<第4回> <第5回> <第6回>


<第4回>
  海水パンツ姿の男が救急車で運び込まれる。その日が休みの菊池医師(金田明夫)だった。付き添っている志乃(土屋久美子)が菊池夫人と思われたが、志乃は小料理屋のおかみだった。
 たまたま、そこへ菊池夫人の美和(竹井みどり)がやってきた。看護婦のゆき(須藤理彩)が持ってきた「愛する志乃さんへ」のカード付きのプレゼントを見て怒り、菊池の症状は悪化する。
 楓(松嶋菜々子)が化粧をしてやった多恵( 高田敏江 )は大腿部を骨折している。ガンも転移し、おまけに夫の正勝(三橋達也)のことも分からない痴呆症患者である。
 やってきた正勝に楓は、「奥様がお待ちかね」と病室に案内するが、多恵は夫の方を見向きもせず、入ってきた進藤(江口洋介)のことを「主人よ」と楓に紹介する。
 午後、脳死状態だった高木が死ぬ。楓は高木の新婚の妻、マキ(宮沢美保)に「奥様が毎日のようにいらしてだんな様も幸せ」と言うが、マキは「病院へ来るのがいやだった」と反発する。
 帰っていった志乃が再び顔をだし、菊池を見ている美和と女の戦いを展開して帰る。菊池と志乃との間には男女関係はなかったらしいが、怒った美和も「離婚する」と帰ってしまう。
 多恵の病室では、やってきた正勝を多恵が追い出そうとする。正勝は「もうダメ」と落胆している。楓はその正勝を励ますが、正勝に「あなたなんかに何ができる」と言われる。
 進藤は絶望して帰ろうとする正勝を早紀(高田美佐)の病室に案内する。「妻だ」と紹介した進藤は7カ月も植物状態であることを明かしていく。
 翌朝、多恵の容態が悪化する。駆けつけた正勝はきょうが結婚記念日と言い、指輪をしてやろうとするが、多恵は進藤を見たまま。正勝は進藤に「俺の代わりにしてやってくれ」と頼む。
 多恵の最後が近づく。進藤が手にする片方の多恵の手を正勝が握る。その時、進藤の手から抜けた多恵の手が正勝の両手に重なる。正勝が「ありがとう」とつぶやく。
 元気になった菊池が、「女は男の甲斐性が分からない」といきまいている。そこへ美和がやってくる。みんなは心配するが、美和に近づいた菊池は土下座してあやまる。
 美和は美和で、医局長の多田(清水章吾)にあやまり、菓子折りを渡して「これからもお世話になります」と頭を下げる。「いい奥さん」と言う楓に、進藤が「ああ」とうなずくのだった。

<第5回>
 警察に追われ、ガードレールにバイクを激突させた犯人と、そのバイクに跳ねられた刑事の佐藤とが救命救急センターに運び込まれてきた。
 佐藤に付き添ってきた刑事の二階堂(深水三章)は、佐藤を先に治療させようとするが、進藤(江口洋介)たちは重傷の犯人の方から治療し始める。
 ところが、堺(杉本哲太)が処置した後、佐藤の容態が急変し、看護婦の愛子(西田薫)が堺や進藤を呼んだときには手後れだった。心筋梗塞とみられた。
 佐藤の死を知った二階堂は,進藤を殴り飛ばしたあげく、「貴様が殺したも同然」と怒り狂って帰る。楓(松嶋菜々子)にはイヤな予感がする。
 そこへ現れた副院長の氏家(清水紘治)は、刑事を優先的に見るべきだったと言った後、二階堂が地元選出代議士の親戚関係にあることを明かし、進藤の指導力不足も問題になるかもしれないと言う。
 堺を連れて副院長室に向かった氏家は、自分の論文の下書きをしてくれたことを感謝し、今度の異動で第一外科の副部長に推薦すると言う。同時に、救命救急の内情を最初に伝えるように頼む。
 再び現れた二階堂は、遺体を行政解剖した結果、死因は外傷性胸部大動脈破裂だったと言う。誤診したのは進藤だと決め付け、「お前の免許証をとりあげてやる」とどなる。
 翌日、進藤は亡くなった佐藤のレントゲン写真を見た結果、大動脈損壊の所見は見られないとスタッフに説明する。多田医局長(清水章吾)はうなずくが、氏家は納得しない。
 その氏家は、警視庁から調査報告要請がきたことを明かし、明日にも査問委員会を開くことを伝える。進藤にはICUの個室に自分の妻を長期入院させていることも問題だと言及する。
 ナースカウンターでは、レントゲン写真1枚がなくなったと騒いでいる。一方、佐藤のレントゲン写真を見ていた楓は、うち1枚がすりかわっていることに気づく。進藤に堺がやったのではないかと伝える。
 その夜、進藤は研究室の堺を訪れる。黙っている進藤に対して堺は、副部長に昇進しそうなことや自分の家庭の事情を打ち明け、経歴を傷つけたくないと訴える。
 しかし、進藤は、佐藤の大動脈損傷に気づいていたのかどうかを問いただす。隠していた1枚のレントゲン写真を出した堺は「見落とした」と言い、表沙汰にするのをやめさせようとして進藤を怒らせてしまった。

<第6回>
 誤診で刑事を死亡させた救命救急センターのスタッフに対する査問委員会が開かれる。副院長の氏家(清水紘治)が経過を説明,進藤(江口洋介)が問題の胸部レントゲン写真を提出する。
 映し出された写真は、すりかえられたものではなく、本物。大動脈損傷の部分が分かる。進藤は「今後、ミスを無くすこと」と言うが、氏家は「植物状態の奥さんのことも問題」と指摘する。
 誤診した堺(杉本哲太)は進藤にあやまるが、実情を知らない救命救急センターのスタッフは、進藤に対して白い目を向け、治療の指示にも素直に応じようとしない。
 進藤は次々と担当を外される。看護婦のゆき(須藤理彩)に、妻の早紀(高田美佐)が医学生の教材にされていることを知らされた進藤は、指導中の氏家に文句を言うが、「今後も実習させてもらう」と言われて殴り倒してしまう。
 それを見た楓(松嶋菜々子)は、堺がすりかえたレントゲン写真を氏家に見せ、診断したのは堺だったことを告げる。氏家は「よく話してくれた」と言った後、預かった写真を燃やしてしまう。
 進藤に対する仮処分が決まる。正式処分まで救命救急スタッフから外れ、外来の軽度の患者を担当することになる。いわば、その間に次の職場を探せ、というふくみらしい。
 翌日、医師数人の杉田外科病院を訪れた進藤は、そこで雇ってもらえることになるが、やがて週刊誌の「刑事を見殺しにした救命救急医」の記事が出るに及んで断られる。その騒ぎの中、堺はひとり研究室でふるえつづけていた。
 進藤が次の就職先を断られたことを知った楓は、副院長に事実を話したことを打ち明けて謝る。それを聞いた進藤は、週刊誌のネタ元が氏家と知って怒るが、植物状態の妻を抱え、次の仕事も決まらない今、氏家に頭を下げるしかない。
 氏家を訪れた進藤は、「俺と妻を病院に置いてくれ」と頭を下げ、ICUを私物化したことを認める。だが、氏家は許そうとしない。そのころ、堺が第一外科副部長に昇進するウワサが流れ始める。
 初療室に、ビルの9階から墜落した患者が運び込まれ、堺たちが治療に当たる。来合わせた進藤が指示し始めたが、患者は開放性の頭蓋骨折。それを知ったみんなが動きを止める中、ひとり進藤だけが指示を出し続けていた───


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