あらすじ
<第4回> <第5回> <第6回>

<第4回> 「シチューに夫の・・・」
 「すごい。すごすぎる」と、詠一郎(本木雅弘)は、操(石田ひかり)のベッドの中で目を覚ました。新大橋を渡り歩いて帰宅途中の詠一郎が、留守電をチェックすると、耕作(原田泰造)の「溝口先生がテレビに出ている。言い訳考えて」の声。
 詠一郎が自宅のドアを開けると、そこに湯上がりで髪を乾かすあい(天海祐希)がいた。「夫婦で朝帰りだね」というあいに、詠一郎はどんな顔をしていいのかわからない。詠一郎も、早速風呂へ。「溝口先生どうだった」とあいが聞いてきたので、「それがさぁ〜」と、詠一郎は、溝口が仕事のダブルブッキングして、一晩ホテルのバーで、待ちぼうけを食らったと、苦しい言い訳。その夜、「ソル」で、詠一郎は耕作に「先生のおかげで助かった」と最敬礼。
 詠一郎が帰宅途中のタクシーに乗っていると、携帯電話が鳴った。操だ。操は「私は、朝ご飯だけでなくてもイイのよ。待ってるから」と詠一郎を誘ってくる。それを振り切った詠一郎が家に帰ると、あいは昨日の疲れから先に寝入っていた。その寝顔を見ながら、前夜、操が話したあいのワルぶりや、操の肢体を詠一郎は思いだした。「それにしても、どうしてあんな女を俺の前に連れてきたのか」。詠一郎は別の疑問も感じるのだった。
 翌朝、操宅の玄関の呼び鈴が鳴った。「ちょっと早いナ」と思いながら、操が戸を開けると、あいだった。この訪問の真意は操には分からない。目ざとく二人分ある飯茶碗などをチェックするあい。操は時間が気になってしょうがない。もう少しで、詠一郎が来そうな時、あいは「今度の日曜、食事に来て」と出勤していった。
 日曜日、仲の良い夫婦らしく詠一郎とあいは、買い物。シチューを作っていると、操がやって来た。二人で台所に立つ姿を見て、詠一郎は複雑な気持ちになってくる。あいが、ブロッコリーを忘れたと、慌ただしく買いに出た。操は二人になると、急になれなれしくなり、愛しているなら、今夜だけ結婚指輪をはずして、と甘えてきた。「いいよ」と詠一郎がはずすと操は、普段より多く作っているシチューの鍋に、その指輪を投げ込んでしまった。「なんてことを」と、詠一郎が、必死に玉じゃくしで鍋の底を探すがみつからない。 あいも帰り、いよいよ食事。「俺が盛るから」と、詠一郎は玉じゃくしで指輪を探しながらシチューを皿に。しかし見つからない。お代わりして見つけようと早食する詠一郎は脂汗が出てくる。しばらくして「かたい!」と操、あいも「カタ〜」とあい。それは、鳥の骨だった。
 あいが台所に立ったときだった。操がニヤニヤして歯に挟んだ指輪を見せた。詠一郎が「返せ」と手を出した時、玄関のチャイムが鳴り、耕作と由香子(伊東美咲)もやってきた。あいが玄関に立つと、マウス・トゥ・マウスで取れと、操は態度で示す。長いキスのようになり、詠一郎はやっと指輪を取り返すのだった。「これはホラーだ」と思う詠一郎に、事情を知らない耕作は「佐倉さん、そんな疲れてどうしたんですか」といぶかるのだった・・。

<第5回> 「妻と愛人の記念日」
 デートの後、ホテルで抱き合った詠一郎(本木雅弘)と操(石田ひかり)。けだるさを感じる詠一郎に操は「誕生日、一緒にいて」と言い出す。その日が、詠一郎とあい(天海祐希)の結婚記念日で、2人で北京ダックを思いっきり食べるイベントをする事を知っての操の挑戦だった。「一緒にいてくれなかったら、遺書に詠一郎の名前を書く」と半ば冗談のように話す操だが、詠一郎は本気に思えてきてゾッとする。
 急いで家に帰ると、あいが寝ないで待っていた。ホテルの石鹸の匂いを消そうと、詠一郎は風呂に飛び込んだ。出てきた詠一郎にあいは「初物」とむいた柿を差し出す。「旬のものを夫婦で最初に食べる。それが幸福な家庭の秘けつ」とご機嫌なあい。詠一郎もついついのせられ、二人の会話は「結婚記念日は、北京ダックで」と盛り上がっていく。
 愛人の誕生日と結婚記念日。この両方をうまくこなすにはどうしたらいいのか。この連立方程式を解こうと必死の詠一郎は、バー「ソル」で、耕作(原田泰造)に「先生の助けが必要なんです」と頼み込む。「あいさんに悪い」と言ってはみたものの、耕作も不倫の成り行きに興味があるらしく、詠一郎の計略に協力を約束することになる。
 翌朝、詠一郎はあいとともに、操が開いた店「みさお」に立ち寄った。店の作りに感心しながら、あいが誕生日は結婚記念日と同じなので一緒に食事をしないかと操を誘った。シメタ! と思う詠一郎だが、操は「その日は短大時代の元カレが祝ってくれる」と言い出す。俺に対する挑戦だ! 自分の懐の深さを試されているような気がする詠一郎。
 詠一郎の会社に明洋(谷原章介)が訪ねてきた。自分の関係するタレントを雑誌に載せて欲しいと詠一郎に頼みに来たのだが、詠一郎は、自分の弱みを握ったつもりなのかと訝ってしまう。「何があっても俺とあいの関係は壊れない。あいを愛しているから」と宣言してみせる詠一郎。
 すると、明洋は、操の夫が死んだのは、仕事の過労というより夜な夜な操に迫られた家庭内過労で、夫には多額の生命保険まで掛けられていたという噂があると言い出す。ベッドでの操の凄さを身をもって知る詠一郎は思い当たる節がない訳ではなかった。
 結婚記念日と操の誕生日がやってきた。あいは「楽しみにしている」と元気に出勤していった。詠一郎は、花束を持って「みさお」へ。「花なんか買って誤魔化そうとしたんでしょ」と挑戦的な操に「夜、ケーキを届けるよう、予約しておいた」と詠一郎。してやったりの表情。
 夜。赤坂の高級中華料理店で詠一郎がイライラしながら待っていると「ごめん」とあいが入ってきた。「遅い」と言いつつも、詠一郎はあいにイヤリングをプレゼント。二人はラブラブで北京ダックをパクつき始めた。時計が気になる詠一郎。午後10時、詠一郎がトイレに立つと、詠一郎の携帯電話が鳴った。あいが表示を見ると耕作からだった。「先生」とあいが出ると「大変なんです。原稿をなくしてしまって」と悲壮な耕作の声が返ってきた。詠一郎が戻り、これみよがしに「一緒に探してくれ」「きょうがどんな日か知っているでしょ」など電話に怒鳴る向こうでは、耕作が「いい加減にして下さいよ」と辟易していた。10時に携帯を鳴らし、あいに出させる。詠一郎の計略だった。自己嫌悪に陥ったかのような様子の耕作の姿に、側にいた由香子(伊東美咲)は、「奥さん(あい)を傷つける手助けをしたことが辛いの?」と複雑な心境になるのだった。
 あいからうまく逃れた詠一郎は、タクシーを拾い操の元へ。二人で誕生祝いをしているころ、あいは、信じるべきか、疑うべきかと迷っていた。そして意を決し、赤坂の中華料理店を出て、操の店に向かった・・。

