あらすじ
<第4回> <第5回> <第6回>

<第4回> 「世界でたった一つのTシャツ!」
 韓国に生地の仕入れに出掛けた小夜子(深田恭子)と亜美(ユンソナ)が朝食をとっていると、亜美の様子がおかしい。「私を探している人がいるかも」と、おどおどしている。怪訝に思った小夜子が尋ねると、「婚約者が・・・。でも別れるかもしれないの」と言う。小夜子に、亜美は「結婚へのあこがれで、軽い気持ちで婚約したの」と説明するのだった。父母への遠慮が、意志をはっきりさせない理由のようでもあった。だが、「結婚しても店は投げ出さない」ときっぱりと自分に言い聞かせるように言う亜美だった。
 小夜子と亜美のオリジナル・リメイクTシャツショップ「アンニョン」がオープンした。二人の興奮と緊張とは裏腹に、客足はさっぱりである。「向こうから来ないなら、こっちから行こう」。小夜子と亜美は浜辺に商品を持って出掛けることにした。
 だが、ビーチ中回っても、小夜子がサクラになっても、一向に売れない。店に祐三(萩原健一)の工場で働く祥子(天海祐希)がやって来た。休みを使って足を伸ばしてくれたのだ。大人の雰囲気の祥子には、似合うとは言い難かったが、祥子は1枚買ってくれた。
 祐三は行きつけの飲み屋「なぎさ」に足を運んでいた。祥子が先客で座っていた。祥子は、二人暮らしで老いた母親が入院しており、休みの日にすることがないことを話し始めた。「母に縛られていたのに、いざ、一人になるとすることが探せない」と言う。「だから、今日、小夜子ちゃんの店に行ってきたんです」と、買ってきたTシャツを広げて見せた。祐三は振り向きもせず、「あいつをおだてないでくれ」と言い残すと、祥子の母への見舞い金をなぎさの手に握らせ帰って行くのだった。
 祐三が家に着くと小夜子が冬美(平山綾)の本を読んで聞かせている。Tシャツの感想を祐三が言いよどむと、小夜子はカッと来て「お父さんなんかに分からない」と、すぐに親子喧嘩である。
 元(坂口憲二)は高学歴の家庭教師・洋輔(勝村政信)が、なぜ父親の会社にいるのか、訊ねた。それを聞いた元は、別荘に戻り、洋輔を探した。洋輔は、友人に、元の悪口を言い募っているところだった。「あんたのこと聞いちゃったぜ。痴漢で前の会社をくびになったんだって」。茶化す元に「痴漢は、やってない。お前の相手なんかしたくない。もうたくさんだ。辞めてやる」と怒り狂った洋輔は、荷物をまとめて飛び出した。元は車で追いかけた。「あんた苦労してんだ。ほかの奴よりあんたの方がいい」。元の説得に洋輔も戻ることにした。
 偶然、その路上の説得劇を、小夜子と亜美が目撃していた。歩きながらTシャツを売る算段を画策するがいいアイデアが浮かばない。「ムカツク」「ナドヤー(韓国語で同意)」を連発しながら、小夜子はとりあえず家に戻ることにした。
 家で待っていた冬美がくれた回覧版に「フリーマーケット」の文字が。小夜子は手を打った。
 翌日、亜美に相談すると、亜美も一も二もなく賛成である。そんな折、客がやって来た。小夜子のセンスを褒め、1枚求めていった。客の払った千円札に印をつけ、自分の札と交換し、「記念にとって置く」と、はしゃぐ小夜子。小夜子は仕事の充実感を知り、またミシンに向かうのだった。フリーマーケットの当日。二人は元や洋輔にも手伝ってもらう。そこで小夜子は元から「洋輔くんは亜美のことを気に入っている」ことを聞いたりもする。小夜子と亜美は、「10万円目標」と威勢がいい。
 だが、浜辺と同じで全然客が来ない。客が不思議な顔をしているのも気にかかる。小夜子は会場の見回りに出かけた。そこで見つけたのは、小夜子のTシャツそっくりに作ったTシャツを売っているコーナーだった。しかもその売り手は、「アンニョン」に来て、買って行った由香だった。こちらは大盛況であった。
 それを見た小夜子は・・・!

