あらすじ
<第10回> <第11回> <第12回>

<第10回> 「ついに復讐の時・・・そして衝撃の夜!」
 一人山崎(原田泰造)の個室で仕事をしていた遥(長谷川京子)が、山崎のパソコンで、相続保険の極秘データを偶然見てしまい顔色を変えたころ、小塚(植木等)の家では、小塚が白戸(長瀬智也)らに「まつばの株価を下げる。夏のディールだ」と“檄”を飛ばしていた。表情を引き締める白戸らだが、白戸は命の危険も考えられる小塚の勝負に充ちる(岡本綾)を巻き込みたくないと考えていた。
 白戸は、小塚に案内され謎の人物を紹介された。この直後だった。白戸は、先に株を売り、安くなったら買い戻して利益を出すまつば銀行株の信用売りを始めた。「まつばは堅調、無茶では?」と証券会社の松井(相島一之)に言われるが「夏のディールの始まりです」と白戸は、どんどん売り注文を出し始めた。
 涼子(秋山奈津子)と遥は、山崎に、ウインザー銀行の窓口のケント(宇梶剛士)を紹介された帰り、コンビニの店頭に並ぶ夕刊紙に「まつば銀行株 暴落」「まつば香港 巨額損失」の見出しが踊るのを見つけ仰天、すぐ銀行に戻ると山崎が対応に追われていた。
 山崎も、堅調なはずのまつば株の暴落に一時なぜ?と冷静さを失うが、「悪質な風説の流布だ!落ち着け」と周囲にどなりながら、白戸、小塚の仕掛けてきた挑戦だと直感していた。
 白戸に会った遥は、偶然見つけた相続保険の極秘データを話そうか、どうするか迷う。そんな遥に「僕に言わなくてもいい。自分の目でしっかりと事実を見るんだ」と諭すように話すのだった。そのころ、小塚はテルコ(八千草薫)を見舞い、病状の悪化は懸念しているが、しばしの安息に浸っていた。
 株価の下落はウインザー銀行との合併に障害になり始めた。ケントに呼び出され「200円になったら話を白紙にする」と申し渡された山崎は、まつば香港に命じ、まつば銀行株の買い支えに入った。「150万株売り」「300万株買い」。白戸と山崎、男の意地を賭けたゲームが始まった。どんどん下がる株価、280円、261円、248円、243円・・・。201円。やっと値動きが止まった。そして数日後まつば株は元の水準に。「俺がやれば間違いないんだ」。山崎は自信満々だった。
 白戸がまつば株の信用売りに取り組んでいる間、蒔田(松重豊)と辰美(小日向文世)は、屋台の焼きそばを食べてくれる人に3万円を渡していた。これが、まつば潰しにどう関係するのか、白戸は知る由もない。白戸がかまってくれず寂しさを感じている充ちるだが、二人が、3万円を渡しているのを見て、あ然とするばかり。
 遥は自分の失敗をウソで固め、何もなかったように処理と称して善良な顧客に損失のツケを回していく、山崎のそんなやり方に遥は反発心を抱いていた。そのことを追及しようとすると、山崎は相変わらず、平然とウソをつく。あこがれていただけに遥のショツクは大きかった。誰にも打ち明けられず、涼子に話したのが間違いだった。山崎は涼子に遥の悩みを聞けるよう対応しろと命じていた。涼子から話を聞いた山崎は、「マスコミにリークされたら、まつばは潰れる」と判断、涼子に最後の手段をとるよう命じるのだった。