<第6回> 「愛人、壊れる」
 ホテルで抱き合った詠一郎(本木雅弘)と操(石田ひかり)。東の空が白み始め、操は「帰らないで」と甘えてきた。優しくかわし詠一郎が出ていこうとすると、操はおもむろにバッグから文化包丁を取り出し、「これであいを殺してきて」と、詠一郎の方に放り投げた。床に突き刺さる包丁。それを見て詠一郎は心底、ゾッとなった。
 包丁を持ち、朝帰りした詠一郎が、何もなかったようにコーヒーを飲んでいると、あい(天海祐希)が起きてきた。「朝帰り?」と聞くあいに詠一郎は「それはルール違反だろ」と言いながらテーブルを見ると、生命保険のパンフレットが目に入った。操が高額な保険に切り替えた方がいいとあいに勧めたという。妻を殺させ、いずれ自分も、前の亭主のように操の肉体で過労死させられ・・・。詠一郎の頭の中を恐ろしさが駆けめぐった。
 あいは耕作(原田泰造)のマンションを訪ねた。内装を手がけるにあたって、好みのインテリアを知りたくてと訪ねたあいだが、何故か、結婚記念日に、耕作がなくしたと、詠一郎に助けを求めてきた原稿を読みたいと言い出す。必死で誤魔化した耕作。
 その夜、バー「ソル」で詠一郎に「誤魔化すの大変だったんですから」と耕作はぼやくが、詠一郎は、殺してきてと包丁を投げられたことなど、男と女の恐怖体験を耕作に熱心に語るのだった。
 この日は、まっすぐ自宅へ。間もなく「あら、早いのね」とあいが帰ってきた。詠一郎は、あいが薄々気づき始めているようでもあり、なによりこれ以上深く操と関わるのを止めようと思い始めていた。詠一郎はあいを誘い近くのスタンドバーに。そこで二人は幸せな男女とはなどを話題にし、久々に心が一つになるのを感じるのだった。そのころ操は自分の店にいて、詠一郎の携帯を鳴らしていた。「なぜ出ない」。イライラを募らせ帰る途中、操は、詠一郎とあいがふざけあいながら、楽しそうに歩く姿を目撃した。操の目には、嫉妬の炎が燃えていた。
 翌日、詠一郎が出社すると、操が訪ねてきた。喫茶店で話すうち操は「どうして携帯にでない」「朝ご飯食べに来ない」と次第に興奮、声も大きくなる。詠一郎はなだめようとするが「愛人は男の鏡」「五回寝たぐらいだから、簡単に手が引ける」などと操は言いだし、「別れてあげる。その代わり、あなたの子を宿して。あなたに似たその子とともに思い出の中に生きる」と話す。押しまくられっぱなしの詠一郎は、操の真剣さに怖さの一方で、ある種の感動をしている自分に気づくのだった。
 詠一郎が疲れて帰宅すると、明洋(谷原章介)とハコ(金子さやか)が来ていた。ハコは妊娠三か月。これをきっかけに二人は結婚するという。早速、結婚式、安産祈願、耕作のベストセラー祝いと欲張りなお祝い会を詠一郎が企画、そしてその当日がきた。
 佐倉家に操ほか、晶午(北村一輝)、耕作、由香子(伊東美咲)も顔をみせ和気あいあいにお祝い会は進んでいったが、操が昔の恋人の話をし始めると、あいが突然「詠一郎と寝たでしょ」と言い出す。シーンとなった一同。詠一郎がどう答えるのか、全員の視線も耳も集中した・・。


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