あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「人生をリセット!さあ恋だ」
 その日その時、空港の到着ロビーは瞬間華やかな美のオーラに包まれた。スレンダーなボディをゴージャスなブランド服で包み、いあわせた男性たちの視線を釘付けにして颯爽と歩いていく女性の出現によって・・・。そして、その女性は空港から駅から人々の視線を身にまとい続け、ようやく自宅のある下町へとたどりついた。
 「ただいまー!」女性は緊張感を解き放つかのように持っていた荷物をドサリと投げ放つ。だがその声に反応して出てきたその家の次女・成美(虻川美穂子)も、父・純一も母・ルリ子も、その女性が一体誰なのか理解するのにしばし時間を要することになった。なぜなら、そこに立っていたのは、798万2562円をかけ海外で全心整形を施し美しく生まれかわった早乙女家の長女・保奈美(米倉涼子)だったのだから・・・。
 「つぎはぎみたい・・・」「一生そのままなんだぞ」。当然のように批判の嵐は巻き起こった。だが、生まれてこのかたこの顔を持ったことで苦しんできた保奈美とっては、どんなに反対されても、どれほど金の無駄と言われても、こうすることが最良の手段に思われたのだ。だから実行した!
 すっかり変貌した自分を呆然と見つめていた幼なじみの運送屋の息子・竹田良平(加藤晴彦)に他言無用!ときつく口止めし、保奈美は、街へ飛び出した。新しい人生の再スタートとこれまでの人生へのリベンジとを心にきして。街では多くの男性が声をかけてきた、当然モデルのスカウトマンも接近してきた。保奈美は迷わず新しい職業を即決した。大胆不敵!?なところは見た目は変わってもかわりはない。途中、花屋で見掛けた販売員らしい男性が百円を落としたまま行こうとしたのを見て、思わず「お金を粗末にしちゃダメっ!」ととがめたりした。なりふり構わずのこんな愛すべきな一面も、やっぱり変わってない。そして、この時出会った“花屋の店員”は、美しいだけじゃない保奈美の姿が新鮮で、実は心奪われていたりもしたのだ。だがここで保奈美が出会った男、実は花屋の店員ではなく、全国に五万人の門下生をもつという生け花『藤島流』の次期家元・藤島流翠(椎名桔平)であった。継承披露式を間近に控えて母・紫乃(市毛良枝)ら関係者の期待を一心に集める存在。もちろん保奈美はそんなことなど知るはずもなかったのだが・・・。  その日、保奈美はリベンジのターゲットの銀行マン・矢島正(谷原章介)をその美貌を武器にまんまと食事に誘わせることに成功していた。
 だがすっかり変貌している保奈美の本当の正体に矢島は気付く様子はない。それどころか、現在恋人で保奈美の友人エリ(菊池麻衣子)の悪口はいうわ、どう考えても過去の保奈美の逸話としか思えないことをしゃべりまくるわで・・・聞くに耐えない。我慢の限界を越えた保奈美は、「ナメんなよっタコッ!」と言い放つと呆然とする矢島を残し店を後にしてしまった。
 実はこの時、偶然にも店には後見人の娘・夷手原葵(青田典子)と食事をしていた流翠がいて一部始終を目撃していた。
 数日後、保奈美はモデル仲間の一咲(小西真奈美)に誘われてあるパーティーにやってきた。華やかにきらめくシャンデリアに、着飾った人々、憧れのセレブの世界に足を踏みいれた喜びに思わずガッツポーズ!の心境。 だが、一咲からそこで始めて聞かされたこのパーティーの意味と本日の主役の姿を見て保奈美は思わず目を見張った。
 『藤島流継承披露パーティー』。中央の壇上にはそれまで花屋と信じていた男性、実は新家元で一咲の兄という流翠の姿があった。

