あらすじ
<第4回> <第5回> <第6回>

<第4回> 「コドモの夢オトナの夢」
 高級老人施設に、小塚(植木等)がテルコ(八千草薫)を訪ねているころ、白戸(長瀬智也)は、遠い遠い親類の13回忌法要に出席していた。足のしびれを我慢しつつ、携帯の画面で株価の動きを追う白戸は、時折「また下がった」など、声を出し、周囲の顰蹙を買っていた。そんな白戸をじっと見つめる小学生の勇太(吉武怜朗)がいた。
 法要が終わり、白戸は勇太の両親から「小学生なのに株取引に関心を持ち困っている」と相談されたことから、株の恐ろしさを教えてやろうと、勇太を小塚の所へ連れていったが、話を聞くうち「この子と勝負してみろ」と小塚に命じられてしまった。「エッ!こんな子どもと?」と白戸は、憤然とするが・・・。
 まつば銀行では、不良債権の処理にあたる山崎(原田泰造)が、業績の悪化傾向が止まらない中堅医療用医薬品メーカーの書類に目を通し「君ならどうする」と遥(長谷川京子)に尋ねた。「研究費が、かさみこのままだと倒産です。融資は即刻中止」と言う遥に「その通り」と即決するが、このメーカーの筆頭個人株主に「小塚」の名前を見つけ「ちょっと待て」と言うのだった。
 2台のパソコンに向かい、白戸と勇太のデイトレード勝負が始まった。ちょっと株価が下がり直ぐ買いを入れてしまった白戸に対し、勇太はじっくり待ってすかさず買い。売場面でも、白戸は売ろうとするが、すぐに下がって売るに売れず、一方勇太はきっちり売り抜けしっかり儲けを出した。「株は先生に任せ、君は菊奴の世話係になりなさい」と小塚に言われ、白戸はがっくり。「一日十万」のノルマを小塚に課せられた2人だが、悠々クリアする勇太に白戸は四苦八苦。そんな白戸に充ちる(岡本綾)も、心配そう。
 数日後、白戸は勇太を裏切り両親に、勇太が手広く株をやっていることを告げた。すると、あれほど「株なんか」とけんもほろろだった両親が、勇太の儲けに感激、冷蔵庫は買い換えるや、社宅を出てマンションを買うんだと言い出してしまった。
 なぜつぶれそうな医療用医薬品メーカーの筆頭株主になっているのか、山崎が遥を伴い、小塚を訪ねてきた。「人を好きになるのに、理由はない」と空っとぼける小塚。山崎は軽くあしらわれ、銀行に戻り、「徹底的に、小塚と医療用医薬品メーカーの関係を調べろ」と遥らに命じた。
 パソコンでデイトレードする勇太が、近くの公園でバスケットする少年達をうらやましそうに見ていたのに気づいた白戸が「やろうぜ」と誘うと勇太は喜んで着いてきた。バスケットをする勇太はイキイキしていた。初めて白戸に子どもの表情を見せた勇太だった。
 医療用医薬品メーカーの株価が100円を切りそうな雲行きになってきた。額面割れの100円を切ると、融資が一切受けられず、事実上の倒産。株価は一気に下落する。この株をできるだけ安く買い、ポンと上がったところで売り抜けようと最後の勝負をする勇太に、白戸。そのころ小塚は、証券会社に出向き、職員の制止も聞く耳持たず、100円切れ寸前で買い支えを繰り替えしていた。

<第5回> 
 白戸(長瀬智也)が、充ちる(岡本綾)と共に、動物クリニックで、菊奴の状態を獣医から聞いているとき、山崎(原田泰造)は、大手電機メーカー興洋電器に、特殊技術を持つ中小メーカー日創電子の合併を勧めるため、黒芝の社長と会っていた。「社長の決断を!」と自信たっぷりに迫る山崎に、社長の気持ちも動いたよう。
 白戸は、動物クリニックで、中年女性の緑(高畑淳子)と知り合った。結婚25年、「関係はすっかり乾ききり、ダンナはキャバクラの若い女に入れあげている」とグチを聞くはめになった白戸だが、株で生活しているという白戸に、緑は「ダンナの関連会社が、近く合併するらしいの。そんな時、株、あがるんでしょ」と相談された。しかし、白戸は何の話かピンとこない。
 緑に頼まれ、白戸は、ダンナの行状を調べに行った。一方、充ちるが、小塚家に戻り、緑の話をすると、「合併前に、株を買っておけば大儲け。でもインサイダーという違法取引だから逮捕されることもある。しかし、奥さんが買えば法に触れるが、白戸なら大丈夫」と小塚(植木等)らに教えられた。「そんな調子のいいことがあっていいのか」と、充ちるは半信半疑。
 その後、白戸は、調べた結果を緑に知らせに行き、合併されるのは日創電子、するのは興洋電器と聞かされ「これは儲かる!」と確信に近いものを感じた。そのころ、山崎は合併工作に、日創電子の社長と最後の詰めに入っていた。突然土下座して頼み込む山崎に、側にいた遥(長谷川京子)はびっくり。そんな遥に山崎は「俺の土下座は35億円の価値がある」と嘯くのだった。
 その時だった。香港から、監督庁の査察が入り、山崎の不正がばれそうだと、連絡が入った。その電話で、山崎は、合併を進める一方で、小塚にやられた損失を、インサイダー取引で穴埋めしようとひらめいた。
 合併話は山崎の熱意で両者が合意、正式発表日時が決められた。
 「よし!儲けるぞ」。その話を緑から聞いた白戸は購入資金を貸してくれるよう小塚に頼み込む。白戸の動きを薄々感じ取った遥が山崎に告げると、「ほっとけ」とぽつり。遥には、山崎の真意が分からなかった。
 男2人がインサイダーによる金儲けに血眼になっているとき、充ちるは小塚にテルコ(八千草薫)を紹介されていた。「50年のつきあい」というテルコに、充ちるは、小塚の知られざる一面を見たように思うのだった。
 緑はインサイダー取引で一儲けし、夫との離婚を決意。また山崎は香港の美紀(金子さやか)に電話。「これからは独り言だ」と、日創電子の株買い占めを指示した。一方、白戸は発表当日になっても金を貸そうとしない小塚をせっついていた。 「ちょっと額が大きかったもので・・・」と小塚に言われ、まつば銀行に行くと、そこにはなんと3億円が用意されていた。
 銀行で、山崎に部屋に呼ばれた白戸。しばらくにらみ合った後、山崎が口を開いた。「情報と金はいつの時代でも選ばれた人間が握っています」。その言葉に、白戸の心が揺れた。

