<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回>
 外資系デパート『ラファエロ』出店の件も落ち着き、碧(今井美樹)は新作バッグの発表会の準備へと気持ちを切り替えていた。だが、新興ブランド『アンジェロ』の攻勢は続いており、雑誌のページ数も『ディオン』は不利な状況にあった。一流のもの同士がこんな戦うようなことをずっと続けていくことが良いとは思えない碧。だが碧の協力もあって、すっかり自信を取り戻した堀口(吉田栄作)は、碧にあらためてプロポーズ。さらに『アンジェロ』への報復に乗り出すという。一方宗一朗(市川染五郎)は堀口から碧にプロポーズしたことを聞かされ、未練があるならもう一度戦線復帰しては?と言われ、一度は断ち切った碧への思いを押さえられない自分に気づくのだった。

<第8回>
 その朝碧(今井美樹)はオフィスで、『アンジェラ』が新作バッグ発表会を『ディオン』と全く同じ日、同時刻にぶつけてきたことを報じる新聞を堀口(吉田栄作)から見せられた。場所はフランス大使館、世界に名だたるスーパーモデルをゲストに呼んでの大イベント。
 そしてあちらがモデルならば、『ディオン』としてはデザイナーのガルニエを呼び寄せることになった。由里(佐藤藍子)たちプレスは、この情報を流し各社ベテランの記者を呼び寄せることに動き始める。各社の反応は上々だった。編集長クラスの出席を『アンジェラ』から『ディオン』へと変更しはじめたのだ。
 だが碧は、勝負のような感覚でショーが行われることに不満だった。「ものを作る会社なのよ、そのことで勝負すればいいじゃない」と。しかし堀口は、「そんなことを部下の前でいうこと自体お前の限界だし、ビシネスはきれいごとじゃない」と反論した。
 二人のやり取りを聞いていた宗一朗(市川染五郎)は、堀口に「人を好きになるというのは、その人のことをまるごと受け入れることでは・・・」と言い、堀口は碧の甘さも指摘してやること、それが自分愛し方だと言うのだった。
 数日後、碧はある編集部で『アンジェラ』の万里子(筒井真理子)と出くわした。実はこの時『アンジェラ』はスーパーモデルの来日が急病でキャンセルされていたのだ。旗色の悪くなった万里子は、悔しそうな表情で敗北宣言をすると、発表される予定のバックを碧に見せた。だが、この時見せられたバックの素晴らしさは碧の心を完璧に揺らした。万里子も自分の社が作り出す製品を愛していることに変わりはないのだ。
 碧は、その晩公園で偶然出会った宗一朗にその気持ちを伝えた「だったら時間をずらせばいい。プレスの責任者としてでなく、川島碧個人の意志で、あなたの良心がそうやれといってるのなら」。 
 しばらく考え悩んだ後、碧は意を決してオフィスにむかうと、時間変更のファックスを各社に流し始めた。“これは会社に対する裏切りかもしれない。でも私はこれをやるべきで、もしそれを受け入れてもらえなければ、私はここを去るべきなのかもしれない”と心で思いながら。

<第9回>
 碧(今井美樹)と宗一朗(市川染五郎)は、とうとうこれまで押さえてきた思いを捨て、気持ちを確かめあうことができた。翌朝、二人は別々に出社、オフィスで顔を会わせたが、碧は「会社ではけじめのあ
る態度で」と二人の関係を内緒にすることを約束しあうのだった。その直後、碧は遙子(江波杏子)の部屋に呼ばれ、バッグの発表会の時間を勝手に変更したことに対する処分を聞かされた。会が無事終了したこと、その後の弊害もなかったことの理由で「お咎めなし!」。ホットした表情を浮かべる碧に対し、遙子は「変わったわね、あなた。いろんな意味で」と言う。「これまで以上にいい仕事をしたい」。新たな決意をみなぎらせる碧は、その夜堀口(吉田栄作)に会い、預かっていた指輪を返した。堀口は二人のことを祝福し、親友としての忠告として、どんな誹謗中傷が飛び交うかもしれない世界、「くれぐれも会社では二人の関係は隠し通すように」というのだった。 
だがその夜、碧は、いつも立ち寄る公園で当然のように宗一朗に出会いそのまま宗一朗のマンションへと向かい、そこで宗一朗の帰りを待っていた由里(佐藤藍子)と鉢合わせてしまった。「神崎さんとは上司と部下だとおっしゃったじゃないですか!」。由里は碧を睨みつけながら
碧の家で哲雄と食事を取ることになった宗一朗は碧と付き合っていることを告げ、交際を認めてほしいと頭を下げるのだった。自宅のマンションに戻ってきた、宗一朗は丈太郎(平泉成)から、婚約披露を兼ね
た茶会を催すという連絡を受ける。婚約は親同士の勝手に決めたことだと思う宗一朗は、奈美子(北浦共笑)も当然同じ気持ちでいる思い、そちらから断って欲しいと切り出すが、奈美子は、「私も私自身のためにこの結婚を望んでいます」と始めて自分の気持ちを言った。
 数日後、ディオンオフィスに一枚のファックスが届いた。それには『ディオンの川嶋碧は自分の部下を男にしている』とい書かれていた。
由里の顔が瞬間青ざめた。以前訪れた編集部で、それとなく自分が話してしまったことが、こんなことになってしまった。という表情。オフィスも業界内もこの話題でもちきりとなり、碧はまたしても辛い立場置かれてしまうのだった。


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