<第2回> 「恋の為なら心も整形」
 藤島流翠(椎名桔平)に惚れてしまった保奈美(米倉涼子)は、さっそく藤島流の門下生となり流翠への接近を開始する。そんな様子を見た父・純一(小倉久寛)は、「幾ら美人といっても所詮作り物、万が一バレてしまえば詐欺になる」と諭し、本当の保奈美を知る良平(加藤晴彦)も興味もないのに男をつかまえたい一心での思い付きの行動はセコいと非難する。だが、その美貌からくる自信は”流翠を捕まえる!”という目標を簡単にかえるはずもなく、保奈美は足しげく藤島流会館へと通うのだった。
 一方流翠は、そんな保奈美のことには気付いてはいながらも、目前に迫ったある”大きな仕事”のことで頭が一杯だった。その時のために自ら生ける花のことなどを、後見人・夷手原(久保晶)とその娘・葵(青田典子)とも打ち合わせしなければならない。そして、結局その席で使用する花は、藤島流の伝統の花「なでしこ」が選ばれることになるのだが・・・実は、その花とは、先代の父が好きだったものであり、父を憎む流翠にとっては忌み嫌っていた花であったのだ。しかしそれは他ならぬ夷手原の指定したもの。その日から、今は季節外れで手に入れるには困難の「なでしこ」探しが始められた。
 その頃保奈美は、妹・成美(虻川美穂子)がセッテングした合コンに、わざと矢島(谷原章介)を呼ぶなどして、かつての「借り」を返すことなどをやっていた。だが、そんな中でも偶然を装い藤島会館へ出没していた保奈美は、偶然にも「なでしこ」のことを耳にした。しかも、それは事実とは違う、流翠が好きな花だとして。そして、その日から保奈美の「なでしこ」探しも開始されたのだ。流翠の気を引きたい一心での、山へ出向き谷を駆けずり回り、そして良平をも巻き込んでの壮絶な「なでしこ」捜索が・・・。そして、遂にその手に「なでしこ」を手に入れた保奈美は、流翠に両手一杯の「なでしこ」を差し出したのだが。保奈美の苦労を感じとりながらも、流翠は「なでしこは実は哀れな花・・・好きではないが必要な花・・・」というのだった。事情を知らない保奈美は、どんな事情であれ、なでしこの凛として咲く姿は素晴らしいし、一人のために咲き続けるなんて逞しくなければできない!と言い放つとその場を去るのだった。
 数日後の日曜日。保奈美は、一咲(小西真奈美)が風邪をひき仕事を休んだと聞き、見舞いに行くことにした。ヌカ味噌に漬けたネギという特製の風邪クスリを手に。だが、人に聞きやってきた一咲がいるはずというその場所に行ってみると、そこには流翠に紫乃(市毛良枝)、一咲。そして夷手原、葵とその母・頼子(木村翠)らが静粛な雰囲気の中に対峙していた。「・・・?」。一体何が行われているのかもわからない保奈美が興味ありありで障子の影からその様子を伺っていると・・・次の瞬間、障子が開けられてしまい・・・・・・。

<第3回> 「日本一の調子コキ女、超失恋」
 思いもよらなかった流翠(椎名桔平)からのキス!以後、保奈美(米倉涼子)は有頂天!すっかり心は恋人気分で流翠との結婚まで想像してしまう始末。純一(小倉久寛)もルリ子(柴田理恵)も成美(虻川美穂子)も呆れるばかり・・・。「恋人というなら家族に紹介しろ」と迫るが、逆ビジュアルの家族を見せるわけにはいかない!と保奈美は、家族をソデに。
 だがそんな保奈美も、「もし赤ちゃんでもできればバレることは確実」と良平(加藤晴彦)に言われた時はさすがにショックを受けてしまうのだった。しかし、その程度で簡単にはへこまないのが保奈美の凄いところ。相も変わらず流翠の前に現れては「二人のことはオープンにはできないんだよね・・・だったらせめていつも小難しい顔ばかりしている花屋(=流翠)を笑わせてあげるぐらいのことはできるから!」などと無邪気にいい、自分の携帯番号を勝手にメモリしたりするのだった。
 数日後、仕事中の保奈美に“この間はきちんと話しができかった・・・もう一度会って話しを・・・”とのメッセージ付きのバラの花束が届いた。流翠からのものと直感した保奈美は喜々として、約束のホテルに出向くのだった。
 その頃、藤島家ではいくつかの問題が持ち上がっていた。
 紫乃(市毛良枝)の元に、流翠の身辺整理をしてほしいと夷手原(久保晶)が言ってきたのだ。紫乃は、藤島内での揉め事のこともあって、葵(青田典子)との結婚を早めてはと思いはじめていた。だが、これに真っ先に反対したのが一咲(小西真奈美)だった。葵のことがどうしても好きになれない一咲は、「一緒に住むなんて絶対にイヤ!」と結婚そのものにも反対だという姿勢を見せると、そのまま家を飛び出していってしまった。そして、なんと良平のもとに身をよせたのだった。
 一方、メッセージにあったホテルで流翠のやってくるのを待っていた保奈美は、ベルを鳴らしやってきたその男を見て呆然と立ちすくんでしまっていた。「何でッ!何で?」


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