<第7回> <第8回> <第9回>


<第7回>
 錯乱した進藤(江口洋介)の治療ぶりを、救命救急のスタッフは痛々しく見つめる。楓(松嶋菜々子)に、「本当のことを言ってくれたら」と言われた堺(杉本哲太)もやりきれない思いだ。
 医局長の多田(清水章吾)から「一週間以内に出て行けばいい」と言われた進藤は植物状態の妻、早紀(高田美佐)のあずけ先を探し回り、大学同期の男に土下座して頼む。
 そんな時、看護婦のゆき(須藤理彩)が、早紀に反応に反応があったと楓に伝える。それは、行く先のない早紀のことを心配したゆきが、容態さえ変われば病院においてもらえると考えたウソだった。
 早紀の病室を訪れた堺は進藤にあやまる。だが、早紀の転院先が決まったことを知らせた進藤は、「お前は堂々と出世していい」と励ます。
 堺が病院幹部に昇進面接を受ける日、アルバイトで一流ホテルの診療を行っていた進藤は、暴漢に襲われた次期総理候補の犬丸(山崎満)を看る。肺を突き刺され危険な状態。
 秘書たちは極秘に治療したがっているが、「放っておくと死ぬ」と脅した進藤は、救急車を呼ぶことに同意させ、救命救急センターに連絡をとる。
 昇進面接を受けた堺は、病院幹部たちが進藤のウワサ話をしているのを聞き、病院側の進藤夫妻に対する不当な扱いを非難した上、刑事の治療に当たったのは自分だったと告白していた。
 初療室前で氏家が堺に文句を言っているところへ、犬丸のストレッチャーがとおる。進藤が付き添っているのを氏家と堺が不審がる。氏家が「なぜ?」と問い掛けるのに対して楓が「後にして」と言う。
 手術は成功し進藤の腕に感心した犬丸の側近は、多田に「いい人材を揃えてますな」とほめる。手術を終えた進藤を氏家が呼び止め、「明朝9時、私の部屋へこい」と言う。犬丸の秘書が話をしたがっているというのだ。
 「ぼくはここの人間じゃない」と言う進藤に、氏家は「処分は白紙」と言い、「患者を選ぶのも大事だ」と言う。それに対して進藤は「総理候補だから助けたのじゃない」と反発する。
 その進藤を多田が止める。同僚医師や看護婦たちが進藤を見つめる中、「ここには、患者を死なせて平気な奴なんかいない。救命救急では副院長の考えは受け入れられない」と言ってしまう。

<第8回>
 看護婦のゆき(須藤理彩)が患者の敬次(山崎一)に流動食を食べさせようとするが、食べたがらない。そこへやってきた娘の奈緒子(池脇千鶴)が調子よく食べさせる。
 勤務明けのゆきが帰ろうとしたところへ、建設現場の重機にはさまれた桜井剛(江守徹)が運ばれてくる。ストレッチャーの上の剛とゆきの目が合う。父と娘だった。
 剛の処置が始まる。楓(松嶋菜々子)は剛には娘がいるが、連絡が取れないと報告し、「再調査する」と言う。その楓にゆきが、「私の父」と言って帰ってしまう。
 看護実習生たちのそばを、葬儀屋の森本(ドン貫太郎)が通り抜ける。もうひとつの葬儀屋、伊集院(一本気伸吾)と葬儀を分担しているが、そこへなにわ斎場が割り込んできて大変なのだ。
 婦長のルリ子(大島蓉子)と会った森本と伊集院は、情報を流してリベートをもらっているスタッフがいると言う。怒ったルリ子も「徹底的に調べる」と約束する。
 ゆきは進藤(江口洋介)から剛の肺にカゲがあると言われ、「肺ガンかも」と思う。その剛は、敬次と相部屋。そんなに長くないと言う敬次は、焼き肉が食べたいと言う。剛はその願いをかなえてやろうと考える。
 剛の話では、ゆきは三年も家に寄りついていない。剛は姉娘を溺愛していたが、その姉娘の死後、ゆきに対する干渉が厳しくなる。反発したゆきは、高校卒業後、家を出て看護学校へ入ったらしい。
 剛は部屋にホットプレートを持ち込み、ベッドの下で肉を焼く。だが、敬次は食べられず、ベッドにうつぶす。あわてた剛は看護婦を呼ぶが、その間に煙が部屋に充満し、スプリンクラーまで稼動し始める。
 初療室で進藤の処置を受けていた敬次が、「娘と話させてくれ」と頼む。奈緒子が入ってくると、廊下にいた隆(大滝貴也)を招き入れた敬次は、「義理の弟だ、仲良くやってくれ」と言う。
 医局長の多田(清水章吾)とルリ子は、勤務表からなにわ斎場が出入りした日に勤務がかち合うのはゆきと割り出す。多田はそれに研修生の辻(八嶋智人)も恋人ができたばかりだと言う。
 その話はアッという間に看護婦たちに知れ渡り、剛の耳にも達する。奈緒子は父親から義理の弟を紹介されたことに怒り、「勝手に死んだのも許せない」と叫ぶ。進藤は剛の検査結果をゆきに告げる。
 敬次の死体が安置された霊安室の近くで剛は、なにわ斎場の木綿子(中村綾)があいさつするのを聞くと、情報の出所を詰問したあげく、からまって階段から転げ落ちる。
 初療室に担ぎ込まれた剛が、笑いかけるのを見たゆきは、「いいかげんにして、あんたはもう間もなく死んじゃうんだよ」と言ってしまう。剛は肺ガンだった。

