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＜第10回＞　「押すか引くか恋のかけひき」
　貫介（宮迫博之）はすっかり宗太（押尾学）とあかね（ともさかりえ）のマンションに居ついてしまった。貫介は夫婦ゲンカして以来、嫁から連絡ないものだから「離婚もやむなしかな」と言いだす始末。もちろん離婚よりも、たまき（池田真紀）とヨリを戻すことが切実な願いだ。そこへ倫子（辺見えみり）が現れた。「もっと好きな人ができちゃうって気持ちわかるわ」。実感のこもったつぶやきにあかねは動揺した。丈二と別れた倫子が宗太と急接近しつつあるのに気づいていたからだ。
　「先手必勝よ。気持ちを早く伝えなきゃ」。真之介（山咲トオル）からもせかされて、あかねは宗太と２人きりになろうとするが、決まって邪魔が入る。今夜も一番来てほしくない倫子がやって来た。丈二（北村一輝）の昼のドラマ出演が決まったらしい。「じゃあ、復活ですね」。あかねはなんとか倫子に丈二とヨリを戻してもらいたいが、当の倫子の反応はイマイチ。面と向かって告白できないあかねは、手作り弁当を利用することにした。ご飯の上にきざみ海苔で“スキ”のメッセージ。「毒でも入ってんじゃないか」。宗太は疑わしそうだったが、とにかく弁当は受け取ってくれた。昼休みに弁当箱を開ければ、あかねの気持ちは間違いなく伝わるはずだ。
　あかねがショップでやきもきしていると、丈二が現れた。「監督も僕の芝居見てビビってたかな」。倫子と別れた頃とは別人のように自信たっぷり。「宗太君とあれから進展あった？」「それは別に」。それにしても恋愛模様はますます複雑になるばかり。くるみ（西尾まり）は丈二に一目ボレし、その丈二はまだ倫子に未練たっぷり。そして倫子は宗太が好きになりかけているから、宗太に告白できないあかねは焦りが募るばかりというわけ。
　「アレだけ分かんなかった。でもうまかったよ」。帰宅した宗太は首をかしげた。どうやら海苔はふたの裏に張りついて意味不明だったらしい。あかねが拍子抜けしていると、宗太のケータイが鳴った。倫子からだ。宗太は喜々として出かけていった。「２人の間に何か起きたりして」。宗太は冗談めかしても、あかねは笑う気にもなれない。
　あかねが１人きりでブルーになっていると、くるみが顔を出した。しかしお目当ての丈二がいないと知ると、彼女も切ないため息をもらした。「ただいま！」。貫介が帰ってきた。あかねの高校時代の彼、山田（伊崎充則）も一緒だ。聞けば貫介に夫婦ゲンカをボヤいていたら意気投合して引っ張られてきたらしい。「宗太にビッグニュースがあるんや」。貫介が興奮気味に語るところによると、２人の提出したツアー企画が明日の最終選考に残った。うまくいけば宗太も貫介も希望の企画部に行ける。「よし、倫子のとこへ行ってくるわ」「あたしも行く」「じゃあボクも」。全員そろって倫子の部屋に押しかけることにした。「こんばんわ」。ズカズカと部屋に入ってきた貫介たちに、宗太と倫子は驚いた。山田とくるみは倫子と初対面。「丈二さんのお芝居でお見かけしました」。くるみは倫子に対してライバル心をメラメラ。「リーダーなにやってんですか！」。あかねはあわててくるみを制止した。かたや宗太と貫介は盛り上がっていた。「明日のプレゼンで決めて企画部へ行くぞ」「ハイ！」。いつもと同じにぎやかな夜になったが、あかねだけはつい宗太と倫子の表情をチラチラと盗み見してしまった。
　宗太と貫介のプレゼンは上出来だった。「すげえウケてましたよ」「なんや勇気出てきたなあ」。２人が会心の笑みをのぞかせていると、丈二が近くでドラマのロケをしていると連絡が入った。「ステキすぎる、丈二サマ」。現場ではくるみがうっとりと丈二に見とれていたが、倫子の姿に気づくと「あの女、未練があるんだ」と顔をしかめた。あかねもロケを見ていたら、意外な人物と再会した。「先日はどうも」。インテリアコーディネーターの宮本（細川茂樹）だ。セットの打ち合わせらしい。そのままあかねは宮本に誘われた。「つきあってほしい」「えっ！」。思いもかけない告白にあかねは言葉を失った。

＜第11回＞「恋の主導権は男それとも女」
