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エコアナ・藤村さおりリポート「洞爺湖サミットに向けた経産省の思惑」

[2008年6月9日更新分]


これまで様々な講演を聴くにつけ、自国の環境問題に対する方針を憂慮する人が多かったように思い、日本は一体どちらに向かって奔走しているのか、予てから直接聞いてみたいと思っていました。

今回は、正に現場の今井氏が目の当たりにした地球温暖化の“トリック・トラップ”を日本という立場から検証し、今後の展望も聴くことができました。

■京都議定書の反省点
今井氏は1997年 京都議定書が採択されたまさにその時、通産省から、この会議に出席していたそうで、ちなみにその際、当時のクリントン大統領の特使として、あのアル・ゴア氏も京都にやって来ていたそうです。

その京都議定書の各国の削減目標を決める際、当時の日本・通産省は努力して1990年比で-2.5%までは譲ろうと考えていました。ところが-15%と見積もられていたEUは何故か数値をぐっと下げ、有利な-8%という数字で着地し、一方の日本は-6%という高いハードルが設けられ、この非科学的な削減目標が何故か通ってしまったのだと言います。日本は一国でこれを削減しなければならないのに対し、EUは当時15カ国でこの数字です・・・・・摩訶不思議トラップ。


そうはいっても決まってしまったものは努力すべしということで、EUと並んで「削減します」とは言っても、例えば鉄鋼業界が規制のないアジア諸国へ皆逃げてしまったとしたら、世界全体ではCO2排出量は多くなってしまうというトリックが成立してしまいます。

これを「カーボン・リーケージ」と言いますが、これでは節穴条約でしかないため、アメリカ・中国・その他の途上国も削減義務を負うべきだ、というのが日本の主張であり京都議定書の反省点であると考えられています。

■排出量「基準年マジック」を今一度解明せよ
こうして-6%という不公平とも思える削減義務を負ってしまった日本ですが、重要なのは「基準年」の設定。1990年比でどれだけ削減するかというこの目標設定は、はなから加盟国の拡大により、あまりにEUに有利だということがわかっていました。

皆に公平で「実力通りの削減」を行うには、基準年を何とか1995年、せめて2000年、あわよくば2005年に改定したい!これが経産省のスタンスのようです。

仮に1995年に基準年を設定した場合、削減目標は青字のように変わり、省エネ技術に長け、努力している日本は90年比でこんなにも数値に違いが出ることが試算されています(図1)。
更に、どれだけCO2排出量を減らしながら経済成長を成し遂げたかを表すGDP単位を基準にして削減目標を算定すると、日本は断トツに効率がいいのです(図2)。

世界の指標は何故まとまらないのか・・・・・各国の思惑が見え隠れします。


図1 CO2排出量比較図(1990年、1995年比較)

図2 GDP単位当たりCO2排出量(2005年)

■洞爺湖サミットでは世界が注目するような何かは決まるのか?

そして本丸である洞爺湖サミットについて。
議長国としての最大の課題は、なんと言っても“アメリカ”。

大統領選只中のアメリカの本格的な動きはいずれにしても来年以降になると思われ、中国・インドのいないG8で、削減の具体的な数値について踏み込みたくないアメリカを、不即不離のギリギリの状態にキープし、できるだけEUとお見合いをさせたい。

聞いただけでも、これはなかなかの難儀だろうと思われます。ドイツのメルケル首相も、洞爺湖ではアメリカの削減数値をあまり上げないように・・・・と福田総理に話したとか、話していないとか。

要は、今回のサミットで、2050年目標について、アメリカに理解を求め、セクター別アプローチなど、次のステップに向けてのビジョン共有を提案し「洞爺プロセス」なるものが作れれば、このサミットで何かが大きく決まらなくとも意味のある会議になるだろうと今井氏は見通しを語りました。

「2050年にCO2排出量半減」という目標に向けて、政府も具体的な案を持って本気で動いているんだということが今回の講演で見えてきましたが、それでも何かが足りないと私は思うのです。それは「周知と広範なコンセンサス」。

これらを実現するには、省エネやクリーン・エネルギーへの燃料転換、環境・エネルギー分野の研究開発投資など、それなりの社会負担と国民の協力が必要であるという事実の国民への周知と広範なコンセンサスが徹底されれば、少しは何かが改善し、EUスタイルに近づけるのではないかと感じ帰ってきました。

※藤村アナが参加した勉強会は、(財)社会経済生産性本部が主催した『環境と経営のビジネストレンド研究会』

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