<第9回>
 看護婦のゆき(須藤理彩)が父親の剛(江守徹)に「ガンだからね」と言った翌日、進藤(江口洋介)は剛に「肺ガンだが、手術で治る可能性がある」と検査結果を伝える。
 ゆきは進藤と楓(松嶋菜々子)に言いすぎたことを謝るが、進藤はゆきと折り合いの悪い父親が葬儀社に情報を流した疑いを持たれた娘の汚名を晴らそうとしたことを明かす。情報を流していたのは辻(八嶋智人)だった。
 その日、建築中のビルから落ちてきた鉄骨をモロに受けた青年が運びこまれる。両親や友人が駆けつけるが、手の施しようがなく、ゆきも慰めの言葉もない。
 婦長のルリ子(大島蓉子)もゆき親娘の関係修復につとめるが、ゆきの心をほぐせない。剛は進藤に複雑な親娘関係を打ち明けた上、「手術は怖い」と言う。
 帰ろうとしたゆきに進藤は、「オペを受けるように父親を説得しろ」と命じるが、ゆきは父親への対処の仕方が分からない。進藤は「ここは命を救うところ、お前はその一員だろう」と問い掛ける。
 翌日、横になったままの青年の両親が面会を許される。「よく頑張ったね」と誉める姿を見たゆきが、涙をこらえながら病院の玄関へきた時、急ブレーキの音を耳にする。
 「助けて」と叫ぶ佳代(水島かおり)。目を離したスキに息子が風呂に入り、溺水してしまったらしい。同じころ、剛の病状が急変し、進藤が剛を、堺(杉本哲太)が子供の処置をし始める。
 動転している佳代をゆきが慰めているところへやってきた楓が、父親の病状の急変を伝えるが、ゆきは「ここが終わってから行きます」と答える。一方、剛はうわごとでゆきの名前を呼びつづけている。
 佳代の息子が水を吐いたのを見たゆきは、佳代に「もう安心」と告げる。泣き崩れる佳代の姿にゆきの表情はひきつる。小走りに剛の部屋に向かったゆきは、静けさにドキリとするが、進藤に「安心しろ」と言われる。
 気分のよくなった剛は、ゆきに「死に損なった」「葬式はしなくていい」と軽口をたたく。それを聞いたゆきは、「患者の命を延ばすことが私たちの仕事」と剛を諭し、手術するようにすすめて納得させる。
 夕方のナースカンファレンスの席でゆきは、父親が迷惑をかけたことを詫び、進藤にもお礼を言った後、「奥さんが目覚めることを信じてます」と励ますのだった。


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