あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「カメレオン」
 遠野李理香(菅野美穂)は、保育士になって3ヵ月の新米である。同僚の進藤未明(原沙知絵)と伴に、保育園で忙しい日々を送っていた。
 李理香には両親がいない。通信教育で資格を取ったという頑張り屋だったが、そこに至るには父親に捨てられたも同然というつらい過去もあった。そしてとうとう「みんなの幸福が羨ましい」と3年前、自殺を試みていたのだ。
 その時、助けてくれたのが、長沢基次郎(江口洋介)であった。彼が提案した文通という手段に元気付けられてきた。李理香は、基次郎への手紙にだけは自分の気持ちを素直に出せるのだった。
 保育園でも「親子の愛情は分かっていない」「若いから父親に色目を使っている」と、心無い中傷や誹謗が、同僚や親たちから飛んだ。未明から「私は味方だから」と励まされるが、李理香の愛を求める心は抗し難く、園児の父親の源太(杉本哲太)と関係を持っていた。そこには幸せを求める自分がいた。
 夜、街角で歌うことで心を癒している李理香の前に現れたストリートミュージシャン・月密中也(伊藤英明)。場所とりでもめたのがきっかけで話すようになった二人だが、李理香も中也には憎まれ口を平気で言えるのだった。そして、源太と同じように園児の父親で、大人の魅力がする葛井昴(陣内孝則)とも出会う。
 李理香はまた、基次郎宛に手紙を書いた。「孤独に溺れそう。だから必死に他人の幸福にしがみついてしまうんです」。李理香は、それを思い出しながら、昴(陣内孝則)と食事を共にし、酒を飲んだ。すがりついてこようとする昴をするりとかわし、路地の光の中に佇み、虚空をにらみつける李理香だった・・・。

<第2回> 「白鳥になりたい」
 李理香(菅野美穂)は、「理性を持って生きて下さい」と訴える基次郎(江口洋介)の手紙を思い出しながら、昴(陣内孝則)が誘われて食事に出掛けた。李理香は、自分は高校卒業まで児童養護施設にいたことなどをを伝える。その際、「先生は幸福ですか?」と、李理香はつい、尋ねてしまう。昴の答えは「多分、幸福な部類に属するのだと思う」。
 翌朝、李理香はホテルの部屋で目を覚ました。昴の寝顔を見ながら養護施設時代の遊びを思い出していた。家族ごっこである。
 李理香は、基次郎に手紙を書いた。「また別の男性と関係を持ってしまいました。自分の肉体を男の欲望の中に浸すことで、自分が生まれてきたことへの恨みを晴らしているかのようです。不快にさせてしまいましたが、本当のことだけを書くという約束は守っています。」
 その日、李理香は、保育園に遅刻してしまった。案の定、園長(石井苗子)に口うるさく注意される。その時、源太(杉本哲太)も息子のカズを連れて遅れてやって来る。源太は「携帯に電話したのに、何故、出ない」と小声で恨み言を言う。李理香は静かに黙殺したが、その様子を同僚の未明(原沙知絵)は見過ごさなかった。
 李理香と未明が園児たちを公園で遊んでいると、子供たち目掛けて、1台のバイクが飛び込んできた。運転していたのは施設時代の仲間の民雄(鈴康寛)だった。「連絡を寄越さないのは、新しい人生に傷がつくからか」と睨みつける民雄に対して「くさらないで頑張って」と言う李理香だったが、民雄は「昔のことを覚えているか」と畳み掛ける。施設時代に園長から酷い仕置きを受けたりしていた民雄や李理香は「大人になったら絶対社会に復讐しよう」と決めていたのだ。
 民雄は続ける。「忘れるな、社会を許すな」。
 夜、李理香はいつもの場所で歌っている。そこへ、中也(伊藤英明)がやって来た。
「孤独な者同士、一緒にやろう」と言う中也に、李理香はあいかわらず憎まれ口をたたくだけだった。
 部屋に戻ると基次郎からの手紙が来ていた。それには李理香を諭す内容が書かれていた。
 李理香の様子を窺いに保育園に民雄がきた。それを見つけた園長は追い返したのが、未明が民雄が李理香の知り合いであることを倫子に知らせていた・・・。未明はその日、李理香を食事に誘い、「楽しくやろうよ」と励ますのだった。
 そこで李理香と未明は源太の一家と出くわしてしまう・・・。

<第3回> 「失恋しても・・・」
 李理香(菅野美穂)が、基次郎(江口洋介)に手紙を書こうとした矢先、深夜にもかかわらず、源太(杉本哲太)が突然アパートを訪ねてきた。が、無理矢理部屋の中に入ろうとする源太を払いのけた。
 李理香は、基次郎への手紙に「社会に復讐を開始しようと思います。苦しかった過去を清算するためには、理不尽に咲き誇る“幸福の花”を一つ一つひねりつぶしていくしかないと気がつきました」「そうすることで、私は過去の苦しみと和解することができるのです」と書き記すのだった。 
 ある晩、李理香がガード下で、中也(伊藤英明)と一緒になった。顔なじみになった二人はなんとなくいっしょに歌うことに。そして、お互いのことを色々と話す。そして李理香は文通相手としての基次郎の存在を話したりもする。
 李理香のアパートの前に李理香と中也がたどりつくと、源太がいた。「そういう恋人がいるのか」からむ源太。「話がある」と李理香の腕をつかんでもみ合いになり、中也が割って入る。その騒ぎに、またアパートの住人が顔を出す。源太は逃げるように去って行った。
 翌日、李理香は昴(陣内孝則)に食事に誘われた。そのまま二人はホテルの一室で朝まで過ごしてしまう。李理香は、数万円の食事、数十万円の部屋代を使える人間とそうでない人間の差を痛感しながら「神様って不平等なことをなさる」「李理香の父親になって」と昴の胸に飛び込む。
 李理香らが公園の砂場で園児を遊ばせていると、施設時代の仲間・民雄(鈴康寛)がバイクでやって来た。仲間のりさが“復讐として”SMクラブで働いているから会いに行こう、と言う。さらりと断る李理香。民雄は「変わったな」と言い残し、去って行った。
 その夜、ガード下で歌い終えた李理香は、中也とつれだって食事をしていると、源太の家族がやって来た。源太と中也は固まってしまう。その場は取り繕ったが、中也は、李理香が、保育園の保育士でしかも園児の父親とつきあっていることを知ることになる。
 翌日、李理香は園長(石田苗子)に呼び出された。暴走族の民雄が園児の前に現れるのは、危険であり、それは李理香のせいだ、と園児の母親(真矢みき)が抗議に来たのだ。児童養護施設の仲間だ、と打ち明ける李理香に対し、園児の母は「親の愛情を知らずに育った人間に子供を任せるのは反対でした」となじる。そのことを言いつけたのは、保育士仲間の未明(原沙知絵)だった。未明は「裏切る形になってごめん」と謝るが、李理香は「人間を信じた方が悪い」と独り言を漏らすのだった。
 落ち込み、しかし、復讐心は膨らみ続ける李理香は、昴のアトリエを訪ね、また夜を伴にする。
 ある日、いつものように李理香がガード下で歌っていると、李理香の前に一人の男が立ち塞がって名刺を寄越してきた・・・。


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