　「言っちゃったよ。もうあとに引けないよ」。あかね（ともさかりえ）は、ついに宗太（押尾学）に告白した。「あかねが？オレを？からかってんの？」。宗太は信じられない。あかねはダメ押しのつもりで叫んだ。「だから好きなのよ！」「マジで？」。目の前にいたのは貫介（宮迫博之）だった。
　あかねがショップでため息ばかりついてると、真之介（山咲トオル）が察してくれた。「言っちゃったのネ」「でも返事がないんです」。ふと目をやると、丈二（北村一輝）が倫子（辺見えみり）とヨリを戻したのを聞いたくるみ（西尾まり）がみじめに泣き崩れていた。「ああはなりたくないです」。
　宗太だって仕事が手につかない。自分の気持ちも分からないし、あかねにからかわれているだけかもしれない。じゃあ、本人を呼びだして確かめるのが一番。あかねはマジだ。「つきあうってことはそういう関係になることじゃん。よし、家に戻ってキメよッ！」。呆気にとられるあかねの腕を取って、宗太はズンズンと歩きだした。
　貫介は倫子のマンションに転がりこんでいた。丈二からあかねの本命が宗太であると教え られて、やっと自分の勘違いに気づいたというわけ。「アッチに行ってよ」。ここでも貫介は邪魔もの扱いだ。
　帰宅した宗太とあかねにも邪魔が入った。「貫ちゃんの気持ち、ハッキリ知りたい」。そう言ってたまき（池田真紀）がやって来た。さっきまでのソノ気はどこへやら。でも、あかねは宗太といられるだけでうれしかった。
　宗太は会社でショックなウワサを耳にする。貫介が西岡部長（佐戸井けん太）と独立するというのだ。宗太はこの件で貫介から相談されたことはない。しかし本当だった。一足先に辞表を出した西岡が話してくれた。２人でホームステイ専門の代理店を立ち上げる。貫介は大阪の窓口を担当するというが、宗太にはあぶなっかしい話にしか聞こえない。思い止まるよう説得するが、「後輩に心配してもらうほど落ちぶれてないわい！」と怒鳴られてしまった。そこへ倫子とたまきが現れた。６人全員が顔をそろえるのは久しぶり。丈二の昼ドラマのビデオ鑑賞会が始まった。リビングに笑い声が響いたのも束の間、丈二がドラマ降板を打ち明けると空気が変わった。「オレ、芝居の勉強をイチからやり直すために、何年間かハリウッドへ行ってくる」。うちひしがれる倫子を見て、宗太は黙っていられなかった。「なんで倫子さんに相談なしなんですか！」。貫介がくってかかかった。「丈二の夢やろが」。３０代の丈二と貫介はラストチャンスなのだ。重苦しいムードをふりはらうように、倫子がスクッと立ち上がった。一同を見渡すと、彼女の口から出たのは意外な一言だった──。

＜第12回＞「愛と友情の旅立ち」
　あかね（ともさかりえ）は宗太（押尾学）と恋人関係になれてノリノリ。早速ショップの同僚にノロけまくった。これが宗太には面白くない。「自分から言わなくてもいいだろ」「ウン」。そうは言っても、あかねのうれしい気持ちは押さえられず、２人の関係はアッという間に仲間に知れ渡った。みんな祝福してくれたが、６人にはそれぞれの旅立ちのときが迫っていた。
　新事業のため大阪行きを決めた貫介（宮迫博之）は妻に離婚を切りだそうとしたら、先に相手から離婚届を手渡された。倫子（辺見えみり）は英会話スクールに通い始めた。「イケ面の先生がいるのよ」。丈二（北村一輝）との別れのショックから立ち直ったようだ。「あたしだけ幸せで悪いな」。あかねは幸せに酔っていたが、宗太の一言でそんな気分はフッ飛んでしまった。「オレ、ロサンジェルス転勤の話があるんだ。２年間行ってくれって」「で、どうするの？」。あかねはそう聞き返すのがやっとだった。
　「こんなことなら恋愛しなきゃよかった･･･」。あかねは倫子とたまき（池田真紀）なら辛い気持ちを理解してくれるはずと打ち明けた。ところが返ってきたのは「あんたなんか甘チャンよ」。宗太は２年後に帰国すれば出世コース間違いなし。貫介と丈二にさんざん振り回されてきた２人に比べたら、あかねの境遇はマシ。とはいえ、あかねの気持ちは晴れない。ところが宗太は転勤の話を断ろうとしていた。あかねは有頂天になったが、真之介（山咲トオル）の言葉がひっかかった。「宗太チャンがあかねのために断ったのなら、それは罪よ」。もしあかねが反対の立場だったとしたら、恋人のために自分の夢を諦らめられるか。「そんなの絶対にヤだ。アイツは行くべきなのよ」。
　あかねは自分の気持ちを宗太にぶつけた―。