あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「あなたの子供・・・じゃないの」
 澄子(石田ゆり子)は、とうとう、暁(天海祐希)の自宅に電話し、あろうことか、星児(田中碧海)と話をしてしまう。星児は直ぐに切ってしまったが、呆然としている澄子の後ろにはサエ(中尾ミエ)が・・・・・・。自室に逃げ込むサエを追い、澄子は「知っているんでしょう!」と詰問する。サエは、満面の笑顔で、澄子の顔に水を掛ける。と、仕返しとばかりに、今度は澄子がサエの毛糸かごをぶちまける。「自分でお取り。出来るんでしょう!」。怒りに震えながら部屋を出る澄子。
 そんなころ桐吾(三上博史)と暁は、抱き合っていた体をほどいた。「たまにでいい。星児に会わせてくれ」と桐吾。が、暁は答えず走り去っていくのだった。
 桐吾が家に帰ると、澄子が「お母様を介護施設へ」と提案する。と、突然、サエが車椅子で飛び込んできて言う。「この家には悪魔がいるよ」。桐吾は答えようがなかった。
 暁の部屋にエリ(猫背椿)と日菜子(西山繭子)がやって来た。人妻の立場で暁をけん制するエリに、暁は「星児を工藤さんに会わせない様にしなければ・・・・・・」と建前を言うが、星児が桐吾と会ったことをばらしてしまい、二人を呆れさせるはめになってしまう。
 最近の暁の様子に業を煮やす昌美(佐藤藍子)は、暁に淳哉(合田雅吏)を親しくさせようと、コンサートのチケットをペアでプレゼントしたり画策する。困り果てる二人であった。
 一方、桐吾は、いつの間にか、星児の通う保育園の前に来てしまう。遠くから眺めるだけにしておくつもりが、星児と保母に見つかり一日中遊んでしまい、帰りがけに運動会に来ることを約束してしまう。
 そんな気分を落ち着かせようとバーに行くと、甚(勝村政信)が座っている。星児が書いた運動会の招待状が見つかってしまい、桐吾はとうとう、暁と星児の秘密を、甚に話してしまう。「最低だよ」と非難する甚に、桐吾は答えられない。甚は桐吾の気持ちも理解しながらも「彼女の意思を尊重しろよ。澄ちゃんだけは傷つけるな」と釘を刺すのだった。
 夜になって星児を迎えに来た暁は、昼間の保育園に桐吾がやって来て、遊んでいったことを星児の口から聞き、さらに複雑な思いに駆られる。
 一方、澄子は、恭介(玉山鉄二)を呼び出し、暁の家に電話すると子供が出たことを相談する。「私何をしでかすか分からない。恭介君、私を見張っていて」。懸命な澄子の素振りに、恭介は路上にもかかわらずキスをしてしまう。澄子は走って逃げ去った。
 そんなころ、サエは、ある興信所の封筒を開け、悦に入っていた。
 仕事の帰りに映通エージェンシーまで桐吾を送ってきた淳哉は、仕事の礼を言いながら、暁との関係を尋ねる。「奥さんと別れて高畑と子供と暮らすという選択は・・・・・・」と直接的な質問に、桐吾は静かに否定した。淳哉は「それなら彼女の気持ちを乱さないでください」ときっぱりと言い渡す。その会話を、通りかかった恭介が聞いていた。「奥さんがどうなってもいいんですか」。桐吾は口を閉ざすのみである。
 桐吾の家では、澄子とサエの確執がさらに深まる。澄子は、当て付けがましく自分で編んだ人形を抱いてあやしているサエに怒りが込み上げ、人形を取り上げた上、「呆けた振りをするのもいい加減にしろ」と怒鳴り上げる。そのサエも「性悪女。桐吾に嫌われたくなかったら、改心おし」と一歩も引かない。と、桐吾が戻って来た。桐吾は、星児の運動会に行くため、土曜日に仕事が入ったと澄子に嘘を言う。その日は一緒にサエを病院に連れて行く予定だった。澄子は疑念を膨らます。