<第5回> 「いやらしいキスをしたい!!」
 フリーマーケットで自分のオリジナルTシャツをコピーされ売られていたのを知った小夜子(深田恭子)はがっくりと落ち込んでいた。亜美(ユンソナ)は、そんな小夜子が不甲斐ない。しかも、亜美は「韓国では何か流行るとすぐまねするから」ともいう。二人とも、それが文化差と納得するしかなかった。
 一方、仲直りをした元(坂口憲二)と洋輔(勝村政信)は、勉強しながらも互いの過去や趣味、将来のことをつれづれに話していた。洋輔は「将来は自分で決めると社長に話せ」と薦める。元は「父親に偉くなれと刷り込まれ、自分が何になりたいか、考える暇がなかった」と悔やみ、その場を立ち去る。
 浜辺に出た小夜子と元は、偶然、波打ち際で出くわした。二人して腰を下ろし、ため息をつく。小夜子は、フリーマーケットでの一件を話しつつ、亜美との考え方の違いが気になっていることなどを話す。
 元はつい、「羨ましい。やりたいことがあるのって幸せなんだよ」と本音を漏らす。が、すぐに「マイナス思考になってる。気合いを入れてくれ」と小夜子に顔を突き出す。殴る気もしない小夜子は行こうとするが、元の「体使わないと太るぞ」の言葉に、振り向きざまのパンチ。小夜子は海に飛び込み、波間に浮かんで、自分の情熱が消えてしまっていることを確認するのだった。
 そんな朝、小夜子の自宅でもある吉田絞製作所の事務所に、緊張感が漂っている。祥子(天海祐希)の母親が危篤なのだという。慌ただしく祥子を促し、小夜子の父親・祐三(萩原健一)は病院へ急いだ。
 「アンニョン」で小夜子は亜美に、祥子のことを話した。「母親と二人暮らしを続けていた三井さんは、何が楽しくて生きているんだろう。亜美が結婚したくないのも親との関係なの?」
 亜美は「小夜子みたいの簡単にいかない。韓国で女性が自由にするのは日本の何倍も大変なんだ」。亜美は、すっとその場を立ち去って浜辺で海を見詰めるのだった。
 祐三も祥子もいない吉田絞製作所では、冬美(平山綾)と浩太郎(安居剣一郎)が二人きりで電話番をしていた。浩太郎のおかしな応対の仕方などで、冬美の緊張もほぐれ、話しが少しずつ弾んできている。
 夜になって、帰宅した祐三が製品の仕上げをしていると、祥子が入り口に立ちすくんでいる。「病院にいなくていいのか」と祐三。「怖いんです、私」。泣き崩れる祥子。亡くなったのだ。祐三は祥子を抱きかかえる。その姿を陰から見てしまった小夜子は、何かいけないものを見た気がするのだった。
 栗村家別荘では、光夫(泉谷しげる)を呼んで、元が「決心」を伝えようとしていた。言いよどむ元に「はっきりしろ」と怒鳴りあげる光夫。縮こまりながら「司法試験とか自信がない・・・・・・。無理だと思う」とようやく口を開くと、光夫はい言った。「俺もそう思ってる。じゃ、いいよ。都議会選に出ろ」。呆れた元は「自分で将来を選びたい、ということで・・・・・・」と続けるが、「じゃ、何やりたいんだよ」という光夫の問い詰めに返答できない自分にがっくり、下を向くしかなかった。
 小夜子は「アンニョン」に置いていたミシンが調子が悪くなっているのに気づいた。亜美を問いただすと「知らない」と言う。亜美が壊したと分かっている小夜子は「責めるつもりなんかないのに、なぜ謝れないの」と怒ってしまう。亜美は「小夜子が大変だから、ミシンを覚えて手伝おうと思った」と白状する。亜美はすぐ話を変えて「小夜子のTシャツはデザインいいから、もう少し安く売ろう」などと提案する。だが、小夜子は「もう駄目かも。売れないし。亜美とは考え方違うし。親の世話になれないから、しばらく『アンニョン』には来られない。ミシンは後で取りに来る」と帰ってしまった。亜美は韓国語で「ここは日本だし、日本語を話して日本語を書いて、こんなに努力しているのに、まだ、外国人だから考え方が違うと言われなきゃいけないの。少しはそっちが合わせなさい!」と小夜子の背中に怒鳴るのだった。
