あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「夢を買うなら、株を買え!」
 2001年7月、預金総量80兆3000億円、世界第3位のまつば銀行本店に2人の男が向かっていた。一人は入社試験面接を受けようとする白戸則道(長瀬智也)、もう一人は90年入社、切れ者で通り、香港支店からある目的のために呼び戻された山崎史彦(原田泰造)。
 白戸が面接を受けている時、頭取室では、呆然とする頭取・稲垣(神山繁)らをよそに、山崎が香港支店と携帯電話でやりとりしていた。「ドルが上がるぞ!」「60銭の買いは何本」「よっしゃ10億のもうけ!」。真剣にやり取りする山崎を、稲垣らはただあ然として眺めるばかりだった。一方、白戸の面接は、緊張のあまり、散々なものだった。  結局就職が決まらなかった白戸はスーツを捨て、バイトとパチンコで食いつなぐ生活をしていた。
 2002年4月、バイト先に幼なじみの充ちる(岡本綾)が遊びに来た。なかなか定職に就かない白戸に対し「真面目にしなよ!」と叱咤するが、「サラリーマンは向いていない気がする」と取り合ってくれない。それどころか「1万円貸して!」と言い出す始末。しかしそんな生活に、白戸自身も嫌気が差していた。自分が何者なのか、それすら分からない。自分に何が出来るのか、何をしたいのか・・・、そんなことを考えながらただダラダラと生きていた。あの人に出会うまでは・・・。
 パチンコの帰り道、何やら人だかりが出来ていた。居酒屋の店長が、チンピラたちに絡まれていたのだ。白戸も野次馬に加わり騒動を見ていると、一人の老人が話しかけてきた。「ティッシュある?花粉症で。」持っていないと答えると、その老人はなんと人垣をかき分け、騒動の中へ入っていき、チンピラのネクタイで鼻をかんでしまった! 心配して一緒に人の輪の中に入ってきた白戸は、老人に謝るように言うが、老人はヘラヘラと笑って全然謝る気配はない。更に近くに止まっていたリムジンからボスと思われる不気味な大男が降りてきた。「最悪!!」と白戸が感じた瞬間、その男は老人に向かい「失礼しました」と頭を下げた。白戸はじめ集まった人たちは全員「!」。「いやぁ、楽しかった!」と笑い飛ばす老人。「ねぇ、白戸君」となぜか白戸の名前まで知っていた。この老人が小塚(植木等)だった。運命的な出会いをしたこの日を境に、白戸の世界は変わっていった・・・。
 小塚は、パソコンがある簡素な部屋に白戸を連れていき、雇いたいという。「なんで俺なの?」白戸は首を傾げるばかり。小塚はおもむろに電話を取り「シンメイ食品、10万株。買いで。」など話すが、白戸は何のことかさっぱり・・・。
 何がなんだかわからないまま、白戸は小塚に早速ティッシュなど粗品をもらってくることと、小切手を現金化してある場所に届けることを頼まれる。
 そのころ、まつば銀行桜台支店では遥(長谷川京子)や宮前(卜字たかお)らが、香港支店から転勤になった山崎について「これまであげた利益が420億円以上だって」「20年後の頭取だって」など噂していた。そこへ山崎が「遅くなりました」と登場。「おっと」と、すぐ携帯電話を取りだして取り引きする山崎。かと思えば、数字を根拠に、長年の顧客の融資を止めてしまう山崎。そのテキパキさに、遥らは圧倒されるばかり。
 白戸が換金した現金は2億円だった。こんな大金を見るのも持つのも初めての白戸。周囲を見渡すとこの金を狙っているような2人組に気づく。なんとか二人を巻き、届け先に着くと、そこには先日パチンコ店で知り合った男・辰美(小日向文世)が麦藁帽をかぶり土作業をしていた。なんと辰美が、小塚から届けるよう頼まれた現金の受取人で、やくざのボスらしい。