 土曜日になった。桐吾は、離れて星児と暁を見詰めている。桐吾に暁が気付いた。さらに星児も。星児は桐吾の方へ喜び勇んで駆けて来る。抱き上げる桐吾。暁もむげにできない。そのまま桐吾は観戦することになったが、もう一人その様子を陰から見つめている人物がいた。澄子であった。
 澄子は星児が自分の方に駆けて来るのに気付いた。澄子はがっしと星児の手をつかみ、にこやかに微笑んで聞いた。「あのおじさんはママのお友達?」。星児は屈託なく答えた。「僕の友達でもあるよ。いっぱい遊んでくれるんだ」。澄子の手は自然と力が入り、星児は痛みで逃げ出してしまった。
 運動会は終わったが、桐吾はそのまま、近くの河川敷で星児と遊び始めた。星児が友達と姿を消した頃合に、桐吾は暁に切り出した。「ルール違反だな」。暁は「星児の気持ちを計算に入れていなかった」としながら、「奥さんを不幸にしているのでは」と心配した。桐吾は言下に「そのことは僕が考える。毎日自分を責めているが、この気持ちには代えられない」と答えるのだった。
 運動会から帰った澄子はベッドサイドに興信所の封筒があるのを見つけた。中の写真には4年前の桐吾と暁がホテルに入る姿が写っている。震えながら見つめる澄子。澄子は寝室の引き出しからピルの袋を取り出し、どんどん破り捨てて行くのだった。その時、桐吾が帰って来た。澄子は手の中の写真を握りつぶし、にこやかに桐吾を振り返るのだった。その晩、澄子は桐吾に夜を求めたのだった。
 桐吾が仕事中、暁が電話してきた。「星児に父親であることを話してくれ」と言う。桐吾はうれしさで胸が詰まる。退社時間が待ちどうしい桐吾のもとに、なんと澄子がやって来た。食事をしようと言う。困った桐吾は「用がある」と断ろうとする。と、澄子は見透かしたように言った。
 「暁さんとぼうやのところ?」
 驚愕する桐吾。
 「あなたが父親?」
 桐吾は答えられない。澄子はさらにショッキングな言葉を吐いた。
 「あなたは父親じゃないわ。だって、精子がないのよ。あなたを苦しめたくなかったから、私だけ我慢すればいいと思ったから、嘘をついていたの。あなた騙されてる」
 そのころ、暁は星児とともに桐吾を心待ちにしてるのだった。

<第8回> 「消えた二人」
 会社に現れた澄子(石田ゆり子)から「あなたには精子がない。あの女に騙されている」と極めてショッキングな“事実”を聞かされた桐吾(三上博史)は、身じろぎも出来ないまま澄子を社から送り出した。星児(田中碧海)に「父である」ことを告げに行く予定だったが、その衝撃から暁(天海祐希)へ電話も掛けられない。
 一方、家に着いた澄子も、意識ここにあらずの様子であったが、サエ(中尾ミエ)の寝室を覗いて驚いた。捨てたはずのピルが拾い集められているのだ。寝ていると思ったサエが声を出した。「子供産む気になってくれたのね」。澄子は笑いながら返した。「桐吾さんがつくれないんですよ。これは精神安定剤。お母様が面白がらせてくださって、寝付けないものですから」。二人の闘いはエスカレートするばかりである。
 翌日、桐吾は星児の保育園へ行き、物陰から星児の姿を凝視していた。どこかに自分と似ているところがないか、と探している。そのころ、澄子は恭介(玉山鉄二)のマンションを訪ねていた。澄子は、桐吾や暁、子供のことを話し、「お願い、桐吾を守って」と恭介に懇願するのだった。
 会社に行った恭介は、会議の席で気もそぞろの桐吾に複雑な思いを抱きつつ、その晩の予定を貰った。
 桐吾はマイアサウラで甚(勝村政信)と会う約束を恭介より先にしていた。とうとう甚にすべてを話した。甚は「忘れろ」ときつくアドバイスする。そこへ恭介が現れた。恭介は酒を1杯あおり、まくし立てた。「あなたを守るなんて出来ない。これ以上澄子さんを苦しめるんだったら、俺が彼女を奪います」。絶句する桐吾、驚く甚。
