あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「私たちの店が潰される!!」
 吉田絞製作所の前に光夫(泉谷しげる)が降り立った。工場では、元(坂口憲二)と浩太郎(安居剣一郎)が祐三(萩原健一)のかっこよさなどについて無駄話をしている。その場に、ぐいっ、と顔を出す光夫。元、気付いて「なんでここにいんだよ!?」。光夫も「お前こそなんでだよ」。そこへ祐三が戻ってきた。
 「お初にお目にかかります。元がお世話になってますが、辞めさせていただきます」と光夫。
 「初めてやりたいこと見つけたんだから、邪魔すんなよ、おやじ!」。慌てる元。
 「そんな偉そうなこと言うなら、今すぐ、家を出てやれ」
 光夫に怒鳴られ腰の引ける元に、祐三も「お父さんの言う通りだな」と冷たく言い放つ。絶句する元だった。
 そのころ、小夜子(深田恭子)と亜美(ユンソナ)は、駅前でTシャツを叩き売りしていた。一向に売れる気配のない中、ガードマンのバイトをしている神田が通りかかった。気の弱い神田は、小夜子に売り子にさせられ、ガードマンの方が分のいい商売だと愚痴る。それを聞いた、小夜子と亜美は、すぐさまガードマンのバイトにつくのだった。  二人が申し込んでいたクレジットカード会社から、審査不通過の案内が届いた。小夜子はとうとう、食事の時、祐三にカード取得の相談をした。案の定、祐三は「言った通りだろう。すぐ店をやめろ」と叱りつける。「何で協力してくれないの、それでも親か、ケチ!」。叫ぶ小夜子に、祐三は、テーブルをひっくり返そうとするが、小夜子と冬美(平山綾)は必死でテーブルを押さえるのだった。
 そのころ光夫も元を諭していた。「金だけじゃ駄目なんだ。工員が駄目と言っているんじゃない。ただ世の中は平等じゃないんだ。工員はお前のやることじゃない」。光夫の言葉に、何も答えない元だった。
 運気ゼロの小夜子と亜美のもとに、やっと朗報が届いた。亜美の父親が、亜美がカードの家族会員になることを認めたのだ。これでやっとネットショップが開ける。が、小夜子は祐三に対する気持ちが、より複雑になってしまうのだった。ともかく、小夜子の仕事は増える。かまって貰えなくなった冬美は、いつもだまって自分を見ている浩太郎に「デートしたい」と申し出る。
 小夜子は使い古しのジーンズでバッグを作ることを考案し、試作品作りと言って元のジーパンをもらいに行く。亜美もネットに載せる出品情報を編集するために洋輔(勝村政信)を使うことにした。「アンニョン」に希望が見えてきたこともあり、楽しげに仕事は進むが、そこで、小夜子はつい、亜美に婚約者がいることをしゃべってしまう。洋輔は落ち込み、図らずも涙を見せてしまう。それを見た亜美は「弱い男は嫌いだ」と残酷にも言い放つ。小夜子は「おかしくはないんだけど・・・・・・」と絶句する。
 そんなころ、吉田絞製作所に元が現れる。「住み込みってありですか?」こちらも絶句する祐三だった。
 ネットオークションの準備の整った「アンニョン」で、購入メールを待つ小夜子と亜美。だが、まったく反応がない。消沈する小夜子が家へ帰ると、元が庭にテントを張って寝ている。テントに入り込み元の身の上話を聞いていると祐三が怒って小夜子を追い出しにかかる。居場所のない小夜子。
 どうにかラッキーだったのは、オーナーの矢作(北見敏之)が家賃を「あるだけでいい」とまけてくれたことだった。だが、それには裏があった。矢作は突然不動産屋と「アンニョン」に乗り込んできた。家を売るというのだ。亜美たちを無視して、ずかずかと「アンニョン」に入り込む矢作を、小夜子は追いかけざまに殴りとばてしまう。その時「アンニョン」はなくなった。
 そんなころ、冬美は浩太郎と初めてのデートを楽しんでいた。
 片づけにも手をつける気力のない小夜子は、「アンニョン」に誰か入る気配を感じた。それは初めて見る亜美の婚約者だった。

<第8回> 「もう一生逢わない!サイテーの別れ」
 大家から店の明け渡しを求められ、小夜子(深田恭子)と亜美(ユンソナ)が放心状態で片付けをしている「アンニョン」に誰かがやって来た。それは亜美の婚約者の韓国青年であった。亜美を連れに来たようである。小夜子はその場を離れ、砂浜に大の字になって「初めて見つけた自分の居場所だった気がする」と「アンニョン」のことを思い返すのだった。