<第11回> 「押し寄せる人の波!もう誰も止められない・・・」
 遥(長谷川京子)から、相続保険の企画者が山崎(原田泰造)で、その山崎に、さんざん裏切られている時、白戸(長瀬智也)の携帯電話が鳴った。蒔田(松重豊)が刺されたという。「エッ!」白戸が顔色を変えて、病院に駆け付けると、充ちる(岡本綾)が震えていた。蒔田は、充ちると一緒にいて白戸と間違えられて刺されたという。「こんなことあっていいのか」「汚い奴らだ!」。白戸は、まつば銀行への怒りを押さえ切れない自分を感じるのだった。
 そのころ、山崎は、まつば銀行桜台支店の個室で、涼子(秋山菜津子)から、悪質な風説の流布の余波が続いていることや、遥が体調不良を理由に休んでいるという報告を受けていた。
 テルコ(八千草薫)を看病に行った小塚(植木等)は、辰美(小日向文世)から、蒔田が刺されたことや、まつばへのディールは、白戸が頑張っているという話を聞き、「大丈夫だろう」と、施設で開かれるダンスパーティーを楽しみにしている風をみせる。しかし、テルコの病状は悪化していた。早くテルコの敵・まつばを潰さねば!小塚は決意を新たにするのだった。
 山崎はウィンザー銀行の代理人・ケント(宇梶剛士)に呼び出された。ケントが懸念するのも、風説の流布による余波だったが、山崎は高層マンションのケントの部屋から、焼きそば屋台に並ぶ長い列を見下ろしつつ「我々は、あんな風に踏みつぶされる蟻じゃない、踏みつぶす側の巨大な象。象には象の悩みがある」と嘯くのだった。その山崎が見下ろす列は、小塚が仕掛けた食べると3万円をもらえる謎の列だった。そこで3万円を受けとった男達は、量販店でスーツを買い、まつば銀行桜台支店に出かけ、次々1000円預金、小口の口座を作っていた。
 数日後、まつば銀行とウインザー銀行の合併記者会見が開かれた。「これで、まつばは安泰」と山崎とケントは、発表する頭取らトップを横目にニンマリ。まつばの株価が上昇機運に乗り始めた。
 山崎のやり方に疑問を感じた関根(近藤芳正)から、内部極秘危機管理マニュアルを入手した白戸は、ウインザー銀行子会社の証券会社を訪ね、まつばの株を大量に売りを始めた。これがきっかけで、「なぜ ウインザーの子会社から大量売り?」と、市場に不安が広がり、まつば株が暴落し始めた。小塚の計画通り、まつば銀行への、取り付け騒ぎも始まり・・・。そのころ、正装した小塚は、テルコと手に手を取り合い、ラストダンスに臨んでいた。

<第12回> 「世界最大メガバンク崩壊そして新たな波」
 まつば銀行桜台支店で、白戸(長瀬智也)や小塚(植木等)が仕掛けた取り付け騒ぎが炸裂した。銀行に押し掛ける顧客達。「早くおろしてくれ」「現金にしろ」と、客の中には殺気立つ者も。
 山崎(原田泰造)は「小口の顧客は蟻だ!冷静に対応しろ」とゲキを飛ばし、行員達は“不安を広げないためやってきた客はすべて支店内に入れろ”“支店内にマスコミは入れるな”“クレーム客は、一般顧客から隔離”のマニュアル通り対応していた。
 そこへ、充ちる(岡本綾)が、まつば猫のマスコットぬいぐるみを持ち「私もお客」と現れ「相続保険のうえ、今度は預金まで取るというの」とひと騒ぎ。すかさず、充ちるはクレーム客として、行員により別室へ連れて行かれた。その部屋では男たちが「支店長を出せ!」など怒鳴る一方、行員達も「頭下げるだけが銀行じゃない・・・」など、やり合っていた。客達の中に、辰美(小日向文世)や蒔田(松重豊)の顔があった。男たちは辰美の子分達だったのだ。
 その様子を、充ちるが、ぬいぐるみに仕込んだカメラで隠し撮りしているとき、別室では遥(長谷川京子)が、涼子(秋山菜津子)と対決していた。遥は、相続保険の違法性を知りつつ、まつば銀行は保険を売りだし、トラブルをもみ消したという涼子の声の録音に成功するのだった。
 取り付けに集まった客に現金の山を見せ、どうにか一日を乗り切った山崎は、ひと安心するが、翌日には、全国のまつば銀行で取り付け騒ぎが始まった。充ちるが隠し撮りした行員の暴言が電波に乗り、合併を発表したウインザー銀行関連の証券会社から、まつば株の多量売りが出たと、ニュースは伝えていた。株価は急落、追い打ちをかけるように、白戸は、まつばの、これまた大量信用売りにでた。この動きに、外資も売りに走り株価は下がるばかり。山崎も手の打ちようがなかった。
 白戸は、香港まつばの美紀(金子さやか)に電話を入れた。「ディーラーならわかるはずだ。まつばは、もうだめだ。不正を明らかにすれば、君は責任を問われない。ノーなら、逮捕されるぞ。決めるのは君だ」。この電話の直後だった、白戸の友達だと、ウインザー銀行の代理人のケント(宇梶剛士)が、美紀を訪ねてきた。
 取り付け騒ぎに株価の暴落という事態に、山崎は稲垣頭取(神山繁)ら幹部に本店に呼ばれた。「象だって躓くことはある。劣後債に時価発行増資、とにかく資本を充実させる策はいくらでもある」と持論をまくし立てる山崎に、稲垣は「まつばを守るためだ」とクビを申し渡した。1兆円の日銀特別融資を受けるためにも、違法性の高い相続保険の企画者の山崎を「クサイ物に蓋」の発想から幹部達は切ることにしたのだった。
 この直後だった。香港まつばの不正が暴かれ、まつばへの日銀特別融資は白紙になった。ケントが、美紀から入手した極秘資料をマスコミに流したのだった。
 闘いは終わった。テルコ(八千草薫)と2人、小塚の顔に満足の笑みが浮かぶのだった。法律を時に無視して戦ってきた白戸と山崎。2人の行く末は・・・。


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