数々の有力選手を指導する長光歌子先生が
フィギュアスケート界を楽しく語ります!

歌子の部屋

vol.28

平昌オリンピック、世界ジュニア選手権を終えて。そして世界選手権について

歌子先生に平昌オリンピック、世界ジュニア選手権を終えてのお話と世界選手権について伺ってきました。

世界ジュニア選手権について

■世界ジュニア選手権を振り返っていかがでしたか―

長光歌子先生

 今回男子シングルはかなり荒れた試合になりましたよね。氷の状態についてはわかりませんが、でもそんな中やはり女子シングルではロシアのアレクサンドラ・トゥルソワ選手がやってくれましたね。4回転ジャンプは本当にすごいと思いました。ジュニアですからね!どのジャンプにもコンビネーションを付けられますし、4年後どうなっているんでしょうね。

■初出場となりました三宅星南選手はいかがでしたか―

 まず、星南選手は今回どうしても世界ジュニア選手権に出場したいと思っていたので、それが叶ったことが良かったと思います。その理由として大輔や刑事君が、高校一年生で世界ジュニア選手権に出ているんです。同郷の岡山でもありますし星南君にとっては高校一年生で出場するというのが一つの目標だったようです。
 今回は、本田武史先生に行っていただき私は日本に残っていました。星南君には、世界ジュニア選手権に旅立つ前に「失敗を恐れずに思い切って挑戦をしてきなさい」と声をかけました。あまり良い結果は残せなかったのですが、彼にとってはすごく良い経験になったと思いますね。逆に結果が出ずに打ちのめされたことで、今後大きな糧になるという実感があります。枠を取れなかった事は他の選手に申し訳ないと思いますが、下手に上手くいくよりは良かったと思います。自分の今いる立ち位置も確認できたと思いますし、まだまだ足りていない部分もわかったと思います。次につながるのではないでしょうか。ここが終わりではなく始まりですから。
 今回は出発の直前には大輔も練習に来てくれて、密度の高い良い練習を2日間行い体力も少しついたように思います。でも本番のショートプログラムでは残念な事に最後のコンビネーション・スピンでVが付いてしまいました。
※Vはコンビネーション中2つの基本姿勢でしか回れなかった場合に付き、基礎点が減点される。
 あのスピンが通常のレベル3くらいがとれていれば70点くらいは行けたのではないかと思います。普段、どうしてもジャンプの練習量に比べてスピンの量が少なくなりやすいので、今回重要性を感じてくれたでしょうから、その意味でも苦い良薬になってくれたでしょう。彼はまだ若いですしこれからです。ジュニアの男子はシニアに比べてまだまだ体力が低いですし、14歳から18歳までいるので体力の差は大きいですよね。
 彼は大会後、日本に帰ってきてすぐ練習にやってきました。「基礎から練習したい」と言って、ジャンプは一切跳ばずに、ステップの練習を始めました。シーズン中はゆっくり時間をかけられないのですが、コンパルソリーでのターンの身体の使い方など基礎を一つ一つ説明しながらの基礎練習だけに終始しました。彼自身世界ジュニア選手権の結果でひどくがっかりしているのか?と思っていたのですが、やる気に燃えている感じだったので非常に良かったと思います。

長光歌子(ながみつ うたこ)
長光歌子(ながみつ うたこ)