 小夜子が「アンニョン」に帰ると、男性はおらず不機嫌になった亜美だけが残っていた。片付けも進まず、二人はそのまま眠りについたが、明け方、轟音で目を覚ました。不動産屋が強制的に店を壊しに来たのだ。すべてが壊されるか運び出された。唯一、小夜子が死守したミシンだけが残った。どうも、壊れてしまったようだ。だが、亜美は「もう一度やろう。次はうまく行く」と楽天的なことを言い出す。小夜子はむかついた。「その根拠のない自信はなによ。どうせあんたは結婚すればいいんでしょ」。「失敗は全部、私の責任なの?あなたは一人で何もしていない!怒って殴るだけ」と言い返す亜美。「日本が嫌なら韓国に帰れば!?」。その言葉に亜美は、その場を出ていってしまった。
 亜美は洋輔(勝村政信)を呼んで、成田空港に送ってもらうことにした。一方の小夜子は元(坂口憲二)にミシンを運んでもらうことに。そんな亜美は、自分のパスポートを手に取ると、交番にパスポートを届けてくれ、自分のことのように警官に怒りをぶつけた小夜子のことを思い出すのだった。
 成田に着いた亜美は、洋輔に「あなたすごくいい人です。もっと昔に会いたかった」と感謝の意を表わす。洋輔は、意味がよく飲み込めないまま、車を発進させるが、急ブレーキを掛け車を飛び出し亜美を追いかける。人込みの中にやっと見つけた亜美は、すでにあの韓国青年と伴にいた。絶望感を感じる洋輔だった。
 が、亜美は、希望に燃えているわけではなった。パスポートを見るたびに思い起こす小夜子の顔。「電話を掛けたい」。亜美は婚約者に言った。だが、婚約者は「時間がない」と取り合わない。亜美は怒りを爆発させた。
 「飛行機より大事な電話があるの。あなたは私を知らないわ。あなたとは結婚できない」
 亜美は、婚約者だけではなく、いろいろなものから決別するように、空港を走りに走るのだった。
 小夜子は壊れたミシンの横で放心していた。冬美(平山綾)が亜美のことを尋ねるのが、うっとおしい。つい、冬美に当たってしまう。と、祐三(萩原健一)に呼び付けられた。
 「今度のことはいい勉強だと思え。」
 「勉強をして4、5年準備してそれでやるんなら反対しない」
 「ともかく、食費を出せ」
 「ええっ」。返す言葉のない小夜子。

 小夜子は祥子(天海祐希)と並んで吉田絞製作所の事務で働くことになった。
 ふてくされたまま、デスクにつく小夜子。工場では、元と浩太郎(安居剣一郎)が祐三に仕事を教わっている。元は興味深そうに失敗を繰り返しながらも黙々と作業を続けている。浩太郎は、まるでやる気はない。
 意気消沈の小夜子を見かね、祥子は元気付けようとする。「力抜けちゃった」と言う小夜子に、「あなたが私に言った『しゃんとしろ』という言葉をそのまま返すわ」。祥子を睨み付ける小夜子だった。
 元が別荘に戻ると、洋輔がひたすら掃除に精を出している。気を紛らわすためだ。成田での出来事を聞いた元は、結局「ま、諦めな」と軽くいなしてしまう。その時、玄関のチャイムが鳴った。現れたのは憔悴しきった亜美であった。「ごめんなさい。ほかに行くところがないの」。輝く洋輔。
 小夜子宛てに宅配便が届いた。不思議な面持ちの小夜子。祥子がきびきびと処理する。箱の中から出てきたのは真新しいミシンであった。祥子が小夜子のために買ったのだ。「私、小夜子ちゃんには借りがあるし、私のためでもあるの」と祥子。が、小夜子は「もうやる気ないの。迷惑よ」と突っぱねる。
 そんな折、亜美がメールを開けると、なんと「Tシャツ希望」のメールが入っているではないか。飛び上がる亜美。すぐにバッグに畳まれたサンプルを取り出す。洋輔が、小夜子に電話しようか、と提案するが、亜美は「自分でやる。一人でやらなきゃ、いけない時がある」と決然とした表情で言い切るのだった。
 小夜子側では、そのメールを祥子が見つけた。興味なさそうに座る小夜子に寄って行った祥子は、突然、小夜子の頬を張った。「気合いを入れてあげたのよ!」。しかし、小夜子は携帯を取り出すと、「カラオケ行こうよ」と友達を誘うのだった。
 カラオケ店を求めて歌舞伎町をさまよう小夜子。まとわりつく客引きを振りほどきながら進んでいると前から来るのは、亜美だった・・・。

<第9回> 「突然、不器用なキスされた!」
