あらすじ

<第10回> 「愛する胸で、永遠に眠れ」
 桐吾(三上博史)から離婚届を突きつけられた澄子(石田ゆり子)は、「絶対離婚しない。あなたの子供ができたのよ」と衝撃の告白をした。「俺には子供ができなかったのでは?」。驚きながらも、桐吾は疑念を口にする。押し殺した笑みを浮かべサエ(中尾ミエ)が代わりに答えた。「この女は避妊薬を飲んでいたのよ。悪魔よ」

 澄子はすぐさま切り返した。「お母様のせいよ。私は産みたかった。でもお母様が私たち夫婦の間に割り込んできた。夫婦二人っきりなんか10年なかったのよ。もし産んでたら、あなただけじゃなく、きっと子供までお母様に取られてたわ。自分の子供は守りたかった。だから産まなかった。その辛さがあなたに分かるの」。澄子は離婚届を破り、外へ飛び出して行った。

 その頃、暁(天海祐希)のマンションでは、暁の母・ゆり子(長内美那子)の快気祝いが、昌美(佐藤藍子)や星児(田中碧海)、日菜子(西山繭子)、淳哉(合田雅吏)らを集め賑やかに開かれていた。淳哉は星児の世話をこまめに焼いている。そんな中、星児の服を取りに行った暁は、急に襲ってきた胸苦しさに倒れそうになった。淳哉だけがそれに気がついた。暁は、息を整え、淳哉に誰にも言わないように懇願するのだった。

 桐吾はとうとう、映通エージェンシーを辞めることにした。佐古田部長(田山涼成)は愛憎入り混じりつつ「未練はないのか」と訊く。桐吾はきっぱりと「ありません」と答えるのだった。家に戻ると、桐吾にはサエの世話が待っていた。サエはしきりと澄子のことを気にする。桐吾は、今二人きりだと寂しく答えるだけだった。

 暁は、自分の病気について昌美に打ち明けた。「これから先、星児のそばで見守っていることさえ出来ない」。相当な重病なのであった。

 桐吾のもとへ心配した甚(勝村政信)が遊びに来た。桐吾は在宅の仕事をしながら、サエの面倒をみていくと言う。甚は澄子について「お袋さんに負けるのが嫌なんじゃないか」と想像する。桐吾は、澄子に苦労をかけたことを認識しつつも「お袋を見捨てられない」と決断を語るのだ。

 その澄子は、恭介(玉山鉄二)の部屋に転がり込んでいた。恭介に妊娠のことは告げていなかった。だが、つわりの症状が出て、恭介に気取られてしまった。澄子は、悲しげな目をして荷作りを始める。「あなたには子供まで引き受ける覚悟はないでしょう」。恭介の子供だったのだ。

 「私、とんでもない女でしょ」

 恭介は澄子を抱きしめた。

 「君は普通の女だ。寂しがりやで愛されたいだけの」

 二人はきつく抱き合うのだった。

 暁は大学病院で診察を受けた。すい臓の悪性腫瘍である。暁はその夜、星児をベッドに連れて行こうとし、星児が寝言で「・・パパ」とつぶやくのを聞き、深く胸を衝かれてしまう。

 澄子が恭介を連れて桐吾の家に戻って来た。澄子は桐吾に離婚届を差し出す。恭介が澄子の子供が自分の子供であることを言う。桐吾は認めるしかなかった。澄子は言う。「私の10年分の苦しみのツケを払ってもらうつもりだった。でも、今は恭介君との時間が楽しいの。自分のままでいられるの」。と、中から車椅子のサエが飛び出してきた。桐吾が説明する。サエは茫然自失する。澄子は罪悪感と哀れみの気持ちを抱きつつ工藤家を後にした。

 その頃、暁の部屋に淳哉が訪れていた。淳哉は多額の退職金を暁に渡し、籍を入れて星児の面倒をみさせてくれと申し出る。

 暁は、桐吾のことに思いを馳せ、連絡を取ろうとする。だが、会社も携帯も連絡が取れない。とうとう家に行くが売家になっている。ふと後ろ見ると甚も呆然と立ちすくんでいる。甚もまったく行方が分からないと言う。澄子のことも聞いた暁は動揺する。同じ頃、桐吾は海辺の一軒家で物思いにふけりつつ荷物を開いているのだった。

 昌美と星児が待つ部屋に戻ってきた暁は、緊張が解け倒れ込んだ。そのまま入院。暁は昌美に「桐吾さんに会いたいの」と白状する。昌美は「お姉ちゃんも苦しんだ。私は許す」と涙ぐむ。

 暁の友人たちは、桐吾探しを始めた。とうとう淳哉が甚たちから居場所を聞き出した。ゆり子に後押しされ、暁は桐吾を訪ねることにする。

 桐吾が家の外で作業をしていると、遠くに暁と星児の姿が。星児は「パパ!」と叫び桐吾の胸に飛び込んできた。暁は、再びアメリカに渡ると言う。「最後にお礼が言いたかった」と。しばらく海辺や桐吾の新居でくつろぐ「親子」。暁は病のことは話さず「あなたは生まれて初めて・・・・・・最初で最後の・・・・・・」と言葉少なに、桐吾への熱い思いを打ち明けた。

 暁と星児の二人は、夜になって桐吾の家を去った。桐吾は、これまでの暁や星児への気持ちが思い起こされ、思いが高ぶり、二人の後を追いかけた。だが、海岸の道で見つけたのは、倒れている暁と取りすがり泣いている星児であった。病院で昌美から病気のことを聞いた桐吾は、暁に「俺がずっとそばにいる。星児は引き受ける。もう離さない」と約束する。

 しばらくして、海岸を散歩する桐吾と暁。暁は静かに安らかに逝った。星児が駆けて来る。桐吾はしっかりと星児を抱きしめるのであった。


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