<第10回> <第11回> <第12回>


<第10回>
 バイクの転倒事故で雅彦(山中聡)と瞳(高橋かおり)が運び込まれる。雅彦のケガは軽いが、瞳の顔面挫創はひどい。だが、その瞳を処置する進藤(江口洋介)の様子のほうがおかしい。
 楓(松嶋菜々子)は、顔のキズを気にする瞳を個室に入れてやるが、進藤が強い鎮痛剤を飲んでいることを知る。その進藤は、楓に患者のカルテを預け、「治療プランを立てろ」と命じる。
 そこへ、堺(杉本哲太)が「カミさんが目を開けた」と飛び込んでくる。カミさんとは、植物状態で入院中の進藤の妻、早紀(高田美佐)のこと。駆けつけた進藤の前で目を閉じてしまう。
 進藤は早紀に対して様々な治療をするが、早紀の反応は鈍い。堺は「あせるな」と出て行くが、反対側から入ろうとした楓は、進藤が目測を誤ったり、頭痛に苦しむ姿を見る。
 バイク事故の雅彦と瞳は五月に結婚の予定だったが、トイレの鏡で顔のキズを見た瞳は失神し、自分のほうから結婚の解消を申し出て、退院の決まった雅彦にも「会いたくない」といい始める。
 そのころ、路上に倒れていた男が運び込まれる。検査の結果、脳腫瘍だったことが分かる。家族の話では、鎮痛剤を増やし、飲み続けていたらしい。楓はそれを知って進藤の症状を思い浮かべる。
 朝の会議後、落合医師(沢村一樹)とナースの響子(北原一咲)との結婚が発表される。響子は今月いっぱいで退職するらしい。一方、雅彦は瞳を説得し、一緒に帰るつもりだ。
 落合と響子を祝うパーティーに向かう進藤の後を追った楓は、脳腫瘍患者によく似た症状があるのでは?と心配していることを告げるが、進藤は「お前が心配することじゃない」と言う。
 パーティーでは、次々にお祝いの言葉が述べられる中、自分と妻のことをしゃべった後、「みんなが支えだった。落合と響子さん、幸せに」と結んだ進藤の言葉が感動を呼ぶ。
 その帰り、響子のストーカーだった学生のワタル(DAIYU)が、ナイフを手に響子めがけて突進し、止めようとした落合が刺される。救急車に連絡が取れないことを知った進藤は、落合を抱いて路肩のバンに飛び乗り、楓が運転して走り始めた。

<第11回>
 楓(松嶋菜々子)は頭痛に悩む進藤(江口洋介)のことが心配だった。相談を受けた堺(杉本哲太)が検査を受けるようにすすめ、進藤がうなずくのをみて二人は安心する。
 だが、検査の結果は最悪だった。脳に腫瘍が見つかってしまう。堺と楓は手術するようにすすめるが、進藤は手術したがらない。植物状態の妻、早紀(高田美佐)のことが心配なのだ。
 響子(北原一咲)のストーカーに刺された落合(沢村一樹)が意識を取り戻す。「刺された時より痛い」とボヤく。その落合のところへ、女名前の花束が次々と贈られてきて新妻の響子は心の休まるヒマもない。
 堺が相談した先輩の脳外科医、植松(大高洋夫)は放射線治療で腫瘍を小さくできると言う。進藤も堺の説得に負け、病院には内緒で治療を受けることに同意する。
 進藤の放射線治療が始まった。5回目を過ぎたころには頭痛も治まり、目くらみも直って堺を喜ばせる。進藤は、瀕死の重傷だった女性患者の退院を見ながら早紀が元気だったころのことを思うのだった。
 堺が、6回目の治療に進藤を放射線治療室へ連れていった間に、救命救急センターは目の回るような忙しさに襲われる。辻(八嶋智人)は入院患者、宮を、楓は腰を痛がる外来のおばあさん、たつ江(清水保子)をみる。
 楓は、たつ江の腰の痛みを鼠径部ヘルニアカントンと診断して婦長のルリ子にほめられる。だが、付き添いのたつ江の孫娘、睦美(西野麻美)が発熱していたことを忘れ、大変なことになる。
 このため、進藤と堺がいないことが医局長の多田(清水章吾)にバレてしまう。そこへ現れた進藤が自分の症状を明かし、治療を受けていたことを報告する。あわてた多田は、進藤抜きのシフトを組む。
 早紀は少しずつ回復のきざしを見せていたが、病室を訪れた楓と看護婦のゆき(須藤理彩)が異変に気づく。放射線治療の効果がなかったことを告げられた進藤も駆けつけるが、早紀は肺炎を併発していた。

<第12回>
 肺炎の早紀(高田美佐)を3日3晩、一睡もせずに看病した進藤(江口洋介)は意識を失い、HCUに収容される。その間にも、救命救急センターには、様々な患者たちが運び込まれてくる。
 楓(松嶋菜々子)は、研修期間の延長を多田医局長(清水章吾)に申し出る。進藤をローテーションからはずすつもりの多田にとっては渡りに船の話。だが、意識を取り戻した進藤は楓の研修期間延長を断る。
 翌日、花束を抱えたゆかりが、落合(沢村一樹)の見舞いに訪れる。看護婦で、婚約者の響子(北原一咲)は、落合の女性関係の多さにあきれるが、ゆかりは昨年夏に爆発事故が起きた時の患者。お礼にきたのだ。
 早紀の部屋でメモを取っている進藤を見かけた落合(杉本哲太)は、進藤が自分のいなくなった時の処置方法をメモしていることを知って、手術を受けさせなければならないと決意する。
 多田も考えは同じだった。楓を連れて脳外科の定例会に乗り込んだ多田は、進藤を助けるための態勢を作ってくれと頼むが、断られる。だが、楓の「進藤は命を救うためには妥協しない」という言葉を聞いた河原部長がOKを出す。
 そのころ、進藤は激しい頭痛で床に崩れ落ちる。這い上がろうとする進藤の手を、早紀の指がなぞる。初療室には、作業中に感電した患者が送り込まれ、楓がそのうちのひとりを心臓血管外科へ搬送中、エレベーターの事故で中に閉じ込められる。
 患者の血圧が下がり始め、手の施しようがない。楓は携帯電話で進藤に状況を説明、指示を仰ぐ。進藤は心臓と心膜との間の血液を抜けと言う。楓は進藤の指示どうりに処置し患者は危機をを脱する。
 「よくやった」という進藤の声が、電話の向こうでくぐもっている。異変を感じた楓が駆けつけると進藤がたおれている。脳外科に運ばれた進藤の手術がはじまる───。


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