忘れたのかね」と正次郎にいうのだった・・・・
 その正次郎の姿がワイズ東京にあった。イタリアの骨董店で買った絵を買い取って欲しいと立花指名でやってきたのだった。立花は、その絵を見て、すぐさま「あなたが描いた偽物ですね」と見破る。「詐欺だ」と半ば脅しつつ、男の腕前も分かる立花は、千鶴が、どうにもならず困っている絵の修復を手伝わせる。幼い頃に別れ、千鶴は父と知らない。そんな男から、いろいろアドバイスを受けるのだった。正次郎は千鶴が「折原」と呼ばれいることから、自分の娘だということが分かっており、親子の情をもって修復の指導をする。
 しかし、立花は、男の正体をも見破り「あなたを探していたんです。『二枚目のモナリザ』の贋作は、本物を見ながら書いたはず。本物はどこにあるのか」と迫る。観念して「20年前に俺は二つの仕事をひきうけた。一つは『二枚目のモナリザ』の贋作を描くこと、そしてもう一つは本物を塗りつぶして隠すこと」と正次郎は言うのだった。
 いよいよ始まった『二枚目のモナリザ』のオークション。本当に、『二枚目のモナリザ』は、ウォーホルの絵の下に隠されているのか。どんどんつり上がる値。そしてこの絵を誰が手に入れるのか!?

<第8回>
 ワイズ東京では、チャリティーオークションが開かれていた。目玉は人気女優と一緒に食事する権利。
 しかし、当の人気女優は知らない人と食事するなんて嫌だと言いだし、立花雅之(江口洋介)や岡島卓郎(岡田准一)は困り果てる。
そのころ折原千鶴(葉月里緒菜)は、荒井美術商会の荒井鉄郎(ルー大柴)を訪ねていた。荒井は薩摩切子の修復の仕事を頼むことを口実に千鶴を食事に誘おうとしていた。しかし、千鶴は取り合わず逃れようとしてその薩摩切子を落として割ってしまった。
 食事会に現れたのは、人気女優ではなく同じ事務所の昔のアイドルだった赤松のぶ江(麻生祐未)だった。立花と岡島は落札者の近本をなんとか取りなそうとするが機嫌を損ねてしまう。しかしのぶ江は嫌な顔もせず、運ばれてきたアワビのワイン蒸しを見て「ポルトガルでは、蒸したアワビといい女の前では神父様も嘘をつく」といいながらアワビを勧め、帰ろうとする近本をひきとめる。そして近本も機嫌を直し食事会は無事終了した。実は「アワビと美人〜」の話は、のぶ江が機転を利かせたウソだった。「ウソつきは女優の始まり」とけろりとして帰るのぶ江に立花と岡島は感謝するのだった。
 荒井が割れた薩摩切子を持ってワイズ東京に怒鳴り込んできた。「どうしてくれる」と息巻いていた荒井だが、自分がファンの画家からサインをもらうことを詫びの条件として言ってくる。支配人の宇佐美(伊武雅刀)が画家の初期の作品にサインを頼みに行くと、画家も気安く応じてくれ、荒井とももめごとは
解決したように見えたのだが・・・。
 数日後、ワイズ東京ではスタッフたちはのぶ江の事務所が倒産、そして社長が逃げたという新聞の記事を見つける。そんなのぶ江から電話があり、立花と岡島がのぶ江のマンションに出向くと、取立屋にのぶ江は借金は返済を迫られていた。のぶ江は、女優にしてくれた社長への恩義から連帯保証人になっていたのだった。
立花と岡島はのぶ江から自分のコレクションをオークションにかけてお金を作って欲しいと頼まれるが、どれもほとんど価値はなさそう。困り果てていると、ワイズ東京に贋作ではないかと思われる絵が持ち込まれる。鑑定するとやはり偽物。それは荒井商会から買った絵で、しかもその絵には先日に荒井に頼まれて画家にしてもらったサインがあった。
 立花は「その男に一杯食わされましたね」という。つまり、本物の画家の絵にもう一枚何も描かれていないキャンバスを重ねて画家にサインをさせ、サインが書かれたキャンバスに贋作を描いて売ったのだ。
 ワイズ東京のスタッフは悔しがるが「プロが贋物を掴まされたなんて怒鳴り込めば、自分が節穴だったと認めるようなものじゃないか」という立花だった。そのころ「プロを騙すのは勲章」と荒井はほくそ笑んでいた。
 そして立花は相手がその気ならとあるトリックを仕掛けるのだった。

<第9回>
 ある日のこと、立花雅之(江口洋介)と宇佐美薫(伊武雅刀)は、交通事故死したバイオリニストの家に出かけた。未亡人の依頼で遺品を処分するためだったのだが、「アントニア・ストラディバリが作ったストラディバリウスがある」と言われていたのだが、バイオリンを鑑定に出向いたのだが、どれも一本、2、30万円前後の安物だった。がっかりする立花を後目に、未亡人は「あんな人が使ったものなんか、一つもいらないわ」と言い放つのだった。いぶかしむ立花が、フッ!と目を止めたのはある香炉だった。
「風来山人のからくり香炉」といわれるもので、平賀源内作で香を焚くとカラコロと音がする細工がされているものだった。
「オークションに出せば500万、いや場合によっては1000万」と聞いて宇佐美は大喜びだが、この香炉には「呪いの香炉」との別名があり、所有者が不幸な死を遂げてきた。噂では、井伊直弼や芥川龍之介もこの香炉の持ち主で不幸な最後を遂げたと言われている。
 ワイズ東京に戻った宇佐美が、千鶴(葉月里緒菜)、岡島(岡田准一)、歌子(大島さと子)らスタッフを集め、試しに音を出してみようと火を点けようとすると、突然、グラッと地震。そのうえ停電になり、歌子は「呪いのせいだ」と言いだす。
 その夜、帰宅途中亀井(石原良純)は、髪の長い女性に後をつけられているよう な不気味な感じがして、階段を踏み外し足をくじいてしまった。そして宮下(並樹史朗)は、なにか不気味な人の気配を感じる。歌子はトイレでバイオリンの音が聞こえたような気がして失神。やはり「呪いの香炉」なのか。歌子は霊媒師を呼んできてお払いしてもらう。が、その霊媒師に「バイオリンを持った男の霊がみえる」と言われますます怖くなる。
 そんな中、オークションに出品する品々の写真を撮っている桐島奈津子(芳本美代子)が、問題の香炉を撮ったら、「こんなものが一緒に」と死んだバイオリニストらしき男性と香炉が二重写しになった心霊写真をワイズ東京のスタッフにこわごわ見せる。
ますます震え上がるスタッフたちだが、立花は、奈津子が心霊写真など非科学的なことを信じないと言っていたことがあるので、奈津子の態度に不信がる。
 オークション当日の深夜、ワイズ東京ではその「風来山人の香炉」が盗まれたと大騒ぎになる・・・。


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