 小塚のところに戻った白戸は「冗談じゃないっすよ」と毒づくが、のらりくらりの小塚に、どうも取り込まれてしまったよう。
 白戸は小塚に株を買うように言われる。「資金は出す。銘柄は決めろ。もうけは君にやる」という小塚。白戸は何がなんだか分からず、まつば銀行の株を買う。買った途端にまつば銀行の株は上がり、証券会社から「今売れば600万円のもうけ」と電話が入るが、そこへ父危篤の知らせが入る。すぐ父親のもとに向かう白戸に、証券会社からは「株が下がり、損が大きくなっている、2000万、3000万」との知らせが次々入るのだった。
 久々に父にあった白戸。資金繰りに奔走して出た軽い疲労と聞き白戸はホッとするが、そこへ証券会社から株が値上がりに転じたという。400万円のもうけが出たところで売った白戸だが、ちょうどその時、父が息を引き取っていた。
 父は400万円の借金返済に迫られ死んだ。一方、電話でちょっと話して400万円俺は手に入れた。なぜなんだ?こんな世の中おかしい・・・と迷う白戸に小塚は「コツコツ働くのはいい。だが、現実にマネーの世界はたえず弱者を飲み込みながら生き続ける。君も飲み込まれる一人になるか。その前に戦ってみたらどうだ?」と迫るのだった・・・。

<第2回> 
 「小塚経済研究所」の名刺を見ながら「何か怪しくない?」と心配する、充ちる(岡本綾)に、「世界がマーケット、朝から晩まで神経張りつめっぱなし・・・」と、胸を張った白戸(長瀬智也)だが、小塚(植木等)に命じられるのは、株価のチェックに、新聞を読むこと。暇を持て余す白戸は小塚に内緒で、小額ながら株取引を始めていた。
 「菊奴のエサを買ってこい」という小塚の指示を口実に、白戸は小塚宅兼会社を出て証券会社に向かっているころ、山崎(原田泰造)は、相続保険被害者の会が、まつば銀行を告訴という記事にうろたえる行員をたしなめていた。そこへ、まつば香港の美紀(金子さやか)から、フランスの企業グループが日本の大手百貨店の経営に乗り出しそうという極秘情報が入った。久々のビッグチャンス!と判断、山崎は「できるだけ買い集めろ」と、美紀に支持した。
 少々の儲けに大声で喜ぶ白戸は証券会社の窓口で「お兄さん景気がよさそう」と、美容学校経営者の愛子(中尾ミエ)に声をかけられ、500万円の運用を任せられる。そのころ小塚の家を充ちるが訪ねてた。アーミーナイフをいじる蒔田(松重豊)ら不審な男たちに充ちるはビクビクだ。
 白戸は愛子の500万円でゲーム機メーカーの株を買った。証券会社から「どんどん株は上がってます。さすが目の付け所が違う」と、お世辞も加わって、白戸に連絡が次々入る。有頂天な白戸を余所に、小塚は、成り行きで、山崎と同じ百貨店株を買いまくっていた。
 白戸は株が上がり、上機嫌の愛子の部屋を訪ねた。そこには愛子に入学生が少ないと怒鳴られる職員がいた。ふと部屋の隅を見ると、胡蝶蘭の花束にまじり、一本だけすずらんがあった。不思議に思う白戸に愛子は「別居する息子が私の誕生花を覚えていて持ってきてくれるのと」説明するのだった。
 ところが、一変してゲーム機メーカーの株価が下がり始め、愛子の態度も急変した。「あの金はあなたに貸したもの。株価の上下は関係ない。500万そろえて返してくれればいい」と白戸に迫ってきた。白戸に500万円なんてあるはずはない。ほとほと白戸は困りはて、まつば銀行に借りに行くが、山崎が出てきて「担保なし、保証人なし。到底無理お引き取り下さい」と冷たく、追い払われてしまった。
