あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「怒りの原点!明かされた保険のワナ」
 充ちる(岡本綾)に連れて行かれた老人施設で、小塚(植木等)から「まつばを潰す」と、決意を聞かされた白戸(長瀬智也)は、びっくり。「そんなことできるはずない」と躊躇の表情を見せると、小塚は「もう僕のところにいる必要ない。独立しなさい」と、寂しそうに、半ば冷たく、言うのだった。
 充ちるは、株取引にはまる白戸に不安になっていた。やっと取り付けた白戸との久しぶりのデート。約束のカフェで白戸を待つが、白戸は現れない。白戸も待ち合わせ場所に向かっていたが途中、「まつば銀行を許すな!相続保険の会」のビラを受け取り、「相続保険?確か、ジイちゃんが・・・」と興味を持ち、集会に顔を出していたのだった。
 集会で、白戸は以前まつば銀行で、山崎(原田泰造)に、かみつき、リストカットしようとした美幸(真鍋かをり)に出会った。美幸によると、まつば銀行は、相続税のためにと、相続保険なる金融商品を開発、高額の保険料を取って加入させ、それも、保険料は、土地家屋を担保にして、まつば銀行が貸付、その金で株式投資。しかし、バブル崩壊で、株は紙屑同然になり、加入者には、まつば銀行への借金だけが残ったという。「なぜ判子なんか」「何か手はないのか」。話を聞くうち白戸は、ムラムラとしてくるのだった。  白戸が美幸から話聞いている間にも、山崎は被害者と称する一人ひとりを、脅し、すかし、あの手この手で籠絡していた。損することもあるとパンフにはあり、判子を押した加入者にも落ち度はあった。
 デートの待ちぼうけを食わされた充ちるは、蒔田(松重豊)に励まされはしたが、心の中では、両親の奨める見合いをする気になっていた。
 白戸は、辰美(小日向文世)と、とあるバーで待ち合わせ。辰美が来る間にかかった充ちるからの携帯電話で、充ちるが、国に帰って見合いすることを知った。白戸も、小塚の所を辞めようと思うと充ちるとやり取りしていると、店の奥から遥を連れた山崎が現れた。「貧乏人から金をむしり取り、自分たちは銀行の金でデートかよ」。白戸はムッとする。
 数日後、白戸はテルコ(八千草薫)から、小塚との関係を聞かされ、小塚とテルコ、テルコの夫との強い絆を知るのだった。辞めるため、小塚の所へスーツを返しに行った白戸は、辰美から相続保険がいかにテルコの人生を狂わせたかを聞かされた。美幸、テルコ、小塚の闘い。考えるうち白戸の中に闘志がみなぎってきた。
 白戸が相続保険の会の集会場に行くと、山崎の切り崩しに合い被害者の姿はなく、不安そうな美幸、小塚が、弁護士を引き連れた尊大な山崎が対峙していた。その山崎にぐっと近づいていき、白戸は「許せない!」と山崎に“宣戦布告”するのだった。

<第8回> 「奪われた家・土地そしてばあちゃんの命!」
 「家を売り払う。早く立ち退け」。美幸(眞鍋かをり)は、まつば銀行から送られてきた「競売」通知書を白戸(長瀬智也)に見せながら「抵当権は向こうだから仕方ないのかな・・・」と困惑の表情。側で、祖母の八重(花原照子)が、二人のやり取りを、拭き掃除しながら心配そうにうかがっていた。
 山崎(原田泰造)は、まつば銀行が表にでないよう、関連の債権回収会社を使い、木本家との和解=木本家の追い出しを図ってきた。相続保険の会を解散させた山崎は、上司の前でも自信たっぷり。
 相手の情報が何より大切と、白戸と遥(長谷川京子)は、それぞれ小塚(植木等)、山崎の密命を受け、デートを装った腹のさぐり合いを始めた。「充ちる(岡本綾)には黙っていて」と白戸は小塚に頼み、とあるバーへ。そこで二人は、会話のないままマティーニなどカクテルをぐいぐいあおるのだった。本心を相手に探られないためだったが、ついに遥は気持ちが悪くなり外へ。そんな遥の痛々しい姿に白戸は「じいちゃんが頑張るのは、大事なもの傷つけられたからだ」とポツリと話す。
 数日後、白戸が美幸を訪ねると、美幸は、「競売の異議申し立てをする」と意気揚々、しかし、白戸は「そのためには大金が必要なんじゃないの」と心配げ。
 まつば銀行関連の債権回収会社の社員らが、まつばの関根(近藤芳正)と共に木本家にやってきた。「預金を差し押さえた」と言い、「ウソだと思うなら、ATMで下ろしてみたら」と憎々しげに言う男たち。「そんなことできるのかよ!」と白戸は小塚に食いつくが、小塚は「奴らの常套手段。もっともっとやってくる」と言い出し、白戸はどうしたらいいのか分からない。
 小塚の予想通り、今度は木本家に、下見と称して山崎は、不動産会社を送り込んできた。「駐車場にしようか、アパートにしようか」。そんな不動産会社の話を聞くにつけ、祖母・八重には、家を売らねばならないことを隠し、なんとかしようとしている美幸は、腹立たしくなってきた。
 充ちるの寂しさを知りながらも、白戸は美幸の力になろうとしていた。美幸に頼まれ、八重と留守番していると、八重が、いつものように、不格好なゆで卵をくれ「ここは、お父さんが生まれ育った家。関東大震災も、東京大空襲も・・・」としんみり話し出し、白戸は一層力になろうと思うのだった。
 数日後、債権回収会社と不動産会社の男たちがそろって木本家にやってきた。「早く出てってよ」という男たちに「わかりました・・・」と美幸が言った直後だった。ふすまが開き辰美(小日向文世)が「下宿人です」と現れ、続いて蒔田(松重豊)、白戸らが、次々に下宿人と称して現れ、男たちを取り囲んだ。「なんだ!てめえら」と、すごんでいた男たちも、次第にショボン。小塚に知恵を授けられ、白戸が仕掛けた簡単には立ち退かなくてもすむ「短期賃借権登記」という対抗手段だった。
 それを聞いた山崎は単身、木本家に乗り込んできた。間が悪く、八重一人しか居ないときだった。

