<第10回> <第11回> <第12回>


<第10回>
 家出をした千明(小林聡美)は助川(近藤芳正)の部屋におり、朝子(小泉今日子)はひと安心。
 そして出社し、仕事もトントン拍子で進んだ朝子は、道を歩いていたところで、耕三(柳葉敏郎)の父・拓也(中村嘉葎雄)とばったり。実(北村総一朗)の結婚を祝うため、そして朝子と耕三の結婚の日取りを決めるために上京してきたのだという。拓也はまだ、朝子が耕三の婚約者だと思い込んでいたのだ。
 拓也を実の部屋に案内した朝子。だが、何を話していいかわからないから一緒に来てほしいと拓也は言う。実際、家を勘当された実と拓也が面と向かうと、話すことは何もなく、ひたすらどんよりと重たい空気が漂うのだった。耐え切れず逃げ出す朝子。それを追って部屋を飛び出す実。
 すると、実のいない隙に、千明と美季(大平奈津実)が尋ねてきた。隠れる拓也。
誰もいないと思い、帰ろうとする千明と美季。すると美季のランドセルから1枚のバースデーカードがハラリと落ちた。「パパおめでとう パパに会いたいです 美季」それを見て、隠し子がいると思い込む拓也…。
 そこに理子が帰ってきた。親の躾が悪かったと言って、いきなり理子に土下座しだす拓也。
 その頃、得意先で営業の仕事に精を出していた朝子。そこに宇都宮(柏原崇)がヘルプに現れた。結婚の返事を聞かせてほしいと言う宇都宮。自分の年のせいで気にしているのかと問いつめる朝子。
 朝子が家に帰ると、パニックを起こした拓也が突然尋ねてきた。そこに千明と美季がいたため、拓也は大声を上げる。そこに耕三も遇然現れ、拓也は耕三に泣きつく。
「この子は実の隠し子だ!」そう言って美季を指差す拓也。呆然とする千明達。
 結局、すべての事は判明し、笑い合う拓也達。だが、話は耕三と朝子の結婚のことになり、耕三はようやく事情を説明する。その時、耕三の母が死ぬ間際に、「お父さん、ありがとう」と言ったという話を拓也がし始めた。そして、それが理想だった、
だから朝子の身上書を見た時、同じ感性だと思ったと言う耕三。驚く朝子。
 耕三達が帰った後、千明に身上書に「ありがとう」と書いてあったかを慌てて問いつめる朝子。そんなことは覚えていなかった朝子は、しんみりしてしまう。
 翌日、会社で「いたんだ…同じコトを思う人って…」と一人呟いている朝子の元に、弥生(遠山香織子)が尋ねてきた。朝子と友達になりたいという弥生は、自分の恋を応援してもらうため、朝子をホームパーティーに招待するのだった。
 その日のランチを宇都宮ととっていた朝子に、宇都宮は夏休みを2人合わせてとろうと言い出した。そしてその時、海外で2人だけで結婚式を挙げてしまおうとも。結婚は個人のものだから、まずお互いが幸せになることが大事だと思うと言う宇都宮。
そんな結婚観が聞けたことに驚く朝子。
 その晩、千明と美季と共に、弥生の家を訪れた朝子は…。

<第11回>
 社内で宇都宮(柏原崇)とすれ違った朝子(小泉今日子)は、夏休みを朝子の予定に合わせたから、その合間に結婚をしようと囁いた。あまりのペースの早さに焦る朝子。
 そんなやりとりを見ていた営業部の面々からは、二人の仲を盛り上げる発言がどんどん飛び出し、宇都宮ともども朝子もその雰囲気に飲まれてしまう。屋上に出た朝子は、ポツリと一言「あたし…結婚しちゃうんだ」。そう言った朝子の顔からは思わず笑みがこぼれるのだった。
 そんな矢先、宇都宮は営業先で突然弥生(遠山景織子)一家と耕三(柳葉敏郎)に声をかけられた。一同は、耕三の結婚話をしに来たらしい。話の合間を縫って、トイレに行った宇都宮はそこに居た耕三に朝子のことを「必ず幸せにしますので」と宣言。
 その帰り、助川(近藤芳正)の部屋で朝子と会った耕三は、朝子に「幸せなってくださいね」と声をかける。答えに困りながらも「浜崎さんも…」と切り返す朝子。
 だがその晩、耕三は寝付かれず、翌日、意を決した耕三は弥生の家を訪問。結婚をやめたいと切り出した。朝子のことが忘れられないというニュアンスで…。
 いっぽう会社のロビーに降りたった朝子は、そこに弥生の姿を見つける。弥生は、耕三にフラれた報告に来たのだと言う。
 早速耕三の働くスーパーを訪れ、弥生との結婚破談の理由に自分が使われたことを怒る朝子。だが耕三は、自分は正直になったまでで、結婚してから弥生が傷つくよりはいいと思ったと頑固に主張するのだった。
 かわって場所は朝子のマンション。部屋にいた千明(小林聡美)の元に突然弥生を除く弥生一家が襲来した。彼らの話によれば、耕三の気持ちから朝子が消えない限りどうしようもないのだと言う。面白くなってきたと色めきたち、電話を手にする千明。
 そんなことになっているとは知らない朝子は、宇都宮から結婚式をやる南の島まで見つくろったという話を聞かされ、戸惑いを隠せない。付き合ってから日が浅いというのが朝子の言い分だった。だが宇都宮の携帯に電話が入ったため、朝子の言い分は話半分で聞き、その場を去ってしまう宇都宮…。
 会社に戻った宇都宮。だがそこには神山(八嶋智人)の姿が。大きな声で、結婚の段取りを勝手にぶちまける神山。
 そんな神山から逃げるようにして宇都宮が営業部に戻ると、そこには弥生の両親いた。弥生の父は、シティライトホテルのオーナーで、宇都宮と朝子の結婚式をそのホテルで挙げさせたいと言う。そのうえ、その縁でヒカリビールをホテルのグループに入れさせたいとも。結婚式のこと、そして突然舞い込んだあまりの大きな仕事の話に思わず固まる宇都宮。
 神山、弥生の両親。それらは実はすべて千明が考えた、宇都宮と朝子にいやがおうにも結婚を意識させるため、そして孤独になった耕三が弥生に目を向けるようにさせるための作戦だった。
 帰宅した朝子は、千明がバレバレの作戦が行ったことに腹を立てる。だがその時、突如、千明はお腹が痛いと言って、腹を抱え込み苦しみ始めた…。