 小夜子(深田恭子)と亜美(ユンソナ)は、代官山の洒落れた店々を回ってTシャツの売り込みをしていた。期待に高揚した表情で店に入り、肩を落として出てくる、ということを繰り返しながらも、二人はこれまでとは違っていた。そのたび、二人は元気を取り戻し、笑いながら歩くのだった。
 そんな夜、祐三(萩原健一)と祥子(天海祐希)は、久し振りに「なぎさ」のカウンターに座った。だが、二人の座席の距離は前よりも離れていた。客が増え、仕方なさそうに詰める二人。祐三が口を開く。「小夜子を殴ってくれたんだって・・・・・・」「すみません」「いいんだ、ありがとう」。静かに大人の会話が進む。
 その頃、デートを終えた浩太郎(安居剣一郎)と冬美(平山綾)が家に帰って来た。「言葉で言い表せないくらい楽しかった」。喜ぶ冬美は、浩太郎に抱きつき熱いキスを交わすのだった。
 と、突然殴られ、吹き飛ぶ浩太郎。祐三が戻って来て殴り付けたのだ。逆上する祐三は浩太郎に飛び掛かる。
 丁度その時、疲れ切った亜美と小夜子が帰って来た。
 「なにやってんの!?」。叫ぶ小夜子。
 「くびだ!出て行け!明日から来るな!」祐三が浩太郎に言い渡す。
 「もう来ねえよ」。冬美を見ながら走り去る浩太郎。
 「何も悪いことしていないじゃない。お父さんなんか、大嫌い!」冬美も泣き叫ぶ。吉田家は修羅場と化した。
 少し落ち着いた吉田家の茶の間に、祐三と小夜子、亜美の三人が座っていた。奥の部屋から冬美の泣き声が聞こえる。亜美が言う。
 「高校生はキスしてはいけないの? かわいそうです」
 「分かっているのは、亜美さんだけよ」。いつの間にか冬美が入ってきた。
 「私だって恋したい。傷ついたっていいの。何もない毎日よりずっといい。あたしほど我慢している人間はいないのよ」
 冬美は激昂し部屋に戻るのだった。
 皆、寝静まった後、小夜子が物干し台で日記を付けていると元(坂口憲二)が上がってきた。小夜子が冬美と浩太郎のことを教えてやる。
 「俺たちもやってみる」と元。二人はそっと唇を近づけ不器用なキスをするのだった。
 翌日、「熱がある」と言う亜美を置いて、小夜子は一人で売り込みに出掛けた。家で退屈そうにゴロゴロする亜美。仮病だった。
 元が別荘に戻ると、洋輔(勝村政信)が食事の用意をしている。亜美が来ると言う。亜美が、洋輔に誘いの電話をかけたのだった。それに乗ろうと、元も小夜子に誘いの電話かけた。「え、亜美が来るの!?」。驚き怒りが込み上げる小夜子。
 亜美は、美容院に行き綺麗になって別荘の扉を開けた。「小夜子は仕事だけの女だから来ないよ」と言いかけた時、中からにらみつける小夜子を見つけてしまった。
 「アタシ一人で苦労するわけ?今は休む時じゃない!」と小夜子。
 「女の子はお洒落やデートも大事」と亜美。
 「小夜子はオンナじゃないよ。恋をしなさい」と畳み掛ける亜美に、小夜子は大声をあげた。「今、ちゃんとしたいのよ。男なんかいらない」。小夜子は別荘を飛び出すのだった。
 亜美は元と飲み続けた。洋輔はすでに潰れている。
 「洋輔は優しすぎる。あなたは強くて男らしい」と酔った亜美が言う。
 「俺たち、付き合う?」と冗談を飛ばす元。だが、洋輔はその時、目を開けていたのだった。
 浩太郎は祥子のとりなしで職場復帰していた。だが、冬美に「やはり俺には向いていない。辞める」と告げる。冬美は「連れていって」と懇願するのだった。
 一方、小夜子と亜美は、売り込みを再開した。仲直りはしていないが、待ち合わせ場所に亜美が意気揚々と現れた。セレクトショップに商談成立だと言う。小夜子とその店に戻ると、佐倉(板谷由夏)という店長が「5枚4000円」で置くと言う。小夜子は爆発した。商談破棄である。
 「うちの親父は値切らせないんだよ」と亜美に説明する小夜子。「私が契約したので気に入らないんだろう」と亜美。
 喧嘩する二人に、セレクトショップにいた男が近づいてきた。
 「もう一度、商談させてくれ」
 店のオーナーの高木(野村宏伸)だった。高木は、1週間委託販売だが、さっきの5倍でどうか、と提案してきた。今度は亜美が断ろうとしたが、小夜子はその条件で成立させてしまった。
 小夜子が家に戻ると、祐三が冬美を探している。冬美が家出したのだった。
 そのころ、元の別荘から洋輔も姿を消していた。


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