<第9回> 「失われた思い出・・・哀しみのダンス」
 「ばあちゃん!なんで?」と白戸(長瀬智也)が、美幸(眞鍋かをり)の祖母・八重(花原照子)の葬儀で、悔しさをかみ殺していると、「火が出る前、まつばの封筒を持った銀行員らしい男が出てきたのよ」と話す参列者の声が耳に入った。「いったい誰」と思うが、白戸は、ただただ涙がこみ上げるばかりだった。
 そのころ、まつば銀行桜台支店では、山崎(原田泰造)が、関根(近藤芳正)と遥(長谷川京子)に、八重の葬儀に出るよう命じる一方、涼子(秋山菜津子)に、実は、まつばが、世界第2位のウインザー銀行と合併、世界第1位を目指していることを打ち明け「だから、相続保険のような、イメージダウンにつながることは早急に処理しなければならない」と話していた。
 葬儀場にやって来た、関根と遥は周囲からの恨みを込めた視線とともに「帰れ」「ペテン師」など罵声を浴び、かしこまるしかない。そんな2人に、美幸は焼香盆の灰を浴びせ「最後に家に来たのはどっち」と聞く。身に覚えのない2人が黙っていると「あいつか」と美幸は山崎を思い浮かべたよう。遥の中に「うちの銀行は、いったい何を?」と疑問が広がるが、そのことを、関根に聞くと、関根はしゃがみ込み嗚咽し始めた。
 八重の自殺もあり、いよいよ小塚は、まつばを潰すためのトリックを始めた。白戸は市場に出回るある会社のクズ株を全部買うよう支持され証券会社へ。白戸らが忙しく動き出し、誰にも相手にされない充ちる(岡本綾)は、寂しくなるばかり。
 灰をかけられて戻った関根と遥に山崎は「借りたことも忘れ、銀行を悪者にする。よくあること」とケロリと慰める。そんな山崎に遥が「木本さんの所へいったことがあるか」と聞くと、「あるわけない」と答える山崎だが、遥はどうも信じられない。
 テルコ(八千草薫)の病状が悪化した。「しっかりしている時と、記憶が混乱してしまう時があり、それが特徴です」と言う医師に、小塚は、「早く、まつばを潰し、敵を討たねば」と思いを新たにし、無言で医師の言葉をかみしめた。
 白戸は久しぶりに遥とバーで会った。灰をかけられた現場も見ている白戸が「この仕事続ける気?」と聞くと遥は「仕事だから・・・」とポツリ。話しているうち、遥が涙を落とすのに白戸は気づいた。遥も銀行の仕事について、何かを感じ始めたよう。
 八重の死をきっかけに、再び相続保険の会が動き出した。その集会に山崎は包帯で腕を吊り、いたいたしい姿で現れた。昨夜、銀行を出たところで、美幸と言い争いになり、歩道橋から落とされたと話す。山崎のそんな姿に、会の面々は、糾弾しようと集まったのだが、言葉が出ない。
 山崎のけがは大したことはなかった。平然とウインザー銀行関係者に会い、合併話を進める山崎の元へ、「80億円損した」と連絡が入った。経過を聞き、山崎は小塚の仕業とピンときた。これすら公になればウインザーとの合併はおじゃんになるかもしれない。苦虫を潰しながら香港の部下に、「損を誤魔化せ」と山崎は指示するしかなかった。
 この後だった。小塚と白戸は、ダンスをして機嫌の良いテルコだが、その病状が更に悪化したのに気づき、愕然とするのだった。


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