 しょうがなく、小夜子は、スーパーの売り子のバイトを始めたが、性に合わなくてうんざり。だが、そこで、小夜子は見てはいけないものを見てしまった。ふらりと現れた祥子が、商品を自分のバッグに入れ、そのまま立ち去ったのだ。万引きであった。声を掛けられず、絶句する小夜子だった・・・。
 元と洋輔が「アンニョン」の前を通りかかると亜美が一人で立ちすくんでいる。亜美は二人を呼び止め、ミシンを小夜子の家へ持っていってくれと言う。喧嘩の理由を聞かれた亜美が「説明はむつかしい」と言うと、洋輔が「英語なら?」と聞き返す。亜美は「初めて言われた」とにっこりと微笑んだ。「こんなに一生懸命、日本語で話し書いているのに、まだ、違うと言われるのに疲れました」と亜美。しかし、洋輔たちは「違うから意味あるんじゃないの」と喝破する。
 ミシンを積んで吉田製作所を訪ねた元は、祐三たちの技術に、魅せられ感動する。自分もやってみたいという衝動にかられるようになる。その内、小夜子がバイトから戻ってきた。元は「お前、亜美さんの立場になってみろ。考え違ったっていいじゃん」と諭す。小夜子も珍しく「あんた、いいこと言うじゃん」と納得し、ミシンをまた「アンニョン」へ運ぶよう頼むのだった。
 「アンニョン」の亜美は、無言で小夜子を迎えた。小夜子は、すぐに自分の名前のハングル文字表記を亜美に尋ねた。亜美は苦笑してそれを教えるのだった。二人でミシンを運び上げようとした時、小夜子が突然閃いた。
 「客の名前をTシャツに書いて売るのよ!」
 小夜子はこの日が「アンニョン」二度目のオープンだと思うのだった。

<第6回> 「キャバクラでバイト!?」
 ハングル・ロゴのTシャツを考案した小夜子(深田恭子)と亜美(ユンソナ)は、「アンニョン」で必死に試作品を作っていた。そこへ大伴洋輔(勝村政信)が手作りの弁当を持ってきた。むさぼるように食べる二人を見て、洋輔は仲良さそうな二人を羨ましく感じるのだった。洋輔が亜美に「なぜこんな仕事をするのか」と問うと、亜美は韓国の子供の儀式を話し始めた。亜美によると、韓国では子供の将来を占うために、生後100日すると、赤ちゃんの前に「おにぎり、糸、鉛筆、お金」を並べ、どれを取るか見る儀式がある。糸は長生き、鉛筆は学問・・・・・・亜美は富を得るお金を掴んだと言う。でも亜美は「日本人はもっと小さな小さな幸せを求めているような気がする」と言う。
 そのころ、元(坂口憲二)は、小夜子の父・祐三(萩原健一)が経営する「吉田絞製作所」に忍び込んでいた。憧れの目で工場を見回す元。祐三たちは事務所で昼食中である。元は、つい近くのスイッチを触って機械を動かしてしまった。唸りを上げる工作機械。気付いた祐三が工場へ飛び込むと、元が泣きそうな顔で立ちすくんでいる。「なにやってんだ」。怒鳴りつける祐三。元は意に介さず、突然土下座し「俺をここで働かして下さい。俺決めたんです」。祐三、呆気に取られて「勝手に決めるな」と一喝するが、元は「あの、お金要りませんが」と勝手な理屈をこねる。祐三は「お前ら本当の仕事がどんなものか分かっていない。遊びと仕事がごっちゃだ」と、身勝手な“夢遊び”に辟易する。
