<第1回> <第2回> <第3回>


<第1回> 「理想の結婚相手とは?」
 友人・サヤカの結婚式に駆け付けた中嶋朝子(小泉今日子)。だがサヤカは式を目前にして土壇場でマリッジブルー。結婚をやめたいと言い出した。懺悔室にいるサヤカに向け、ドア越しに説得にかかる朝子。だが朝子の言葉を聞いてサヤカは言った。
「あんた独身じゃん」「それに恋人もいないじゃん」「説得力ないよ」。友人やサヤカの親類達がいる中、すっかりみじめな朝子…。
 朝子は、ヒカリビールに入社後、消費者苦情センターに勤務して10年のOL。そんな朝子にある日、突然営業部への人事異動の辞令が出た。事実上の肩叩きだった。
 戸惑いながらも営業部の扉を叩く朝子。その時、電話をとる手が足りず、朝子はわけもわからないまま電話をとらされてしまう。電話の主は、営業部の若い社員・宇都宮(柏原崇)に用だった。が、宇都宮が不在だったため、受話器越しに怒る店主は朝子にすぐに来いと言う。
 仕入れ値のことで朝子に激しいクレームをつける店主。だが朝子は、ロクな対応も出来ず、苦笑いを浮かべるだけ。
 会社に戻った朝子は、営業部独特のザワつきと活気に溢れる中、ようやく一同に紹介され、指導係の宇都宮のことも紹介される。すると宇都宮は、朝子を見て小声でこう言った。「おばさんじゃないの」ショックを受ける朝子。
 その日一日の疲れがドッと出てマンションに帰った朝子。そこになんと、兄の妻であり、古くからの親友でもある千明(小林聡美)が娘・美季(大平奈津美)を連れてやってきた。「結婚なんかするもんじゃないわよおー」そう言って泣き出す千明。夫婦喧嘩をして押しかけてきた千明は、娘と一緒に朝子の部屋で暮らすつもりらしい。
 部屋に入るや、図々しくなる千明。千明は人生の先輩風を吹かし、朝子の過去を揶揄する。式場選びまでしておきながら、同居が嫌だからと言って結婚を放棄した過去…。だが朝子は、結婚をとりやめた理由はそれだけじゃないと主張。年をとって自分が先に死ぬ時、「長い間ありがとう」と言えないと思ったと言うのだ。そんな理想ばかり追う朝子をバカにする千明。
 バカにし、バカにされた二人がすっかりケンカ状態になったその時、千明がふと郵便物の山から一通の封筒を見つけた。結婚情報サービスQネットからだった。中に入っていた浜崎耕三(柳葉敏郎)の写真を朝子に見せながら、書面を読む千明。耕三の理想の結婚像には「どちらかが死ぬ時に『ありがとう』と言える二人」とあり、千明は興奮。だが、結婚情報サービスなどに入った覚えのない朝子は、母の仕業だとピンと来た。
 翌日、すぐにQネットに出向き解約を申し出る朝子。だがとりあってもらえず…。
 一方会社では、宇都宮に「あなたに営業はできない」とけちょんけちょんに言われ、朝子は怒る。だが、取り引きのトラブルで戦場のような慌ただしさの営業部は、朝子をかまう暇もない。
 そして翌日。一人取り残された朝子が会社から帰ろうとしたところで電話が鳴った。取引先の大友課長(大高洋夫)との会食がセッティングできたので宇都宮に伝えてほしいとの連絡だった。不在の宇都宮に携帯で連絡をとろうとする朝子。だが宇都宮の携帯は留守電になっており、朝子はメッセージを残すしかない。仕方なく、自らもセッティング先のレストランに向かう朝子。だが朝子は大友課長の顔を知らない…。
 そして、レストランで待っていたのは、朝子をお見合い相手と勘違いして話を進める耕三だった。耕三をレストランに呼んだのは、千明の策略だった。その結果、朝子は仕事が出来ないうえに恥を上塗りするようなミスをしでかしてしまい…。

