あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「生涯妻を愛する男」
 リフォーム会社を経営する佐倉あい(天海祐希)が、完成したマンションのリフォーム現場で注文主に説明しているころ、結婚して三年になる夫の詠一郎(本木雅弘)は、アジアンテイストに改装された自宅で目覚めていた。文芸編集者をする詠一郎は、夜が遅く、あいとは擦れ違い生活だが、ラブラブな関係は続いていた。
 出社した詠一郎は、編集会議で新進のアクション作家・前園耕作(原田泰造)を、文洋書店に引き抜き、恋愛小説を書かせ、脱皮させますと宣言した。前園はすでに別の出版社と関係が深く「無理じゃないか」など部長の大森(田山涼成)らは、半ば匙を投げているが、「行動隊長」と異名を取る詠一郎には、自信があった。
 そのころ、あいは出入りのインテリアデザイナー沖野晶午(北村一輝)と、詠一郎のことなどを話題にしながら、昼食を取っていた。「いい男だから、女も男も心配でしょ」と、沖野に聞かれ、あいはバイトで入った女の子をリトマス紙にして詠一郎の反応を調べた話をし、「その子に携帯電話の番号聞かれたら、その子に説教しているのよ。生涯妻を愛する男の称号を与えたわ」とのろけるのだった。
 そこへ携帯電話がなった。十五年会っていないが、小学校から高校まで一緒だった操(石田ひかり)の夫の告別式が明日あるという。「結婚二年で未亡人か」と、あいは操を思いやった。
 映画の試写会場で、詠一郎は前園耕作をつかまえた。「忙しいので」と、逃げるように詠一郎から離れていく耕作だが、詠一郎は執拗に食い下がり、やっと近くのオープンカフェに、引っ張り込むことに成功した。「栄光出版の人から佐倉さんだけは気をつけろといわれている・・・」と、警戒心いっぱいの耕作に、詠一郎は「あなたには才能があります。作家は想像力が命。恋愛蓄積のない先生には、ホントにあった男と女の怖い話を俺がどんどん話して差し上げますから。俺たち二人で日本の文壇に新しい風を吹き込みましょう」と熱っぽく口説くのだった。
 翌日、詠一郎はあいの頼みもあり、一緒に突然死した操の夫の告別式に出かけた。「唯一の趣味は、カラオケで奥村チヨの歌を歌うことだった」「書類の最後に、楽になりたいって書いてあったそうだ」など、参列者のひそひそ話す声が聞こえていた。霧雨の中、喪服姿の操を見つけ、「変わってない」と思うあい。一方、詠一郎は「美人だ」と心の中でつぶやいていた。操も焼香する二人を見て、「あいの亭主か」と詠一郎を知るのだった。
 出棺の時だった、一瞬、霧雨の空が晴れ、光が差し、詠一郎は遺族の席に亡夫の遺影を持ち、自分を鋭く見つめる操の視線に気づいた。そのうえ操は何かを口ずさんでいた。奥村チヨの「恋の奴隷」じゃないか。同じように唇を動かしてみると、操は詠一郎にふっとほほ笑みかけてきた。ぞっとしつつも不思議な感動を覚える詠一郎だった。
 前園は詠一郎の押しに、恋愛小説を書いてみようかと思い始めた。操の話に興味を持ったようで、次の日曜、詠一郎宅で開く、操のお慰め会にも出たいと言い出す。黒のスーツ姿でしっとりとした操、途中前園に会い、二人一緒に詠一郎宅に現れた。前園の新作の話や、「釣った魚に餌やらない」ではなく「苦労して釣った魚は人に食わせない」などあいと詠一郎ののろけばなしなどで盛り上がり、操は随分和んだよう。ふとした弾みで出たあいの「操とは何もかも趣味が一緒で」の言葉に「てことは、好きな男の趣味も一緒?」と詠一郎がいった瞬間、操に不思議な間ができことを耕作は見逃さなかった。
 詠一郎宅の外では、あいの弟で行方をくらませている明洋(谷原章介)が、「ここが姉貴の家か」と確認していた。
 後日、操が詠一郎の出版社に、実家の鹿児島に帰った土産を持って現れた。お茶に誘うと、操は突然詠一郎に「あなたの事が好きになっちゃった」と言い出した!