 そのころ、暁の部屋にエリ(猫背椿)と日菜子(西山繭子)が遊びに来ていた。桐吾と自分を描いた星児の絵を見ながら、彼が父親であることを告げたのか、などと今後について話し合っている。だが、その話は、星児にしっかり聞かれていた。
 甚と別れ、夜だというのに桐吾は星児と遊んだ川原に足を向けた。酔った足で水辺に降りて行く・・・・・・。
 エリたちが帰り、暁が星児の寝室を覗くと、星児がいない。枕もとのカスモサウルスもない。暁は淳哉(合田雅吏)、昌美(佐藤藍子)に応援を頼み、外へ飛び出した。
 桐吾は星児からもらったドングリを川に投げようとして投げられず、自嘲気味にその場を去ろうとしていた。と、土手に少年が座り込んでいる。目を凝らすと、星児である。胸迫り駆け寄ろうとする桐吾。星児も桐吾に気付いた。「パパ?」。驚く桐吾。星児も駆け降りて来る。が、そこに「セイちゃん」と呼ぶ声が・・・・・・。暁が探しに来たのだ。身を隠す桐吾。星児を抱きしめる暁。「パパがいたんだよ。おじちゃんがパパなんでしょ」と言い張り泣きじゃくる星児に、暁は「そうだといいね」と答えるのが精一杯だった。
 家に帰り着いた桐吾は、笑顔で迎える澄子に、話を切り出した。
 「俺が悪かった。これからお前の言うことを聞く。だから頼みを聞いてくれ。あの子を認知させてくれ」
 余りの身勝手な発言に、澄子は激怒した。「あなたの子供の訳はないのよ。馬鹿げている。絶対認めないわ」。澄子はそのまま外へ飛び出した。それを陰から聞いていたサエは喜びに相好を崩した。
 澄子が向かった先は恭介のマンションだった。桐吾やサエに対して怒りを爆発させる澄子に、恭介は言った。「全てを捨てればいいんだ」。恭介は「二人で全部壊そう」と言うと、そのまま澄子を押し倒すのだった。
 そんなころ暁の携帯が鳴った。「私、桐吾の母でございます」。暁の息が止まった。「一度、きちんとご挨拶に参ります」。サエがそう言って電話を切るや否や、暁は桐吾に電話を掛けた。桐吾は澄子を探すのを諦め、家に戻ったところだった。「お袋は寝ている。それよりきちんと話がしたい」と言う桐吾。暁は、澄子が全てを知ったことを悟った。
 桐吾が煙草を買いに出た折、澄子が帰って来た。サエが声を掛ける。「産まないんだったら、あの子を認知してよ」。怒る澄子と揉み合いになり、サエが車椅子から落ちた。澄子が冷笑しながら言った。「お立ち。芝居なんでしょ。歩けるんでしょ」。と、そこへ桐吾が帰って来た。助けを求めるサエ。澄子が業を煮やして桐吾に訴えた。「彼女や子供のことを知ったのはお母様のせいよ!」。サエをかばい、澄子の言葉が信じられない桐吾は、その場を収めようと「お袋のことは何とかする」と澄子に約束する。
 そんなある日すべては大きく動いた。星児を迎えに行こうとした暁を誰かが訪ねてきた。澄子であった。また、サエの寝室からサエの姿が消えていた。さらに保育園に星児を迎えに来た何者かがいた・・・・・・。

<第9回> 「涙かれるまで」
 星児(田中碧海)を保育園に迎えに行こうと慌てる暁(天海祐希)の前に、澄子(石田ゆり子)が現れた。澄子は、自分が桐吾(三上博史)の妻であることを告げると、づかづかと部屋に入り込み、以前桐吾が暁にプレゼントしたカスモサウルスを弄びながら言った。
 「あなたのことを羨ましくて悔しくて、桐吾に嘘をついたの。あなたには子供が作れない。だから星児君はあなたの子供じゃないって。なのに彼は俺の子だって言い張るの」  桐吾が不妊の原因であると言うのは嘘だったのか・・・。暁が何も言えずにいると、澄子は続けた。
 「あなたのこと絶対に許さない。私にはあの人しかいないのよ」  そのころ、星児は、砂利山の間をサエ(中尾ミエ)と歩いていた。サエは、星児を「桐吾」と呼ぶ。公園に着くと「桐吾ちゃん、ジャングルジムに登りなさい」・・・・・・。星児は子供心に不安が増す。