<第2回> 「結婚は女の本当の幸せ?」
 出社前の慌ただしい朝、朝子(小泉今日子)は千明(小林聡美)親子のマイペースにいつものように振り回されていた。
 同じ頃、耕三(柳葉敏郎)は実(北村総一朗)に、朝子と出逢った時のことを語っていた。印象づけたくてガンガン喋りまくったこと。会社まで押しかけ「お断りします」と言ったこと。それら一連の行為は、実の「押して引け」という教え通りのものだった。
 そこに若く美しい理子(西田ひかる)が突然入ってきて、実の朝ごはんを用意したり、布団を干し始めたりした。驚く耕三に、実は「親切な大家さん」だと説明。実は、三十三も年が離れた理子を「押しては引け」でゲットしたらしい。一人納得する耕三。
 かたや出社した朝子は、先日ミスをしでかした「宴」に謝罪に行きたいと訴えるが、他の営業部員に邪魔になるからやめろと止められるばかり。それでも出かけようとした朝子。するとヒカリビールの受け付けに耕三の姿が。「結婚のことなんですけど、正式におつきあいお願いいたします」。耕三の言葉に唖然とする朝子。
 結婚情報サービスマリッジラインに駆け付け、朝子のことを報告する耕三。そこに偶然居合わせた千明は、朝子のことを気に入っているらしき男・耕三を見つけ、ニンマリ。
 一方、朝子は「宴」に赴いて大友課長(大高洋夫)に先日の事情をなんとか説明する。しかし、大友課長は聞く耳を持たず…。
 会社に戻った朝子は、案の定、邪魔をしただけだと同僚から白い目で見られてしまう。
 疲れて家に戻った朝子は、せっかく買ったスーツを千明お得意のマイペースで奪われる。振り回されて辟易する朝子。
 翌日、得意先の三河屋に呼び出された朝子は、消費者向けのノベルティ“楽チン枕”をくれと言われて大弱り。だが店主は、同じ酒屋仲間で“楽チン枕”を貰った人がいると主張する。不公平に怒る店主は、くれないのならヒカリビールとの取り引きをやめると言う。即座に持ってくると言う朝子。その態度の変わり様に店主はさらに怒り、犬小屋を掃除しろと言い出した。
「宇都宮(柏原崇)は四つん這いに這いつくばってよ、キレイにしてくれたよ」黙るしかない朝子。
 冗談じゃないという気持ちで歩く朝子。そこに偶然トラックで通りがかった耕三が駆け寄ってきた。偶然の再会に喜ぶ耕三。「僕のこと気になってくれました?」無神経に尋ねる耕三。そんな耕三に朝子は、あなたと会った夜からすべてがおかしくなった、と憮然として言う。
 再び「宴」を訪ね、大友課長に言い訳を聞いてもらおうと頭を下げた朝子。しかし、大友に「いい加減にしてくれ」と追い返されてしまう。店長室を出て、店内に出る大友。するとそこには、ライバル会社のビールを運ぶ宇都宮の姿が。自分達のミスで取り引きはキャンセルされてしまったが、店長には世話になったから、その恩返しだと言って楽しそうに汗水流す宇都宮。その姿に打たれた朝子は、三河屋に行き犬小屋を掃除するのだった。
 夕方、汚れた服と乱れた髪で帰る朝子は、またもや偶然耕三と出逢う。どうしたんですかと尋ねながら「でもいい感じです」と言い残し、すぐに去ってしまう耕三。
 くたくたになって帰った朝子は、千明に仕事のことを話す。「なんかね、わかった気がしたんだ、今日」ちょっとした達成感だった。
 その頃、耕三は実に、朝子と二回も偶然出逢ったことをVサインで報告していた。そして翌日、千明はスーパーで働く耕三を発見。その時、高校生が万引きするのを見つけた耕三は…。

<第3回> 「赤い糸って信じますか?」
 マンションに帰るや、そこでごはんを食べていた耕三(柳葉敏郎)を見つけ、朝子(小泉今日子)はビックリ。同じように朝子の家と知らず食事をしていた耕三も驚き、早々に帰ってしまう。
 翌日、夏期限定ビール商戦を宇都宮(柏原崇)の指導の元に頑張ることになった朝子。だが朝子は宇都宮に、一人で外回りをすると言われてしまう。ムカつき、一人で売ってやると憮然とする朝子。犬小屋の掃除をした三河屋で早速注文をとり、幸先の良さに浸る朝子だったが、別の
酒屋では去年の売れ残りを引き取らされるなど散々。
 朝子はとあるスーパーで宇都宮にばったり遭遇。宇都宮は、このスーパーはライバル会社のファインビールが強いから営業は絶対に無理だと言う。確かにそこにはファインビールばかりが。そして、店内には商品を運ぶ耕三の姿が…。互いの存在に気付かない朝子と耕三。
 スーパーの後にやってきたビアレストランで、宇都宮の意外な仕事ぶりを目にした朝子は、いつも自分には横柄な態度をとる宇都宮を少し見直す。だがその夜、社に戻ろうとした朝子に宇都宮はたくさんの雑用を命じたため、朝子はそんな宇都宮にまたもキレてしまう。
 同じ頃、実(北村総一朗)の部屋で耕三は、実から朝子にさっさとプロポーズしてしまえとけしかけられていた。朝子が家に帰ると、夫から荷物とお金が送られてきたと言って千明(小林聡美)が激怒していた。「いい人」を旦那にすべきだと主張する千明は、マリッジラインの小冊子を取り出し、読み上げた。耕三の言葉だった。「素敵な出逢いがありました」「相手のANさんは都会的なキャリアウーマン」…よほど朝子が気に入ったらしい。
 そして翌日。照りつける太陽の下、缶ビールの入った紙袋を抱えて昨日のスーパーを再び訪問した朝子は、そこで耕三とバッタリ。「赤い糸だ」と呟く耕三に、店長はどにいるかと尋ねる朝子。ヒカリビールを置いて欲しいと耕三に訴える朝子に、うちのスーパーはファインばかりだと言う耕三。「だからひっくり返すんです」「この棚をヒカリビール一色にしたいんです」そう言う朝子に「カッコイイなあ、中嶋さん! さすがキャリアウーマン!」と耕三は感心。朝子の制止の声も聞かず、「いいから任せて!」店長に頼みに行ってくると言い残して、その場を去ってしまった。耕三が張り切って入って行った応接室では、店長が接客中だった。それでも構わず、ヒカリビールをプッシュし、ファインは売れていないなどと言う耕三。その後ろからそうっと朝子は顔を出して自己紹介をした。すると、男が立ち上がり、自分はファインビールの営業部の者だと自己紹介をした。呆然とする朝子。怒る店長。そこに駆け付けた宇都宮は、「店長、うちの者が大変失礼致しました!」と朝子のしでかしたことをしきりに謝罪する。
 大立ち回りのあと、スーパーの表に立って、「社会人何年目だっけ?」と朝子を問いただす宇都宮。が、そんな宇都宮と朝子の間に耕三が割って入り、自分が余計なことをしたからだと言い訳する。「どちら様?」と訝しがる宇都宮に耕三は、真剣に朝子との結婚を考えているときっぱり。「違います!」と朝子。結婚式にはヒカリビールをよろしくと営業して、その場を宇都宮が去ったあと、「あなたは赤い糸とか言ってましたけど、今後は糸が切れることを祈ります」と朝子は今度こそきつく言い、立ち去った。一人愕然と取り残される耕三…。


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