<第4回> <第5回> <第6回><第4回> 「こんな猛暑でも愛と感動と涙贈ります!」
有名な音楽プロデューサー柿崎(筧利夫)から、いつも路上で歌う「ZOO」をCDにしないかと勧められた李理香(菅野美穂)は、中也(伊藤英明)にその話をした。中也は「それは神様がくれたチャンスだから、思い出のつもりでCD出すのもいいんじゃないか」と勧める。しかし、中也の「スターになれる」という言葉に反応し、「私、やめときます。スターになんかなりたくない」という。
ある日のお昼時、児童養護施設時代の先生・三原(銀粉蝶)から「あなたのお父さんの居所が分かるかもしれない」と電話が入る。。
三原が言うには、李理香を施設に預けに来た李理香の父の親戚とやっと連絡が取れ、李理香の父の名は「蓮井昭彦」だとわかる。近くに住んでいるが、妻子もいる、とのこと。「どうする?」という三原の問いに、李理香は「分かりません」としか答えられなかった。
ある日、李理香が街を歩いていると、後ろから、源太(杉本哲太)が、顔色を変えて追ってきた。李理香の姿を見つけ、後を追って来たのだ。源太は「どうして連絡をくれないんだ」と激昂し、抱きしめようとする。李理香はあわてて、腕を振りほどき、住宅街に逃げんだ。追いつかれそうになった時、二人の間に、一台のバイクが割って入った。民雄(鈴康寛)だった。
民雄は「俺の妹に何か用か。妹を苦しめるなら、俺が許さない」と、源太を一蹴する。
李理香を助けた民雄は、李理香に「ろくでもない奴に追いかけられて、俺のこととやかくいえないじゃん。」といいつつ「俺もちゃんと世の中に復讐できるかも知れない」と語る。「馬鹿なまねしないで」という李理香をおいて民雄は去る。
李理香の携帯が鳴った。柿崎からであった。説明を聞いてくれと言う。李理香は、行くと伝えた。
柿崎の勤めるゼブラレコードで顔合わせをする李理香と柿崎。李理香はっきりとプロになる意志のないことを告げる。「私の欲しいものはただ普通の幸せだけ」と言い切り、生い立ちを説明する。柿崎は、理解を示しながらも「その孤独感が今の時代に必要だ」と、なおも未練を残すのだった。
李理香は、基次郎に自分の父親が見つかったことと、CDをださないかと勧められていることを手紙にだす。中也にも。李理香は父親のことを話す。中也は、こっそり見に行けば、と軽く提案する。
後日、李理香は、「蓮井」の住所へ出掛けた李理香だったが・・・。<第5回> 「最終回に向けて幸福の予感」
父親の居場所がわかり、会いにいった李理香(菅野美穂)だったが、父親(串田和美)は新しい家族に囲まれて幸せそうにしていた。それを見た李理香は「感動も喜びも起きなかった。ただ憎しみだけがそこにあった」「置き去りにされる悲しみ。捨てられた者だけに残り続ける憎しみ。捨てないでよ!」と思うのだった。
児童養護施設時代の仲間、民雄(鈴康寛)とりさ(野波麻帆)が、高級車に乗って李理香の前に現れた。SMクラブの女王様をやっているというりさは「もう、あきたから辞めた。今は、社会と自分という存在への復讐の真っ最中。この作戦に加わって欲しかったの」とほほ笑んで言う。民雄もどこか愉快気である。
りさが住む高級マンションにつくと、シャンパンで「俺たちの大作戦に」と乾杯を始める二人を前に不安気な李理香。その大作戦とは、りさが結婚して主婦になること。というのもお客の子供ができたのだが、結婚相手は民雄だと言う。驚く李理香に民雄が説明する。「親のいなかった俺たちが子供を立派に育てることが、俺たちを侮辱した社会への復讐になると考えたんだ。お前が、今日のこの結婚式の証人なんだ」。李理香の目に涙がたまる。3人はグラスを掲げ乾杯する。
部屋に戻ると基次郎(江口洋介)から、久々に手紙が届いていた。「体を壊していて返事が遅れた。父親には会わない方がいい」と全てが許せる時期がくるまで慎重に行動するよう勧めている。すでに父に会ってしまい、父親への憎しみがわいてしまった李理香は虚しく唇を噛み締めるのだった。
保育園では、源太(杉本哲太)の息子カズがしばらく休んでいた。未明からそのことを聞く李理香だっだ。園長(石井苗子)がいうには父親の源太が寝言で「李理香」と呼び続け、妻の静江(黒谷友香)が問い詰めると暴力を奮い、それで、母子して実家に戻ったのだと言う。関係を尋ねる園長に対し、李理香は身に覚えはない、と突っぱねたが、不安は隠せない。
帰宅途中の李理香を車が着けてきた。源太だった。「落ち着いて」とたしなめる李理香に、源太は「好き好きで仕方ない。お前を取る。お前を幸せにできる」と懇願する。が、李理香は「都合のいい幸せですね。触るな!」と怒鳴りつけるのだった。
