<第4回> <第5回> <第6回>
<第4回> 「突然のキスの意味」
耕三(柳葉敏郎)の実家へ婚約者のフリをして訪れた朝子(小泉今日子)は、「坊ちゃん」「専務」などと従業員から声をかけられる耕三の後ろで少々戸惑う。そして危篤だという耕三の母親の部屋に入ってビックリ。母は危篤どころか、ぴんぴんしていた。
父と母に朝子を紹介する耕三。仕方なしにおつきあいの笑顔を浮かべる朝子。居間では宴たけなわといった感じで浜崎一家は盛り上がってしまう。その陰で一人、千明(小林聡美)に電話をし、「アレ騙しよ!」と愚痴る朝子。それでもなんとか宴に付き合う朝子だったが、席を外した時、声をかけてきた耕三に朝子はたまらず文句を言った。そんな朝子に耕三は言った。母が元気なのは本当に知らなかったと。母が元気な姿のを見てつい弾んでしまったこと。そして、あとで本当のことを話すつもりだという。
「でも、本当に嬉しかったです」そう言う耕三の笑顔を前に、答えに困る朝子…。
日は替わり、仕事始めの月曜日。相変わらず仕事に取り残され、宇都宮(柏原崇)に仕事についていくのも断られた朝子は、オープン直前のプールバーを訪れ、必死の営業をしていた。
その足で、耕三のいるスーパーに先日の謝罪に訪れた朝子は、宇都宮とバッタリ。同じ日に同じ会社の営業マンが次々と行ってもうるさがられるだけだ、だから自分の仕事の邪魔をするなと叱責する宇都宮。しかし朝子は、自分の責任は自分でとりたいとがんとして譲らず、裏口へ向かってしまう。店長に謝り、なんとかヒカリビールを検討してくれないかと訴える朝子。しかし、店長は朝子を軽くあしらうばかり。と、そこに従業員が現れ、耕三の母親が昨晩亡くなったという。仰天する朝子。
家に帰り、千明に耕三の母のことを話す朝子。葬式に行かなくていいのかと朝子を気遣う千明。耕三は本当のことを話したはずだからその必要はないと朝子。そんな折り、マンションのチャイムが鳴った。実(北村総一朗)だった。見知らぬ訪問者に焦る朝子と千明。耕三のウソのために仙台まで行ってくれたことを、お礼に来たのだと実は言う。そこに耕三から電話が入った。実が朝子の部屋にいると聞くや、驚く耕三。電話を替わった実は、朝子に聞こえるような大きな声で、「確かに耕三の好みだね」と楽しげに話し、帰って行くのだった。
数日後、先日のプールバーを訪れ、オープン前の慌ただしい中、雑用を買って出る朝子。しかし店長の態度はどこかよそよそしく…。
家に帰ると、そこには耕三の姿が。テーブルの上にはお土産の山。その中に一本の一升瓶が。耕三の作っている酒だという。
「その節はありがとうございました」と丁寧に礼を言い、部屋を去る耕三。そんな耕三に朝子は、元気を出してと励ましの声をかけた。
土曜日。千明が耕三の家に行こうと言い出した。耕三がどこか元気がないという実からの電話を受け、「浜崎耕三を励ます会」をするのだと言う。実と耕三の住む古びたアパートを訪れた朝子と千明。するといきなり理子(西田ひかる)が「この人なんですか?」と問いかけてきた。おろおろする実。事情を聞くと、実の元に昔の女が尋ねてくるらしく、それで実の恋人の理子は、頭がこんがらがってしまっているのだ。
そこから5人は、昔の恋人に会っていいのか、さらにはそれぞれの恋愛観にまで話が発展してしまい…。
<第5回>
宇都宮(柏原崇)にキスをされ、ぼーっとしたまま朝を迎えた朝子(小泉今日子)。会社では、出社してきた宇都宮を見るや、意識してしょうがない。そうして、二人で遊園地のレストランへ出向いた矢先、朝子は宇都宮に、昨日のことはなだめただけだと言われてしまう。別に気にしていないと強がりを言ってしまう朝子。
同じ頃、千明(小林聡美)は耕三(柳葉敏郎)の働くスーパーを訪れ、朝子に友情宣言をされた耕三を元気づけ、恋の相談に乗っていた。
いっぽう、実(北村総一朗)は結婚を切り出した理子(西田ひかる)を前に激しく動揺、耕三の元に駆け付けるのだった。かたや理子は千明に助けの電話をかけ、それを受けた千明はすぐに朝子に連絡。理子の相談を受ける飲み会のため、ヒカリビールを直接訪問した。その時、千明は朝の後ろから出てきた宇都宮を見つけ、そのルックスに感激。一緒に飲みに行かないかと誘ってしまう。が、宇都宮の態度は素っ気なく、千明は憤慨する。しかし、そんな宇都宮の様子をぼうっと見ている朝子に気付いた千明は不審な思いを抱くのだった。
店で理子を待ちながら、「いい男シンドローム」にかかったらしい朝子をバカにする千明。必死にそれを否定する朝子。そこにようやく理子が現れた。理子は、しばらく泊めて欲しいと言う。驚く朝子と千明。家出の理由は、こんなに実を好きなのに、実は結婚を考えてくれないことが原因だという。
