あらすじ
<第4回> <第5回> <第6回>

<第4回> 「大切な事がわかった瞬間に」
 今日は、一年生になった翔太(泉澤祐希)の一学期の終業式。慌ただしく朝、登校していった翔太が昼過ぎ、持って帰った図工の作品や通信簿を見ながら洋介(真田広之)は「よく頑張ったな」と翔太を褒める。ひかる(米倉涼子)が出ていった後も翔太は欠席せず、勉強も頑張った。
 きっぱり「別れる」と言ったひかるだが、きっと喜ぶに違いないと、洋介はその通信簿を持ってひかるに会いに行った。ひかるはレッスン場で懸命に練習していた。同じ箇所で何度も失敗、周囲の「いい歳なのに」との冷やかな視線を浴びながら、何かに取り憑かれたように真剣にひかるはレッスンに励んでいた。そんな様子に、洋介は声をかけられず、一方「俺も頑張ろう」と思うのだった。
 洋介が、知華子(鈴木京香)から紹介された人材バンクに行くと、履歴書や適性検査の結果から、洋介は希望の仕事に就けそうな感触を得る。しかし、それには翔太の存在がネックだった。母親が同居しておらず、洋介が仕事で家を開ける間「面倒はだれが・・・」と担当者に言われ、洋介は悩む。
 その日の夕食時、洋介が「しばらく仙台のおばあちゃんちへ」と翔太に切り出すと、翔太はへそを曲げ、「パパなんて大嫌い」と、ついに親子喧嘩になってしまう。黙って見ていた知華子は、仕事のため、翔太を母に預けたいという洋介を「仕事と子育てを両立している女は多い。なぜ男は仕事しかできないの?」「洋ちゃんはなくなった家族の形を追いかけているだけ」と、なじるのだった。
 翌日、知華子が出社すると、インタビュー写真の撮影を根津(宇崎竜童)に頼んだという。「ハッ!」としつつも、知華子は冷静さを装い、根津に会った。事務的な口調で打ち合わせを進めていく知華子。しかし、打ち合わせを終え、エレベーターで一階に下りると、そこに階段を走り下り、追ってきて息を荒らす根津がいた。「このままでは返せない」。根津の言葉に知華子は、ふっきったはずの関係を戻してしまうのだった。
 一晩考えて洋介は、仕事より翔太との暮らしを取ることにした。ひょんなことから、洋介は、アルバイト的に根津のドライバーを始めた。
 ひかるは、タンゴを踊っている自分が好きだという理由から、洋介とも翔太とも別れ、レッスンに励んでいた。「それちょっと冷たくない?」と梨絵(大島さと子)に言われるが、一度決めたらまっすぐなひかるだった。
 洋介が再びレッスン場を訪ね、ひかるに翔太の通信簿を見せると「頑張ってるね」と心を和ませるひかるだが「たった一つを手に入れるためなら、他のすべてを捨てられる女なの」と、洋介に言い、再びレッスンに戻っていく。洋介は、何も言えない。そのころ、知華子は根津とデートしていた。
 洋介と知華子相次いで、マンションに帰ると翔太がいない。翔太はどこ?。「翔太!」。洋介は叫びながら、夜の街に飛び出していった。