李理香はその足で昴(陣内孝則)の事務所へ向かった。突然の訪問に、昴は「君の中の天使と悪魔が戦っているところだね。君の心は、三日月のようにぽっかりと人を愛する、人を信じるという気持ちが欠けている。」と断言する。そう聞くや否や、李理香は出て行こうとする。「あせるな。天使と悪魔はいつか和解する」と昴から声を掛けられるがため息をつきながら出ていく李理香だった 。
李理香がガード下に着くと、中也(伊藤英明)が、「悲しいことがあったのか」と見透かすようなことを言う。そこには柿崎プロデューサー(筧利夫)も待っていた。歌い終わると、柿崎が話があると言う。一人では判断がつかないからと中也にも同席を求める李理香だった。保育園に勤めながら「覆面歌手」でデビューすればいい、という提案だった。中也は「お前には、環境の変化、人生の変化が必要かもな」と言う。それを聞いた李理香は「何もしないで何かを待つよりましか」と考え「やります」と宣言する・・・。<第6回> 「話題騒然!今夜も泣けます」
李理香(菅野美穂)が歌う「ZOO」のCD化が決まり、覆面歌手「蓮井朱夏」として録音作業をはじめることに。
柿崎プロデューサー(筧利夫)から「印税の関係で、作詞家に連絡が取りたい」といわれた李理香は、「ZOO」の詩を書いた基次郎(江口洋介)に、録音したてのテープを同封しその旨を伝えるのだった。
基次郎から返信が届いた。「久しぶりに明るいニュースで嬉しかった。僕の名はださないでください。詞は君にあげたもの」と喜んでくれてはいるが、「君の孤独がそのCDで癒されますように」と李理香のことを心配している。李理香は基次郎に「会いたい」と願った。
李理香は、保育園の園長室に呼び出された。源太(杉本哲太)の妻・静江(黒谷友香)が、源太と李理香の不倫を確かめに乗り込んできたのだ。しらを切る李理香に根負けし「何か隠している」ととりみだしならが静江は園を飛び出していく。さらに園長(石井苗子)や倫子(深浦加奈子)に問い詰められても、鬼の目で「不倫はしていません」と突っぱねる李理香。
ジャケットどり、ビデオ撮影など、デビューの準備が着々と進む中、李理香の心中は、しかしながらさらに小波が立つように不安定さを増して行く。李理香は、昴(陣内孝則)を訪ねる。しかし、昴をも信じられない李理香は、「人を愛さなくてもいい。自分を憎むのは良くない」という昴の進言を背中に受け、そこすらも立ち去るのだった。街のレコード店には、早々と「覆面シンガー、蓮井朱夏。今世紀最後の大物デビュー」と書かれたポスターと飾られ、「ZOO」が平積みになっている。李理香は、寂しさいっぱいで、息が詰まり、月を見上げて泣いてしまう。
部屋に帰ると基次郎からの手紙が届いていた。「手紙の文字が最近角張っていて気になります。心の苦しみが字や梵鐘に現れていて、とにかく心配です」「CDは聞きました。いい曲だったよ。でも歌う君の心がくすんでみえる。早く、自分を好きになって、世界を許しなさい」と助言している。李理香は、涙がこぼれた。
李理香は自分が育った養護施設を訪ねた。園長(つじ・しんめい)が昔通り、子供を傷めつけている。園長が李理香に気がついた。「まだ虐待を続けているんですか」と詰問する李理香に、園長は「愛の鞭だ。お前のように立派な子供ができる」と、開き直った言い訳をする。李理香は、感情の糸が切れ「どこが立派なんだ。あんたのせいで、人間を信じることができなくなったんだ。あんたのせいで不幸になっていく。その子をいじめないで」と叫んで泣き崩れる。
そんな午後、保育室で未明(原沙知絵)が本当に源太と何もなかったのかと尋ねてきた。「心配だから聞くの」と言う未明に、「また告げ口するんでしょう」とあしらいながら、あなたと木場さんの間に何もなかったことを信じているという未明の言葉に反応した李理香は、「あの人と寝たわ。私、園を辞める」と言い切る。「あの人ではなく、幸せに触れたかった」と説明する李理香に、未明は「幸福に憧れる気持ちはわかるけど行き過ぎだ」という。しかし、李理香は、この言葉にも反応し「幸福の中でぬくぬく生きているあんたに、何が分かると言うの!」言い放つ。
ところが、未明が言う。「私は彼が好きだった。彼と付き合うはずだった。あなたは簡単に寝ちゃえたんでしょうけれど、私にはできない。何年も恋焦がれてきたのに、不幸を装っていながら、あなたは3ヵ月で私の幸せを奪っていったのよ。あなたを一番憎んでいるのは私よ。ひっそりとしか人を愛せない人間がいることを覚えていなさい!」というのだった・・・。
その夜、落ち込む李理香に対し、中也は「痛んだ心をもっている奴の方が説得力がある。がんばるな」と変な激励をしてくれる。その時、昴から連絡が入り、李理香は昴のマンションに向かう。その後を付ける源太。
何もなく、昴のマンションを出て、李理香が部屋の前に来ると、源太が姿を見せた。なんと、そこに静江も現れた・・・。