<第10回> <第11回>

<第10回>
 碧(今井美樹)と宗一朗(市川染五郎)との交際発覚!の騒動もひとまず落ち着き、オフィスには以前と変わらずテキパキと仕事をこなす碧の姿があった。堀口(吉田栄作)は、そんな碧を見て宗一朗との交際が順調であることを知り、由里(佐藤藍子)も、雑誌用に『ディオン』と他社との製品をコーディネートさせるといった斬新なプレス案を打ち出す碧への信頼をますます高めていくのだった。
 ある日丈太郎(平泉成)は碧を家に呼んだ。宗一朗との結婚を考えているのか?跡取りを産んでくれるつもりはあるのか?・・・神崎家に入る決意があるのかと尋ねるために。奈美子(北浦共笑)が宗一朗のことを思い続けていることも聞かされ、碧は困惑してしまう。そこに息せききって駆け込んできた宗一朗は、激しく父のやり方を責めた。だが、丈太郎はどこまでも冷静に「なによりも家に入ってもらわねばなりません。そのためには仕事を辞めてもらうということです」と言うのだった。
 碧は、宗一朗と、そして神崎家と付き合っていくことの難しさを思った。一方、宗一朗は海道家の茶室で奈美子と対峙していた。奈美子は宗一朗の気持ちを察し、お茶と出会わせてくれたことを宗一朗に感謝し、これまでのことに礼を言い、自分が身を引く決意を伝えた。「申し訳・・・ありません」そうのが精一杯の宗一朗は、その時、奈美子の頬に伝わる涙を見た。
 数日後、宗一朗と碧は、激しく口論した。きっかけは「仕事を辞めて家庭に入ってもと考えたことはありませんか?」と尋ねたことだった。「今の私にそんな思いきりはない」という碧に、本当の自分でいることが大切だというその中に僕はいないのか?と詰め寄る宗一朗。そんな宗一朗に鋭い言葉でアドバイスする堀口。哲雄も神崎家を訪れ、丈太郎に会い父としての気持ちを伝えていた。
 その夜、碧と宗一朗はいつもの公園で会った。宗一朗は「僕がああいう家に生まれたことを除いて一人の男として見てくれるとしたら・・・結婚してくれますか?」とプロポーズのことばを口にしたのだ。

<第11回>
 バッグの発表会を独断で変更した碧(今井美樹)の行動が問題になり、遙子(江波杏子)はパリ本社へむかった。堀口(吉田栄作)から、事情を聞かされた碧は、「自分が正しいと思ってしたことも、こんな結果になってしまうのね・・・」と沈んだ表情を見せるのだった。その頃、宗一朗(市川染五郎)は突然倒れた父・丈太郎(平泉成)に変わり、休職してしばらく家元代理を勤めることになった。だが、あくまでも家を出る気持ちに変わりはない。丈太郎を見舞いに来た奈美子(北浦共笑)は、堅い決意の宗一朗を思い、「川嶋さんとのこと、許して上げるおつもりはないのですか?」と尋ねた。
 そんな中“女子高生がブランドのバッグ欲しさに援助交際で補導”のニュースが新聞に載った。一斉に騒ぎだすマスコミ。お金さえ出せば高級なものがすぐに手に入るという時代感覚を、どうすることもできないことに苛立つ碧は、その夜母が残してくれたブラウスを手にしてみた。
 結婚した翌年の誕生プレゼントとして父哲雄(宇津井健)が贈ったもの。しかし母はなかなか袖をなか通さなかったと話す哲雄。自分がそれを着るに見合う時が着たとき始めてそれを着たという母。碧はしみじみと母の愛した白い『ディオン』のブラウスを見つめるのだった。
 数日後、哲雄と碧は丈太郎から茶事に招かれ、神崎家にやってきた。
 宗一朗、奈美子も顔をそろえてた。同席している誰もが今日の茶事の意味を思い計る中、丈太郎は今日のために彫ったという茶杓を手にしながら口を開いた。「今日は息子の旅立ちを祈念し催したものでございます。本日を持って息子をこの家から出す決心をいたしました」。誰もがこの思いがけない発言に驚き耳を疑った。宗一朗は初めて父の心の底の気持ちを解るのであった。
 『ディオン』のプレスに取材陣が殺到してきた。先日報道された援助交際の事件で、女子高生が欲しがったのが『ディオン』のバッグだったというのだ。遙子の代理として記者会見の席につく碧。「あなたのことばで話せばいい」と宗一朗。意を決したように碧は記者会見の壇上に上がった。


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