 澄子を送り出した暁は、保育園に迎えの遅れを詫びる電話を掛ける。と、電話の向こうでは「お母様がお迎えに」と言う。驚く暁。大慌てで出掛けようとするその時、ドアチャイムが鳴る。「星児!?」と暁が開けると、そこにいたのは桐吾だった。
 桐吾と暁が星児を探し始めると、桐吾の携帯にヘルパーから電話が入った。「お母様がいないんです」。そのころ暁はサエから掛かった電話を思い出していた。すぐに桐吾に電話を掛ける。
 「工藤さんのお母様は、今、どこにいらっしゃるの? 連れ出したのはお母様では?」
 桐吾は答えられなかった。しかし、二人ともサエの行為だと確信していた。
 桐吾と暁は、桐吾の家に向かった。澄子が庭を凝視している。振り向けば、そこには、星児を抱いてブランコに乗るサエが・・・・・・。星児は暁を認め、飛びつく。それをサエがよろよろと追う。歩くサエを見て驚く桐吾と澄子。そんなことはお構いなしにサエは暁に近づく。
 「私の桐吾を返して」
 サエは、現実と夢想の境が完全に混乱していた。サエにとって星児は桐吾であり、桐吾は自分の夫、桐吾の父親であった。哀れな状況にいたたまれず暁と星児はその場を離れ家へ戻った。桐吾は澄子が止めるのも構わず、暁たちを追った。
 暁のマンションに着いた桐吾は「きちんとしたい。星児を認知させて欲しい」と申し出る。が、暁は「私は嘘をついていたの。星児はあなたの子じゃない。井原君(合田雅吏)の子です」。桐吾は何も言い返せず、その場を立ち去るのだった。
 桐吾を送り出した暁が部屋に戻ると、寝室から昌美(佐藤藍子)が顔を覗かせた。「お姉ちゃんいいの?」。暁は力なく「もういいの」と答えるのだった。
 桐吾はマイアサウラに行くと甚(勝村政信)に、ことの経過を話した。「はっきりして良かったんじゃないか」と甚。だが桐吾は「彼女は嘘をついてる。俺は皆を追い詰めている」と壁の十字架を見据えるのだった。
 サエの検査が始まった。医者は痴呆の初期症状が表われているが、歩行困難ではないと言う。
 家に帰り、桐吾は澄子に「お袋は自分が治ったことを気が付いていなかったのでは。施設に入れるのは少し考えよう」とサエの肩を持ち始める。澄子は怒り「ここまで私がつくして、あなたは裏切り、そのうえまだ我慢しろと言うの」と激昂するのだった。だが、そんな澄子は恭介(玉山鉄二)との不倫を続けていた。
 星児の遠足の日がやって来た。暁も一緒に自然公園に出掛けた。楽しい時が過ぎて行くうち、星児に近づく人影が・・・・・・。サエである。サエが星児の腕をつかむ。暁が気付き星児を連れ戻そうとする。騒ぎは大きくなりパトカーがやって来る・・・・・・。恭介のベッドの中にいた澄子は携帯で呼び出された。澄子はサエを公園に迎えに行く羽目になった。暁と目が合うが無視する澄子。その騒ぎで、桐吾と暁、淳哉が話し合った。暁と淳哉は星児は二人の子で三人は一緒に暮らすと言う。桐吾は「君のおかげでかけがえのないものの存在を知った。ありがとう」と暁に語りかけ、無力感に包まれるのであった。
 そんな夜、澄子は、急に襲ってくる吐き気に、不審な思いを抱いた。妊娠か? とすれば父親は桐吾か?恭介か? 同じ頃、恭介は桐吾に、暁が大事なら、澄子と別れろと詰め寄っているのだった。
 桐吾は家に帰り、澄子に離婚届を差し出した。「好きなように生きてくれ」。だが、澄子は頑として断った。「冗談じゃないわ。好き勝手にした挙句、一人になりたい? そんな我儘は許されないわ。私別れない。出来たのよ、あなたの子が!」
 桐吾は、驚愕のあまり声を出すことすら出来ないのだった。


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