<第5回> 「新しい家族のカタチに向けて」
 翔太(泉澤祐希)は近所にはいなかった。探して戻った洋介(真田広之)に「ひかる(米倉涼子)さんの所では・・・」と、知華子(鈴木京香)が言った瞬間、電話が鳴った。伊豆・下田駅からで「翔太を保護しています。仙台に行くつもりが間違ったようです」という。ホッとする洋介と知華子は急ぎ、車で下田に向かった。その車内、運転する洋介に知華子は「根津(宇崎竜童)に会うとずるずる関係を続けてしまう。やりきれない」と漏らすのだった。正直、知華子はそんな自分が嫌でたまらなかった。
 翔太は駅事務所で元気に待っていた。「悪い人だっているんだぞ」と怒る洋介を知華子は「見つかったんだから」となだめた。すると翔太は、洋介と知華子が結婚、そのため自分が邪魔になり「仙台のおばあちゃんちへ行かせるんでしょ」とポツリ。その言葉にあ然とする洋介は「翔太がママを好きなのと同じぐらいパパもママが好き」と翔太を諭すように話すのだった。そんな父子が知華子にとってはまぶしく映る。
 「下田に来たのだから」と、洋介は一泊して海で遊ぼうと言い出す。「簡単には休めない」と渋る知華子だが、父子の熱意に押され、水着などを買い込み、リゾート気分を楽しもうと気分一新。しかし、宿が民宿で、民宿の女将に「奥さん」と勘違いされ知華子はプンプン。爆発しようにも隣に他の家族がいてできない。
 三人で浜辺に出た後も、知華子は翔太が波打ち際で遊ぶのを見ながら、ブツブツ何やかにや洋介に不満をぶちまけ、そんなやりとりのなか知華子は「家族の枠の中で楽に、生きることを求めているのは私かもしれない」と話す。そんな知華子に洋介は「その枠が嫌だとひかるは出ていった」と、何かを諦めるように話すのだった。
 三人が思い思いに夏を楽しんでいるとき、洋介と翔太と別れ二ヶ月になるひかるは、一人アパートにいて「これで良かったのだろうか」と寂しさを感じていた。
 洋介と知華子は水着を着て、翔太と三人で風呂に入り、「海じゃ着なかったのに、へんなの」と翔太にからかわれるが、どこか楽しい三人。夕食時、また女将に「奥さん」と間違われ半ば気分をこわして食卓に向かう知華子だが、隣で食事する家族に複雑な関係であることを悟られないよう、母親らしく、妻らしく振る舞う。遊びたくて食事をきちんとしない翔太を厳しく叱ると、翔太は「ママでもないくせに」と反発、その声に周囲の視線が知華子に集中、知華子は、いたたまれず表に飛び出していくのだった。
 知華子の後を追ってきた洋介は、隣で食事していた家族はもっと複雑な関係だと聞いたと知華子に話す。洋介と話すうち知華子は気持ちが和んできた。洋介と戻ろうとすると、民宿から翔太が出てきた。その翔太に向かい知華子は「いなくなれば心配する、悪いと思えば叱る。一緒に暮らしているんだから」と真っ直ぐ翔太の目を見ながら話すと、翔太が貝殻を差し出した。それには「ごめんなさい」と書いてあった。
 三人が東京に戻ると、洋介は根津に「何にもなかったのか?」としつこく追求された。ウンザリ気味の洋介は「ひかるに悪いですから」ときっぱりと話す。洋介の本心だった。
 数日後、知華子は職場に、翔太はブールへと出ていった後、洋介が部屋の掃除していると、翔太のPHSの下に「ないしょにしてごめんなさい。ママとあってきます」というメモを見つけた。
 そのころひかるは、久々に会った翔太が予想より大きくなっていることに気づき、「自分の決断は正しかったのか」と迷いを深めていた・・。

<第6回> 「切ない・・・あなたへの熱い想いが再び」
 ある朝、起きてきた知華子(鈴木京香)は、居間でションボリする翔太(泉澤祐希)に気づいた。ひかる(米倉涼子)に会って「一緒に暮らさないか」と言われたせいだと思う知華子だが、翔太がしょんぼりしていたのは、花瓶を壊し、洋介(真田広之)に怒られたためだった。「高かったのに」と思う知華子だが、翔太の気持ちを察しそれ以上何も言えない。
 知華子と翔太が出かけていき、家事をする洋介は「俺も変わった」と思うのだった。この二ヶ月、知華子と翔太のため炊事、洗濯、掃除とやってきて、一日が経つ早さ、遅さを実感、ひかるもたまらなかったんだろうと思えるようになっていた。「今度こそやり直し、三人で暮らしたい」と思う洋介だが、ホームヘルパーの資格を取り、新しい人生を切り開こうともしていた。
 会社で、知華子は局長(中丸新将)に呼ばれた。根津(宇崎竜童)との不倫が、上層部で問題視され「進退は自分で決めてくれ」と言われてしまう知華子。その夜早く帰ると言っていた知華子が戻らないので、洋介が編集部に電話をすると知華子がいた。知華子の様子から何かあったと感じた洋介は知華子の編集部に行くと、知華子はポツリと一人でいた。洋介が、そっと声をかけると「(根津とのことが)バレちゃった」と知華子。「もうダメかも」と弱気な知華子に洋介は「知華子は知華子らしくしているのが一番」と励ました。その言葉に「今度こそ」と知華子は、根津との関係解消を決意、局長には「仕事で頑張ります」と宣言した。
 根津に会い、別れを告げた知華子は、これで良いと思いつつも、やはり寂しい。自宅マンションに帰れず一人悶々としていると、洋介が通りかかった。根津に、知華子の苦境を伝えた洋介は知華子の気持ちも良くわかる。洋介らしく、再び知華子を力づけるのだった。
 知華子の部下に久木田(MAKOTO)というちょっと変わり者がいた。久木田は、洋介がこれから取得しようというへルパーの資格を持っていた。そんなことから、知華子が、久木田を食事に誘うと、久木田はあるスナックに知華子を誘った。そのスナックこそひかるが勤めている店。迫力あるひかるのタンゴをみて、知華子はぞくっとするものを感じる一方、自分の決めた道をひたむきに突き進む女性の力を感じるのだった。
「すばらしかった」とマンションに帰り、ひかるのタンゴを知華子が話しているとき、ひかるが翔太に渡したPHSが鳴った。
 洋介は、ひかるに呼び出された。「やり直したい」という気持ちいっぱいの洋介だが、ひかるは、洋介が署名捺印すればいいだけの離婚届と、「翔太を連れてきて」と遊園地のチケットを洋介に渡すのだった。「なぜだ!」。洋介の頭の中がグルグル回りだした・・。


戻る

バックナンバー
[第1-3回] [第4-6回] [第7-9回] [第10-12回]