<第10回> <第11回><第10回> 「愛の逆転ゴールのため・・・元の顔に戻ります」
流翠(椎名桔平)と別れ、整形という事でモデルの職も失った保奈美(米倉涼子)は、良平(加藤晴彦)の運送屋で働き始めた。紫乃(市毛良枝)の葬儀にも迷惑がかかるからと足を運ばず、四十九日にも行かなかった。これまでのことはすっかり忘れ気持ちをすっぱり切り替えるつもりなのだ。
だが、流翠の方は悩み苦しんでいた。整形女との交際がスキャンダルとして報じられ、それを読んだ幹部が「失われた信頼をどうやって取り戻すつもりだ!」と迫ってきたのだ。「葵(青田典子)との結婚で噂も消えるし、実績で示せばいい」夷手原(久保晶)はそう言ってかばい、近く行われる華道展で家元としての実力を示せばいいといった。
だが「それ相応の結果が得られない場合は、藤島を解散し、師範と生徒を譲り渡して欲しい」と幹部たちは流翠に激しく詰め寄った。
しかし、花を手にするものの流翠は満足のいく作品を作り出すことができずにいた。唯一血を分けた一咲(小西真奈美)でさえも家を出たままホテル住まいを続けている。携帯電話を手に取った流翠。保奈美の番号を一度は目にとめたが、一咲の番号をダイヤルすると戻ってきて欲しいと告げるのだった。
その後、流翠の元を純一(小倉久寛)とルリ子(柴田理恵)が訪れた。二人は保奈美のことで迷惑をかけたことを詫びつつ、保奈美があなたを好きだった気持ちは真実だったことを分かってやってほしいと言うのだった。
それからしばらくして、今度は保奈美がアトリエに流翠を訪ねた。どうしても納得した花が生けられないと話す流翠は鋏を捨てて欲しいとさえ言う。だが保奈美は、私たちは互いに自分が見えなくなってる、でもどうしたって自分は自分でしかない、ありのままの自分を受け入れたら楽になれるはずと言った。その後、流翠は、花菖蒲という生けたい花を用いた生けたい作品を完成させ、華道展を迎えることができた。
流翠にとっては運命の日。そして保奈美にとっても、その日は大変な意味を持つ運命の日になろうとしていた。スーツケースを持って家族にしばしの別れを告げた保奈美の向かった先は成田空港。そして、その胸の内には家族と良平を唖然とさせたある決意が密められていた。<第11回> 「サヨナラ!大丈夫、きれいの秘密がある」
少し前に見た異国の街角に保奈美(米倉涼子)は再び降り立っていた。流翠(椎名桔平)から「今の君を受け入れることはできない。俺は藤島家のため生きる」と告げられた後、保奈美はとうとう決意してここにやって来たのだ、自分を美しく変えてくれた異国の地に。ここでもう一度昔の自分に戻ることを決めて。良平(加藤晴彦)は、まもなく手術を受けることになる保奈美に電話で、「帰ってきたらオレとマジで結婚しない?」とプロポーズ。「このチャンス逃したら一生後悔すると思うけど」。受話器を握りしめ保奈美はただ黙って良平のことばを聞いていた。
その後、保奈美のもとを突然流翠が訪ねてきた。だが期待して喜びに溢れた保奈美の表情は、「俺のために戻ろうとしても遅い、オレには捨てられないものがある」という流翠のことばに瞬時にして曇ってしまうのだった。それでも精一杯の思いで「私、元に戻る!だから私を迎えにきて!」と叫ぶのだった。
一咲(小西真奈美)は、まだ葵(青田典子)との結婚を認められずにいた。家も出たきり戻るつもりはなかった。だが、そんな一咲に良平は、「本気でお兄さんを好きならお兄さんのしあわせを一番に考えてやれっ」と諭すのだった。
これをきっかけに一咲は、流翠の元に戻り花を生けていく決意を伝えた。そしてこの時ようやく母から預かっていた手紙を兄・流翠に手渡した。おそらくは死を覚悟して書かれたと思われる文面には、藤島を守らんがために流翠と一咲を苦しめたこと、そして愛など一時のまやかしに過ぎないと家を選んだ自分の選択が正しかったのか・・・ということがつづられていた。そして「・・・求め続ける思いさえあれば、きっと・・・ 後悔のない人生を送る事を願っています」そうくくられた手紙を読み終えた流翠にはある覚悟がされたのだった。
そして、流翠の結婚式当日。流翠は、まずは幹部たちにこの日のため生けた花を見てほしいと豪華絢爛なマリッジフラワーを披露。感嘆の声を集めた。だが、実はそれらはすべて造花だったのだ。流翠のこの行動の真意には何があるのか、唖然とする一同・・・。
良平は小さな教会で保奈美を待っていた。流翠の結婚と同日同時刻に、この日帰ってくる保奈美を待つ良平。全く同じ日を選んだ本当の意味とは・・・。その頃、早乙女家では純一(小倉久寛)、ルリ子(柴田理恵)、成美(虻川美穂子)が帰国した保奈美を迎え全員が驚愕し、言葉を失っていた。