その頃、同じように家を飛び出した実は、一緒に飲んだ耕三に説得され、ようやく家に帰ろうとしていた。が、家に帰ると、そこには探さないでくれとの旨が書かれた理子の書き置きが。焦りまくる実。なんとか落ち着けようとする耕三。そこに、朝子からの電話が入った。理子が家に来ていることを話す朝子。するとすぐに実と耕三が朝子の部屋に尋ねてきた。当の実と理子の周りで外野が大騒ぎする中、帰りたくないと啖呵を切る理子。するとそんなわがままをごねる理子に実が言った。
「帰りましょう」「そして始めましょう」「一緒に人生を始めようじゃありませんか」それは実のプロポーズの言葉だった。ちょっぴり羨ましい微笑みを浮かべ、二人を見守る朝子。
数日後、実と理子のための食事会に出掛けた朝子と千明。理子はその日、式場見学もしてしまうと言う。その頃、実は耕三と共に理子へ贈るための指輪を選んでいた。そんな二人を待ちわびながら、式場やチャペルの案内をされる朝子達。そして衣装ルームに移り、ウェディングドレス選びをしようとした時、ドレスを試着しているスタイル抜群の美女・遥(小雪)が3人の目に入った。ふと見ると、その女性の隣にいたのは宇都宮だった! 一瞬、固まってしまう朝子。そこに、遅れて耕三が駆け付けてきた。実と耕三が場に入り交じり、話がこんがらがってしまうと、小雪を連れ、宇都宮はその場を去って行った。「言うなよ明日、余計なこと」という文句を言い残して…。
<第6回>
ある朝出社してきた朝子(小泉今日子)は、東(小野武彦)に呼び止められた。背広のポケットに入っていて妻に見つかったピアスを、朝子のものだと証言してくれないかと言うのだ。
するとすぐに営業部に大黒専務がやってきた。東の妻は専務の娘だったのだ。深夜、営業のノウハウを教えていた時に過ってピアスが入ってしまったと、なんとか嘘をつき専務の手前を乗り切る東と朝子。
だが、そんなピンチを切り抜けたのも束の間、東と朝子が本当に不倫しているんじゃないかと営業部の連中が噂しているのを、宇都宮(柏原崇)が聞いてしまった。朝子は慌てて宇都宮に誤解だと訴えるのだったが、宇都宮はさして聞く耳も持たず…。
その後、なじみとなった三河屋を訪れた朝子は、東との一件を話していた。そこに実(北村総一朗)と理子(西田ひかる)が現れる。式場が決まったとの話を朝子は聞きつける。
かたや耕三は、結婚情報サービスの神山(八嶋智人)に対し、親友宣言をされた旨を話していたが、神山には「鈍いよアンタ」「最悪じゃん」と軽くあしらわれてしまっていた。
営業を終え、夕方帰社した朝子だったが、再び専務を前に東とのトラブルに巻き込まれる。そこに宇都宮が現れた。宇都宮は、問題の晩、朝子との恋愛の相談に乗って貰っていたためだと咄嗟の嘘をつき始めた。謎が解け、「姉さん女房ってわけだ」と満足げに言う専務。そして宇都宮は、自分から付き合いを言い出したのだとも機転を利かせて言った。そんな宇都宮の態度に、リアクションに困る朝子…。
その晩、千明は耕三を部屋に呼び、毎日の料理や掃除をするという最終手段を使って「朝子との友達宣言」から脱出させようと画策していた。だがそんな千明がふと手にとった雑誌に、新鋭芸術家・助川邦夫の記事が載っていた。助川(近藤芳正)は、常々不気味だと思っていた朝子の部屋の隣人だった。驚く千明。
そこに朝子が帰宅した。朝子は宇都宮の姉さん女房発言の熱も冷めやらず、耕三の作った料理を囲みながら上機嫌でその時のことを話すのだった。
と、そんなところに、突然朝子の友人で新婚のサヤカ(西田薫)が由美(西牟田恵)や潤子(猫背椿)と共にやってきた。いきなり離婚すると言い出すサヤカ。話を聞けば、新婚間もないのに旦那がホステスの名刺を持っていたのだと言う。そんなサヤカを、仕事でそういうところを回ることもあるのだと諭す朝子。すると千明は、早速そのホステス・ジュリのいる店に確認に行こうと発案した。
が、店に行ってみると、そこには宇都宮の姿が。そして店の中から出てきた女性が宇都宮に声をかけた。遥(小雪)だった。ネオンの向こう、遥と共に消えていく宇都宮…。
それを見ていた千明が言い出した。遥こそがジュリだったと。
「ちなみに今の男は朝子が恋する男で、その隣が恋敵ってわけ」
千明の言葉に、思わず強く否定する朝子…。
そんな騒ぎも知らぬ頃、実のところには、結婚話を聞きびっくりした理子の両親が尋ねてやってきていた。猛反対する両親に懸命に「人生をかけて理子さんを幸せに」と訴える実。だがその声は両親には届かず…。