<第2回> 「肉体の小悪魔」
 文壇バー「ソル」で、詠一郎(本木雅弘)は、耕作(原田泰造)に、挑発的な操(石田ひかり)のスタイルや言葉についてヒソヒソ話していた。それは、それで楽しい詠一郎だが、疑問なのは「あい(天海祐希)と操、親友なのに、高校を卒業して15年も会わないなんて、何か理由が?なぜ?」。詠一郎は考えあぐねていた。
 操が、隅田川の向こう、歩いて15分ほどのところへ引っ越してきた。手伝いに、詠一郎やあい、耕作もいたのだが、操は3人の目を盗み、詠一郎を誘ってくるのだった。詠一郎はドキリ。引っ越しが終わり、あいと自宅に戻った詠一郎が、疑問に感じる操との関係についてあいに聞くと「話して楽になっちゃおうかな」と、あいは、昔、紹介してというので弟の明洋(谷原章介)を操に紹介、二人は交際し、操は妊娠、親に病院へ連れて行かれ、明洋は家出してしまった。「だから操に負い目があって・・・」と説明した。詠一郎は、一応納得するのだった。
 翌朝、久しぶりに詠一郎とあいは二人で朝食。トーストに「たまには和食が」と詠一郎は不満をもらす。先に出ていくあいを送り出し、詠一郎は急ぎ身支度を始めた。昨夜、操の話をあいから聞き「薄幸な美女は何をしているのか」と好奇心が起こったためで、初めて詠一郎は橋を渡り、操の家へ。
 入ろうか、止めようか、玄関先で迷っていると、ガラッ!と扉が開き、「待ってたの」と操。上がり込むと、詠一郎が食べたかった和食がテーブルにのっていた。
 詠一郎の言う何かの日付は、その日の出来事に暗示があるという話から、操は「誕生日は11月9日、それって何の日」と聞いてきた。その日付に詠一郎はドキッ。あいとの結婚記念日だったのだ。「いつでも来てね」。操にまるで新婚のように送られ、詠一郎はテレながら、一方あいには悪いと思いながら詠一郎は出社していった。そんなことも知らず、あいは晶午(北村一輝)に、詠一郎ののろけ話をしていた。
 その夜、作家を「ソル」で接待、由香子(伊東美咲)らに送られ店を出た詠一郎は、今夜こそ「操を抱く」と決意を固めていた。しかし、いざとなるとどこか不安で「今夜国境を越える」と耕作に電話をかけ、勢いづけて操宅に向かった。ところが、着くと電気は消え操はいない。「なんだ〜」とがっかりしながら自宅に帰ると、何とそこにあいと一緒の操がいた。にっこりする操が、詠一郎にはまぶしかった。
 しばらく、昔のアルバムを見るなど遊んだ三人。急にあいに仕事が入り詠一郎が一人で操を送っていくことになる。外に出ると、操は手をつないでくる。「よせ」と思うが、矢継ぎ早に「11月9日って、結婚記念日なのね」と、操に見透かされ、詠一郎は立場がない。じゃれながら帰る二人、ついに暗がりで、熱いキスをしてしまうのだった。
 翌朝、詠一郎が操宅に入ろうとし、玄関から操がでてくると「操」の声。続いて「義兄さんでしょ」と呼び止められた。明洋だった。明洋も一緒にいたハコ(金子さやか)も、詠一郎が何をしようとしていたか察したよう。詠一郎の頭の中がグルグル回りだした。

<第3回> 「恐るべき妻の正体」
 「来週の水曜日、あい(天海祐希)は軽井沢、私は夫の納骨で実家へ。実は納骨には行かない。アリバイは完璧だから。待ってるから」。操(石田ひかり)にせがまれ、操宅を出た直後にハコ(金子さやか)を連れた明洋(谷原章介)に「義兄さん」と声をかけられたので、詠一郎(本木雅弘)は心臓が止まる思いだった。