 ところが、白戸への融資は実行された。百貨店株がなかなか買えない苛立ちも手伝い「なぜだ」と怒鳴る山崎に「小塚という超大口顧客の知り合いで」と説明。山崎は「小塚?どこかで聞いたような」と、小首を傾げた。
 「助けてくれてありがとうございます」。小塚が保証人になって借りることができた500万円を前に白戸が小塚に頭を下げると、小塚は「値動きの出る面白い株がある。やってみるか、もう度胸はないか」と白戸を試すように語り始め「売り時は自分で見極めろ」と付け加えた。一か八か白戸は小塚が教えてくれた百貨店株を買った。
 そのころ、山崎は美紀からのなかなか買えないの報告に焦りを募らせていた。

<第3回> 
 白戸(長瀬智也)の株取引は一進一退。損を出すたびに小塚(植木等)に、詩吟のような説教を聞かされ、いささかウンザリ気味。やっと小塚から許しが出て白戸が買ったのは、大胆なリストラで利益が好転しつつあるアパレル会社“トゥモローズ”。このリストラで、山崎(原田泰造)のまつば銀行からも、トゥモローズは融資を受ける話も進んでいた。
 「会社見てきたの。株主なら見ておいた方が良い」という小塚の薦めで、白戸がトゥモローズに向かうと、美人秘書響子(木村多江)を連れた社長・大山(山路和弘)に、若い女性・ゆかり(京野ことみ)が、「なんでこんな目にあわせる」と迫り、響子にビンタする光景を見た。響子も負けじと、ゆかりにビンタの仕返しをしていたが、白戸がゆかりをファミレスに誘い話を聞くと、ゆかりは「あの社長は横暴。若い才能を摘み、許せない」と言い出す。「リストラで業績が好転、株価も上がりいいんじゃないの」という白戸に、ゆかりは「私は負けないから」とテーブルを叩き出ていってしまった。
 その日の夕食時、充ちる(岡本綾)の作った料理を食べながら小塚や蒔田(松重豊)辰美(小日向文世)らは、会社はだれのモノかという話に。「社長なんて雇われ者。持ち主は、株主だよ」という小塚らの話に、充ちるはびっくりする。
 翌日、白戸が再びアパレル会社を訪ねると、ゆかりが「社長解任」のビラを社員に配っていた。だれも受け取らないのを大山が社長室からニンマリ見ている時、まつば銀行では、山崎が「相続保険」の振り込み用紙を持って現れた男の処理にあたっていた。
 白戸が小塚の自宅兼事務所でパソコンでチャートをのぞいていると、辰美がぬっと現れた。びっくりした白戸が「仕事しろよ!」と怒鳴ると「突然現れるのが仕事」と意に介してない様子。そんな二人を余所に、小塚がトゥモローズの株主総会の案内を白戸に差し出した。見ると、ゆかりが提案者になった社長解任が議題として載っていた。「どういうことだ?」。白戸は、ゆかりから話を聞こうと飛び出していった。
 ゆかりは相変わらず会社前でビラを配っていた。ゆかりは議題提出権のある株式1%をどうにか集めたという。「そんな暇あったら仕事さがせば」という白戸に「あの社長許せないからよ。社長の不正を明るみに出す証拠もあるの」と、ゆかりは息巻く。
 案内状の社長解任議題が気になり、山崎と遥(長谷川京子)が大山を訪ねると「逆恨みなんです。1%の株主提案なんて3分で終わり」と大山は自信たっぷりに話すのだが、響子は白戸に接近、気があるように装って、白戸から、ゆかりが社長の不正の証拠を持っていることを聞き出した。そうとは知らず白戸はのんきに構えていた。
 「人を動かすのは数字じゃない人」と白戸に話した小塚は株主総会当日、「デート、デート」と充ちるに言って、どこかへ出かけていった。そして、白戸は株主総会会場へ向かった。いよいよ株主総会が始まった・・・。


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