 その時、祥子(天海祐希)が「滝川(笹野高史)が動けなくなっている」とインターフォンで呼びかけてきた。祥子は母の死以来、生気がなくなったようである。祐三が事務所に急いで戻ると、ベテラン職人・滝川がぎっくり腰で倒れている。祐三が運ぶのを手伝わせようと元を呼ぶと、「俺が代わりに働く」と言う。「なに言ってるんだ」と怒鳴りあげる祐三。すると、元は「もったいぶって、なんだい。もう、頼まねぇよ、ケチ」と捨てぜりふを残し飛び出していくのだった。
 「アンニョン」に見知らぬ男がやって来た。文句を付け始める男に「あんた誰よ」と怒鳴りあげる小夜子。と、男は矢作(北見敏之)といい、「アンニョン」の家主であった。矢作が言うには、「アンニョン」は、李という亜美の友人に喫茶店として貸したもので、しかも家賃が3ヵ月分滞納されているらしい。月末までに全部払わないと出ていってもらうと言う。焦った亜美は「払うが半額にせよ」と交渉、矢作は渋々了承したものの、亜美たちに払える目途はない。27万を工面しなくてはならなくなった小夜子と亜美だった。
 亜美が元の別荘を訪ねてきた。応対に出たのは洋輔。「パソコンを貸して欲しい」と言う。ネットショップを調べに来たのだ。だが、審査条件に合致しそうもない。
 翌日、働き始めたスーパーで、亜美は、小夜子に弱気な様子を見せる。「あんたの根拠のない自信がしか私たちにはないのよ。弱気になんないで」とヘンな激励をする小夜子。そこへ、祥子が現れた。また、万引きをする。驚く亜美。しかも、今回は祥子はレジで捕まってしまった。
 亜美が、祥子の処遇に関して、主任と押し問答をしている隙に、小夜子は、事務所の隅に座らせられている祥子のもとへ向かった。「しゃきっとしてよ、祥子さん」。「小夜子ちゃんはいいわよ。やり直しがきくし、強いし・・・・・・。警察がきてもどうでもいいわ」と祥子は、まるで抜け殻のようである。小夜子は、怒ってその場を飛び出し、家へ向かった。「お父さん、すぐスーパーにきてよ!」。
 祐三はすぐさまスーパーへ行き、祥子を請け出し、その晩、「なぎさ」へ祥子を連れていった。
「社長、私は自分に罰を与えたかったんです。母が死んだのは、私のせいだと・・・・・・」。「代わりに自分が死ねばよかった・・・・・・残された者は、皆思うんだ・・・・・・」。祐三は静かに慰めるのだった。
 早朝、「アンニョン」に洋輔がやって来た。起きたばかりの亜美に「ネットショップがオープンできる」と言う。「オークションで」。亜美はつい「マジで」と聞き返してしまうのだった。
 小夜子が「アンニョン」へ向かおうと家を出ると、変な男がうろうろしている。ものも言わず飛び蹴りを食らわす。倒れ込んだのは元であった。「ここで働きたいんだよ。お前から頼んでくれ」と元。「知らないよ。嫌いなんだから」と小夜子。そんな騒ぎを聞きつけ、祐三が現れた。イヤイヤ「こいつここでバイトしたいって」と取り持つ小夜子。「こいつを採るかどうか俺が決める。採用だ」。祐三は後ろも見ずに行ってしまった。
 ネットオークションの話で小夜子と亜美は盛り上がった。が、障害が一つある事が分かった。条件であるクレジットカードである。二人とも持っていない。小夜子は、祐三の家族会員にしてもらうしかない、と決心した。が、「元の筋は悪くはない」など話す祐三に、どうしても申込書を出しそびれてしまうのだった。
 そんなある日、元の父・光夫(泉谷しげる)が、吉田絞製作所の前に降り立った。


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