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エコアナ・藤村さおりリポート「海のエコラベル」って何?
エコアナリポート!!

エコアナ・藤村さおりリポート「海のエコラベル」って何?

[2008年7月1日更新分]



皆さんはこのマークをご存知ですか?
私もある検定試験の勉強をしていたら題材として出てきたので知っているだけで、実際にこのマークの付いた商品を見たことは未だありません。

これはMSC認証マーク(海洋管理協議会 Marine Stewardship Council)といって通称「海のエコラベル」。過剰漁獲の問題を解決するための国際的な団体で、持続可能な漁業を推奨し、優れた管理を行う漁業を評価し報奨するための環境規格を満たす水産製品にはこのラベルが表示される仕組みになっています。

このラベルの素晴らしい点は“世界統一ラベル”であること。どの分野でも統一ラベルにしたがっているのになかなかできないのが現状。ゆえにこれは、過去の反省を生かしたのか、先見の明があるのか、とにかく珍しいことです。

築地に上がってくる魚だけを扱うのではなく、何処でどの様に獲れた魚なのかを知りたいと、このMSC認証を2年前に日本で初めて取得した今回の講演者、築地で創業70年の中卸業を営んでいる和田一彦さんの講演は、驚きの事実が盛り沢山!なるべく多くの漁業ビックリネタをご報告します。

まずは、いろはの「い」から。
魚介類が他の食べ物と大きく違う点。それは「原始時代から変わらず誰も育てていない、手を加えていない、自然からの贈り物」という点。

勿論、養殖魚も最近では出回っていますが、66%が天然物というのが農作物と大きく違うところ。

しかしそれゆえの問題もあり、法律で定められているように「持ち主がいない」=「捕った人の物」(民法第239条(無主物の帰属))になり、規制が甘いほど乱獲状態に陥っていくのです。こうして現状は生まれてしまった・・・・・


続いて「ろ」。
最近は日本人の食生活が欧米化し、魚食から肉食に移りつつあるという報告書を読んだことがあります。古来より日本では魚がとても豊富で身近な食材でした。しかし、これは万国共通の感覚ではないようです。

先進国の中で一番魚を食べているのは何と私たち日本人なんだそう。“魚のある生活”は当然だと思っていました。しかし、世界的に見ても、日本は大変肥沃な漁場に恵まれた島国で、それゆえの宝物であるという意識を持つべきだというのです。

というのも、世界中の海洋で漁場となるのはたった10%にしか満たず、世界三大漁場といえば、一つが北海。一つが北米・グランドバンクス。そして日本近海!

うそぉ~ん!?ってかんじですよね・・・・・・。世界三大漁場の一つが我国周辺だなんて・・・・・。当たり前だと思っていたことが不意打ちにあい、恵まれた環境に感謝せねばと思い至りました。

北大西洋の漁業資源などは100年前と比べると激減し、最悪の場合、国同志の戦争に発展しかねず、彼らにとってこの問題は最初から国際問題なのだと和田さんは言います。

その他、「がめついなー」と嫌気が差したのが、温暖化によって北極の氷がもし解けてしまったら、アメリカはそこがスケソウダラの大漁場になるとみて、既に動き始めているという・・・・・。経済観念しか持ち合わせていない、とても“淋しい感覚の国”の一面を見てしまった気がしました。現実とはこういうものなのでしょうか。

それから、何故日本近海はこんなによい漁場となっているのか。これがこの講演を聴いて一番驚いたことなのですが、勿論潮の流れもあるでしょうが、百害あって一利なしと思われていた「アレ」のお陰だと言うのです。毎年中国からある時季になると飛んでくる、アレ。そう、黄砂。黄砂が日本の遥か東の海上まで飛んで行くお陰で、良質なプランクトンが海洋に発生し、よい漁場を作っている!流石にこれには驚きました。害もあるけど利もあると・・・・・・。


そして「は」。
日本の食用魚介類の自給率は、S35年には100%を超え輸出していましたが、今では6割が国産、4割が輸入に頼っています。世界的に見ると、世の50%の魚介類が、“資源として”もう獲ってはいけないところまできており、80%の魚が“これ以上獲ると危険”な域まで達している。

これを受け、世界の漁場では漁師さんがこれまでより目の大きな網で漁をし、小魚が逃げられるよう努力したり、規定の大きさに達していない魚はリリースするなど、魚を減らさない漁業がMSC認証マークの下、既に始まっているそうです。

しかし素人考えではMSCマークがついている商品は、手間も暇もかかり、規制により漁獲高もこれまでより減らさざるを得ないのだから「高額になりそうだ」と思いますよね。ところが価格は高くしていないのだそうです。このマークは元々値段の高い魚に付く可能性が高く、ある程度余裕のある漁師さんでないと取り組めないと真実も明かしてくれました。

規制があるからクオリティーのよいものを提供できるという捉え方。このマークは「お墨付き」だと考えれば価格に納得できるでしょ?ということの様です。


漁獲物の需要は増える一方、多くの種で資源が減少しつつある・・・・・。過剰漁獲は、世界中の水産業や海洋環境をもむしばみ始めています。

これからも美味しいシーフードを楽しむためには「減らすのは早いけど、増やすのは至難の業」「我々だけの資源じゃない」を念頭におき、「やれる範囲でずっと続けてできることをやっていこう!」という和田さんの“現場の努力を代弁した叫び”を消費者が酌んで、商品に手を伸ばすという行動でリアクションしていくべきなのだと、今回の話に聞き入りました。

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