<第6回> 
 まつば銀行の窓口で、白戸(長瀬智也)は、カッターナイフで手首を切ろうとした若い女性を止め、手の甲を切られてしまった。その騒ぎに気づいた山崎(原田泰造)は、素早く「落ち着いて、お話を」と、周囲には何もなかったように、女性と白戸を奥の部屋に連れていった。
 女性は、山崎が頭取特命で、処理にあたる相続保険の被害者の美幸(真鍋かをり)だった。「なぜ?銀行の窓口で、カッターなんか」。美幸とは別室に連れて行かれた白戸が不審を感じている時、小塚(植木等)は辰美(小日向文世)らに、「まつば銀行潰し、ちょっと早まるかも」と言い残し、旅に出ようとしていた。小塚には、早くまつば銀行を潰し、仇をとりたい事情があった。
 その日夕、白戸がまつば銀行から小塚家に戻ると、証券会社の松井(相島一之)が待っていた。「じいチャンは?」と聞く白戸に松井は「バカンスだそうです」と言い、まつば銀行株の信用取引、50万株、2億円の取引報告書を出し、「これを運用しろとの伝言です」と白戸に差し出す。
 「えっ!」。聞いてないと言おうとする白戸に、松井は信用取引は、証券会社から一端株を預かり、売り、その売り値より安く買い戻し、利益を得る取引。「失敗すれば、5億円ぐらいの損は軽い」と半ば脅すように話しだす。
 山崎の支店に内部監査が突然入った。厳しい監査だが、山崎は頭取の威光を傘に平然とやり過ごし、関根(近藤芳正)には、美幸にけがをさせられた白戸へお詫びを、遥(長谷川京子)には、大手自動車会社へ、まつば銀行株の第三者割当増資の引き当て了承を取り付けるよう命じた。割当増資は銀行の資産増になり信用アップになることから、これも頭取から、山崎は命じられていた。
 そのころ、白戸は、400円で買い戻せば、手数料分は損だが、一応チャラ、1円高く買うと50万円、10円だと500万円、100円だと5000万円・・・の損とゾッとしながら、株価チャートが表示されるパソコン画面を食い入るよう見つめていた。「400円。買おう!」と電話に手を伸ばすと、突然ベルが鳴った。小塚だった。「最大の儲けを出しなさい。波だ。株価の波を自分自身で感じろ」とだけ小塚は言い、切った。小塚はテルコ(八千草薫)を見舞っていたのだった。
 山崎が美幸を訪ね、相続保険の件で、和解してくれるよう頼むが、美幸は納得しない。一方、第三者割当増資の件は、社長を説得、引き受けを了承してもらった。まずまずの山崎。そのころ、白戸の元を山崎の命令で、関根がタイヤキを手みやげに訪ねていた。まつば株の決算に迷う白戸、一方、サラリーマン稼業の関根。
「人生って・・・辛いね」など、妙に打ち解けてしまう二人。その後、誠実だけが売りの関根は、山崎の命令で長年の取引先を切るはめになり、相手に、土下座してわびるのだった。
 まつば銀行株の第三者割り当て増資を大手自動車会社が引き受けないという情報が流れ、まつば株が値下がりし始めた。チャンス!。「最大の儲けを出せ」と命じられているだけに白戸の表情も変わるが、どの値で買い戻したらいいのか分からない。情報の真偽も不明のまま。どんどん株価は下がる。自分なり買い戻し値を白戸が決めたとき、小塚から電話が入った。「タイヤキだ。頭としっぽはくれてやれ」。その言葉に、白戸は・・・。


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