 隅田川沿いの小道まで歩いた三人。そこで詠一郎は明洋から、あいとの仲直りの仲立ちをしてほしいと頼まれるのだった。
 出社した詠一郎は、作家の溝口(田村亮)宅に電話。すると溝口は、日光に取材に出かけて留守だった。そこで、詠一郎は、水曜日を実現するための企みを思いつく。あいへの罪悪感はあるものの「据え膳食わぬは〜とやら」。詠一郎もスケベ心いっぱいだった。
 その日の午後、耕作(原田泰造)の仕事場兼マンションを操が訪ねた。驚く耕作に、真剣なのか遊びなのか、詠一郎の本意を知ろうといろいろ探りを入れてくる操。「他人のものは盗ってはいけない。子どものころお母さんに教わったでしょ」と言う耕作に「作家にしては常識的な人。これは男と女というより、女と女の問題」と、操は話し、たまたま由香子(伊東美咲)がやって来たのを潮に、操は帰っていった。「女と女の問題」。しばし考える耕作だった。
 そのころ、詠一郎はあいのオフィスを訪ねていた。明洋に会い、仲直りしたいと言っていることを伝えながら、さりげなく「次の水曜日、溝口先生とホテルに缶詰で仕事なんだ」とあいに告げた。詠一郎の目的は、アリバイ作りだった。
 週末の土曜、佐倉家を明洋とハコが訪ねてきた。元々「憎めない奴」と話していたあいは、明洋を許し、特製の栗ご飯を振る舞った。操の話がでないか、ハラハラの詠一郎だが、栗ご飯から「お姉ちゃん、操にも作り方を教えていたよね」と明洋が言いだし、「川の向こうに住んでいるんだね。この間、男の人といるところを見かけた」とハコが言い出した。すかさず詠一郎は「それって多分、俺。衛星放送のパラボラを出がけに電話があって直していた」と言う。うまく逃げたねと態度で示すハコを詠一郎はにらみつけた。
 詠一郎は明洋を庭に連れだし、気になるあいと操の関係を尋ねてみた。すると明洋は「お姉ちゃんがそう言うなら、それで・・・」と、あいから聞いていた、操が妊娠、それで明洋が家出・・・という話を曖昧に誤魔化し「お姉ちゃんを幸せにしてくれるなら遊んでもいい。ただ操が相手なら、恐いものがある」と意味不明な笑いを浮かべるのだった。
 水曜になった。「今晩俺は、女房を裏切ってしまうかもしれない」と思いつつ、あいを送り出し、詠一郎は出社。社に「7時に待ってるわよ」の操からの確認コールが入り、その日夕、詠一郎は耕作のマンションに寄り、不倫実行の覚悟を固め、途中毛ガニを買って操宅に向かった。
 操が言ったという「女と女の問題」という言葉が引っかかるが、毛ガニをつつきながら、緊張感が溶け、二人は良いムード。明洋が来て、あいと仲直りした話などするうち、あいから聞いた、妊娠や家出の話をすると、操は明洋同様ポカンとした表情になった。「エッ、違うの」と思う詠一郎に「これで罪悪感が消えた」と、操はニッコリして、昔、二人で同じ男が好きになり、あいは私から男を盗るため、明洋とキスする場面を男に見せ、私に男と抱き合う現場を目撃させたと話し出す。「あいは、ワルだった」と続け、誘うように二階のベッドルームに入っていった。
 詠一郎と操、二人だけの時間が過ぎていく中、軽井沢のあいはテレビで、日光で
生出演し、紅葉を褒める溝口を見ていた。「これって!」。詠一郎のアリバイが崩れた!


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