<第12回>
 ある朝。突然朝子(小泉今日子)の家のベルが鳴った。ドアを開ける千明(小林聡美)。そこに立っていたのは、朝子の兄で千明の夫の透(阿部寛)だった。てっきり千明が怒ると思った朝子。だが千明は感動のあまり泣きながら透の胸に飛び込むのだった。夫婦のことがわからなくなる朝子。
 出社する朝子。すると朝子は東(小野武彦)から総務部へ異動となる話をされる。宇都宮との交際が会社にバレたせいだ。同僚に「寿退社をすれば」とそそのかされた朝子は、屋上で一人思いに耽る。
 だが、再び営業部に戻った朝子は、突然新規の得意先が朝子を指名してきたといって東に呼び止められる。その得意先とは、耕三(柳葉敏郎)の働くスーパーだった。
 すぐにスーパーに行く朝子と東。店長によれば、スーパーには絶対に卸さなかった浜崎酒造の「杜の里」が、ヒカリビールを入れることを条件に卸してくれることになったからだと言う。耕三の仕業だと直感する朝子。
 耕三にお礼の手紙でも書こうと思いつつ家に帰る朝子。だが、家には千明と美季(大平奈津美)と透の置き手紙と、耕三の送別会の写真があるだけで人気がない。少し寂しくなった朝子は、バルコニーに出て助川(近藤芳正)と共に耕三のことを思い出してみるのだった。
 しかし、そんな助川の部屋には千明や透、美季、実(北村総一朗)、三河屋(塩見三省)、神山(八嶋智人)らに囲まれた耕三の姿が。そして深夜。寝つけずにバルコニーに出た朝子は助川の部屋のバルコニーから出てきた耕三と遭遇してしまう。せっかく耕三に感謝の気持ちを持っていたのに卑怯だと怒る朝子。帰るフリをしておきながらみんなが朝子を騙したと思ったのだ。
 耕三を引き止めたのは自分だと言って謝る千明。耕三はいい人じゃないかとなだめる透…。
 翌日。耕三のスーパーから突然呼び出された朝子。すぐに駆け付けると、そこでは実が耕三の横で土下座をしていた。杜の里は特定の酒屋にしか卸さないものを、耕三の一存で勝手に決めてしまった、そんなことをしたら耕三は跡を継げなくなる、だからこの話はなかったことにしてくれと言って頭を下げる実。そんな実を止め、「あんなもので朝子さんに笑顔が戻ればいいと思った」と言う耕三。その一部始終を見てい
た朝子は、「そんなの迷惑です」と言って立ち去るのだった。
 その晩、宇都宮(柏原崇)と会った朝子は、宇都宮から結婚式を都内のホテルで挙げることになったと告げられる。結婚式でヒカリビールがホテルに食い込めるかもしれないと部長に泣きつかれたからだと言う。結婚式を業務命令で挙げることにどこか納得がいかない朝子。
 その翌日の晩。朝子は美季から「パパとママの仲直りの会」というファックスを受け取り、指定されたレストランへ出向く。レストランは、朝子が耕三と初めて会った店だった。
 店に到着すると、そこには耕三一人が。思わず懐かしむ2人。やがて千明、透、美季、助川、神山が遅れて到着し、ギャルソンや他の客に煙たがられながらも朝子の周りは騒然となる。さらにそこに実と理子(西田ひかる)も登場し、店内はもっと賑やかに。そして実と理子からは思わぬ告白が。なんと理子が懐妊したというのだ。喜ぶ一同の中でもひときわ大声を上げる耕三。一同は「こんにちは赤ちゃん」を合唱するのだった。
 店からひんしゅくを買い、朝子の家に戻った一同。すると千明は、朝子と宇都宮の結婚式が終わったらシンガポールに帰ると言う。ついでに「あたしは浜崎耕三を押すけどね」と千明は相変わらずしつこい。だが、皆と楽しそうに歌う耕三の姿を見つめる朝子の瞳はどこか微笑ましい…。
 透は帰り際、朝子に言った。
「朝子は今、結婚しようとしてるが幸か不幸か比べられる男がいる。この男と比べてその結婚相手に劣っているところが6つあったら諦めろ。5つ以下なら、人間それなりにやっていけるものだ」
 意味深な兄の言葉に考え始めた朝子は、耕三とのこれまで、そして宇都宮とこれまでのことを思い返してみるのだった…。


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